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第98話 疲れの限界

「はい、こっち向いて笑顔をお願いします」

もう休憩なしで5時間以上撮影しています。かなり体力の限界を感じているんですけど。

「あのう、少しだけ休憩していいでしょうか?」

「わかりました。ではこの1枚を取り終えましたら30秒の休憩を入れましょう」

「鬼ですか!」


 こんなにたくさんの写真を撮ってどうするのでしょうかね? 3枚もあれば十分でしょうに。

「はい、次はポスターの写真行きます」

「私の写真がポスターになるんですか?」

「防火ポスターに交通安全ポスター、ゴキブリ駆除ポスターになります。ポスター以外にも写真集や雑誌など45の分野に使われますよ」

「え? もしかしてギャラがたくさん貰えるとか?」

思わず下品なことを聞いてしまいました。でもでも、これって貧乏生活からの脱出に繋がるのでは?


「ギャラは出ませんよ。全て賞品に含まれています」

「絶対に割が合わないですよね!? 賞品て食べ放題の食事時券3枚だけですよね!?」

「応募要項に書いてありましたけど」

何てことでしょう。これは仕方ありませんね。今日1日の辛抱です。それにしても写真集は嫌です。モンスターの間に広まっただけでも黒歴史だというのに、人間にも広まるなんて考えられません。そんなの陰キャの風上にも置けない存在になってしまいます。


「では次に入浴シーン行きますね」

「絶対に嫌ですからね!」

そして私がようやく解放されたのは午前2時でした。これは労働基準法に反してますよね? でもこれでよくわかりました。私にはモデルの仕事は絶対に向いてません! 出された弁当はとても美味しかったですけど。


 私がホテルに戻るとミーニャさんとナナカさんはまだ起きていました。

「もしかして私の帰りを待っていてくれたのですか?」

何て感動的なシーンなんでしょう。やはり持つべき者は友ですね。これで今日の疲れも吹っ飛んでしまいそうです。


「花札をしていたら止められなくなってしまったのだ」

どうせこんなことだろうと思いました。少しでも期待した私がバカなんです。

「リーサ、お前もするか?」

「結構です。もうくたくたで動けません」

「何だ面白くないな。今お前の所有権を巡って熱戦中だ。勝った方がリーサを好きにできる」

「何を賭けて花札をしているんですか!」


「嫌か?」

「当たり前です!」

どういう感覚をしているのでしょうか?


 私は寝ることにします。私の所有権がどうのこうのというのが気になりますが、今はそんなことを考える余裕はありません。

「よし、私の勝ちだ! 明日はリーサにバニーガールの服を着せよう」

「もう私が勝ったらリーサに横綱の格好をさせるつもりだったのにー!」


 ガバ!

「本気で言ってませんよね?」

「本気に決まっておる」

「本人の許可もなしに何を決定しているのですか?」

「これが異世界と言うものだ」

無茶苦茶ですがミーニャさんが言うとあり得るような気がするから不思議です。


「分かりました。私もします。ミーニャさんに私が勝ったら私の所有権は私の物ですよね?」

「リーサ、花札のルール知ってるの?」

ナナカさんが不思議そうな顔で尋ねます。

「知ってます。ミーニャさん、勝負してください」

「ほお、もし私が勝ったらどうするんだ?」

「その時はナナカさんの所有権をミーニャさんにあげます。荷物持ちとしてお使いください」

「まあよかろう。よし勝負だ」

「あのう、私の意見は?」

ナナカさんが何か言ってますが無視です。


「猪鹿蝶ですがこいこいします」

「本当にいいのか? 高い役だぞ?」

「大丈夫です。前半に差を付けるとその後有利なんです。相手が点差を詰めなければと無理をしてきますので」

「そんなものか?」

「雨四光で上がりです。猪鹿蝶と併せて12点ですね」

「もしかしてお前は花札に詳しいのか?」

「小さな頃から親にさせられてましたから」

「貧乏で親がギャンブル好き! どんな家庭だったのだ?」


 そして当然のように私が快勝しました。わずか5歳でルールを覚えた私が今日ナナカさんにルールを教えて貰ったミーニャさんに負けるわけがありません。

「今のは何かの間違えだ。もう一度勝負しろ!」

「何度やっても同じことです」


「これで私の花札の実力は分かりましたか? じゃあ私は寝ますね。とても疲れましたから」

私がベッドに横たわると窓の外から何かが聞こえてきました。


「チュンチュン」

まさか! もう朝じゃないですか! 疲れ切った体で徹夜とか信じられないんですけど。

「今日は早めに出発するか。3日も同じ街にいるわけにも行かぬからな」

ガーン! これ絶対に倒れるパターンですよね? たとえ1分でも寝ようと一生懸命に目を閉じる私ですが脳が興奮して全く寝られないのでした。

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