第97話 階段は上りたくありません
大きな大きな町に着きました。これはもう街と言うしかないです。レンガ造りや石造りのビルが並んでいます。石造りというのはお城の石垣みたいに石を積み重ねて造られている建物です。ここは異世界ですよ。これでいいんですか?
「ここ本当に異世界ですよね?」
「ああ、西方は文化が進んでいるからな」
これでまた異世界のイメージが崩れていきます。
「今日の食事はこのホテルの展望ラウンジで食べよう」
「そんな物まであるんですか?」
「あ! このビルの屋上でビアガーデンやってるよ!」
ナナカさんが飛び上がって喜んでいます。
「絶対ダメですからね」
お酒が弱いくせにどうして飲みたがるのでしょうか? 全く謎です。
あれ? この四角い箱形の物はまさかエレベーターですか?
「これを使うのは可哀想だから止めておこう」
「可哀想? どういうことですかミーニャさん?」
「人がロープを引っ張って上に上げる仕組みだ」
本当に可哀想でした!
でも、10階まで階段で上がるのは私の体力的にはきついです。
「少し休みませんか?」
「階段の途中で休む奴があるか! これは鍛え直す必要があるな」
「さあ、元気に頑張りましょう!」
それにしても急な階段ですね。全くバリアフリーじゃないです。手すりもないじゃないですか。
やっと着きました! もう体力の限界です。
「おや? レストランがないぞ。何々隣のビルの12階に引っ越しました?」
「ええええええーーーーーーーー!!!!!!」
「仕方ない行くとするか」
「ちょっちょっちょっと待ってください。もうレストランは諦めて大衆食堂にしませんか? その方が私に似合ってますし」
「私には似合ってないぞ」
確かにミーニャさんが大衆食堂で定食を食べてるイメージは湧かないですね。
私達がビルの1階まで下りて来ると人だかりになっているコーナーがありました。
「何でしょうか?」
「何かのイベントかな? 言ってみよう」
なるほど、ミスコンをやっているようですね。
「飛び入りもOKですのでふるってご参加ください。優勝者には高級料理食べ放題のチケットをプレゼントします」
食べ放題と言うことは最上階の高級レストランではないですよね。このチケットを手に入れたら12階まで階段を上らなくていいってことですか。
わかりました。ミーニャさんをコンテストに出して優勝させれば階段を上らなくてよくなるわけですね。
「ミーニャさん、ミスコンに出てはどうですか?」
「私がか?」
「はい、ミーニャさんなら絶対に優勝です」
「そうかなあ?」
照れてますね。これは脈ありです。
「ナナカさんもミーニャさんなら優勝すると思いますよね?」
「私が出なかったらね」
また余計なことを。変な刺激をしないでください。
「わかった。だったら3人で出て誰が1位になるか競うおうではないか?」
やっぱりそうなりますよね。はっきり言って私は恥ずかしいので出たくないです。
「では、お二人でどうぞ」
「何を言っておるのだ? 行くぞリーサ!」
「ええーーー!」
「3人の飛び入りがありました。みなさん、盛大な拍手をお願いします」
おお! パチパチパチ。やはり男の人が多いですね。こんな舞台に立ってみんなに見られるのは陰キャの私には耐えられないんですけど。
「では、飛び入りのお嬢さん方。このビキニの水着に着替えてきてください」
「ええええええーーーーーーーー!!!!!!」
嘘ですよね? この露出度の高い水着でこの舞台に立つのですか? 無理です。私には絶対に無理です。
「さあ、行くぞリーサ」
「ちょっと待ってください。こんな話聞いてません!」
「私もだ」
「お願いですから待ってください!」
結局舞台に上げられてしまいました。私史上最大に恥ずかしいです。
「ではお名前をどうぞ」
「メ、メンジョー・・・・・・・・・・リーサです」
「ウオー! 可愛い! 顔が真っ赤なのも最高!」
変な評価を得ているようです。でも、見ている人達は審査員じゃないのでいくら評価されても大丈夫です。絶対に優勝なんてしたくありませんから。
さっき舞台裏で見たんです。物凄く立派な撮影機材を。優勝なんかしたら絶対に撮影会があるに決まってます。
「では自己アピールをお一人ずつお願いします」
ミーニャさんもナナカさんもよくこんな状況ですらすら話せますよね? 信じられないんですけど。
「ではリーサさん、お願いします」
ここは選ばれないようなことを言わなければ行けませんよね?
「私はこんな晴れ舞台に立つ人間じゃありません。全く強くならない魔法使いですし、超ドジっ子ですし。出場されているみなさんに比べたら最低のレベルだと思います」
これでいいでしょう。ミーニャさんに早く優勝して貰ってバイキングに行くことにしましょう。
「何て謙虚なんだ!」
「益々可愛く見えてきたぞ!」
何でこうなるんですか! でもミスコンは美人を選ぶんですよね? 可愛いはまた別のジャンルですから大丈夫でしょう。
「では最後にセクシーポーズを取っていただきましょう。どうぞ」
「そんなの絶対に無理です!」
「顔がますます赤くなったぞ。何て可愛いんだろう」
「リーサ! 絶対に彼女が優勝だ!」
もう何をしても裏目じゃないですか!
「では審査に入りたいと思います。今回の審査員は会場のみなさんです」
何ですってー!
「手持ちのボタンから優勝だと思われた方の番号を押してください」
「集計が出ました。第10回異世界1可愛い人を決めるミスコンテスト優勝者は」
え? 可愛い人を決める?
「エントリーナンバー37番! メンジョーリーサさんです!」
ちょっとちょっと。ええええええーーーーーーーー!!!!!!
「良かったなリーサ。貰ったチケットは3枚あるし、早速食べに行こう。場所はさっき行こうとした12階の展望レストランと同じ場所か」
ガーン! 意味がない・・・・。
「明日は朝の8時から夜の10時まで撮影会だそうだ。大変だなリーサ。はははは」
どうしてこうなるのですか!




