表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/219

第93話 不吉な日

 今日は朝からあいにくの雨です。雨は嫌いではありませんが気持ちが落ち込みます。あれ? もしかして今日はこの宿に止まろうなんてことになるのでは? そうなると歩かなくていいじゃないですか! これは気分が上がってきました。


「うおーーー! 空から水がー!」

ミーニャさんが何やら叫んでますね。たかが雨なのにどうしたことでしょうか?

「ミーニャさん、どうしたのですか?」

「空から水が降っている! 不吉だ!」

「ただの雨ですよ」

「雨だと? なんだそれは?」

まさか雨を知らないなんてことはないですよね?

「雨を知らないのですか?」

「我々はこの現象を不吉の水と呼んでいる。うおー!」


「ナナカさん、ミーニャさんが雨を見ておかしくなってしまいました」

「雨? これは終わったわ」

「どういうことですか?」

「不吉だわ。この世の終わりね」

ナナカさんまで何を言っているのでしょうか? 全く理解できません。


 私は窓から空を見ます。遠くで稲妻が見えました。あれのことを言っているのですね、きっと。でもミーニャさんはともかく異世界転生してきたナナカさんまで不吉などと言うのはおかしいですよね? 稲妻は怖いですが人には滅多に落ちないですから。


「ナナカさん、何が不吉なのですか?」

「リーサは知らないの? ここ異世界では殆ど雨は降らないのよ」

そう言えば今まで傘を差して歩いた記憶がないような。

「異世界で雨が降ると不幸が起こると言われているの」

なるほど。見慣れない自然現象を恐れるってことですね。神話にありそうな話です。

「そんなの迷信ですよね?」

「だといいんだけど。言い伝えは守らなきゃ」

守るって何を?


「今日は先に行くのをやめてこの宿に止まるぞ」

ミーニャさんが理想的なことを言い出しました。

「本当ですか!」

「下手に外へ出て不幸に見舞われても困るからな」

やりましたー! 不幸どころか幸運の雨じゃないですか! 今日は歩かなくて良くなりました。


 ミーニャさんとナナカさんはベッドにもたれかかってお祈りを上げています。あれ? ミーニャさんて無神論者ですよね?

「ミーニャさん、何をお祈りしているのですか?」

「祈ってるのではない。不幸が起こらないようおまじないを唱えているのだ」

どう違うのですか?


 それにしても二人のこのびびりよう、そんなに凄い不幸が起こるのでしょうか? 物凄く強いドラゴンが襲ってくるとか? でもミーニャさんだったら負けないですよね? まさか死の呪文的な効果があって数時間後に死んでしまうとか? そんなことがあったらみんな死に絶えて異世界全滅です。物凄い不幸なんて考えづらいですね。と言うことはまあ大丈夫でしょう。


「私お風呂に行ってきますね」

「この部屋から出るのか?」

「どういう意味ですか?」

「この部屋は私達が唱えるおまじないで平和だが一歩外に出るとそれはそれは恐ろしい不幸が」

「どんな不幸なのですか?」

「それはわからん」

「なら大丈夫ですよ」


 私が部屋を出ると。ムニュ! 何かを踏んづけました。

「キャー!」

「どうしたリーサ!」

「ゴ、ゴキブリを踏んでしまいました!」

「やはりとんでもない不幸が起きてしまったか」

吹こうってこれのことですか? とんでもない不幸の割にはレベルが低いような。


 これくらいの不幸なら気にすることもないですね? ポト! ん?

「キャー! 背中に何か入りましたー!」

「蜘蛛だな」

「お願いです! 早く取ってください!」

ここまで来るととんでもない不幸に入るかも?


 モソモソ。

「キャー!! 私の足をムカデが這ってます!」

これはあれですね。天気が悪くなると昆虫類が家の中に入ってくるというパターンの奴ですね。それを不幸と恐れていたんですか。これで謎が解けました。虫は嫌ですが命に関わることもないでしょう。お祈りをするレベルじゃないと思います。やはり大丈夫ですね。


 雨もそろそろ止む頃じゃないでしょうか。ちょっと外に出て様子を見てみましょう。私は宿の外に出てみました。やはり小雨になりかけています。

『ドンガラガッシャーン!』


「おい、大丈夫かリーサ!」

遠くでミーニャさんの声が聞こえています。はっ!

「まさかと思いますが、もしかして私って雷に打たれました?」

「その通りだ。死んだかと思ったぞ」

「逆に雷の直撃を食らって生きてることってあるのですか?」

「物凄い幸運だな」


 何と言うことでしょう。本当に物凄い不幸に見舞われてしまいました。その後、私は部屋に籠もってミーニャさん達とおまじないを唱え続けるのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ