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第88話 ナナカさん元気を出して

当たり前なのですがナナカさんが落ち込んでます。久しぶりに会えた初恋の人に自分の気持ちを伝えることができたと思ったら振られたんですから仕方ないですね。私なら1年は誰とも会わず引きこもります。

「ナナカさん、もうすぐ次の村ですね」

「・・・・・・・・」

かなり重傷です。さっきから私が何を話しかけても返事が返ってきません。


「ナナカ、美味しいお菓子があるぞ。食べるか?」

「いらない」

ミーニャさんが話しかけると喋るのですね?

「そんなに落ち込むな。男なんていくらでもいる」

「人生で1度も彼氏を持ったことのない人にはこの気持ちは分からないのよ」

「ミーニャさん、落ち着いてください!」

「こいつだけは生かしてはおけぬわ」

私は必死でミーニャさんを押さえつけます。


 村の中は意外と栄えてました。

「わあ、可愛いお洋服屋さんがありますよ。見に行きませんか?」

「行かない」

ナナカさんはため息交じりに言います。でも私にも返事をしてくれましたね。

「あ、アクセサリーの店です。ピアスか何か買いませんか? ナナカさんて可愛い顔立ちをしてますからきっと可愛いピアスを付けたらもっと可愛くなりますよ」

「行かない」

「私が買ってプレゼントしますから」

「なら行く」

なかなか現金ですね。


 店の中はとても広くたくさんのアクセサリーが並んでいました。ついでに私のも買うことにしましょう。

「ナナカさん、これなんか似合いそうですよ」

私はナナカさんを盛り上げるためいろいろなアクセサリーをおつとめ品のコーナーから探して持って行きます。


「そうかなあ?」

ちょっと元気になってきたのか反応が出てきましたね。

「もうちょっと大きめな方がいいことない?」

いい感じです。

「大きめというとこれなんかどうでしょうか?」

「ちょっと違うんだよね」

難しいですね。


「どんな感じの物が好みなんですか?」

「宝石が付いてる奴」

え? 何て言いました?

「あっちのコーナーがいいな」

そこは高級品のコーナー! 私は貧乏なんですよ!


「ダイヤとエメラルド、どっちが似合うと思う?」

無理です。絶対に無理です。

「ナナカさんは顔の素材がいいから別に石が付いてなくてもいいと思いますよ」

「は~、リーサまで冷たいんだ。また落ち込んじゃいそう」

何ですか、この駆け引きは! 


 一応、値段をそっと見ます。10万ゴールド。100分の1も持ってません。

「ナナカさん、これは高すぎます。私こんな大金持ってません」

「はいこれ」

何ですかこの紙は? え~っとローンの支払いについて?

「鬼ですか!」


「リーサだけは私の気持ちが分かってくれると思ってたんだけどな」

人間心理を微妙に突いてきますね。そうだ。

「ミーニャさん。お金を貸して・・・・」

ダメです絶対にダメです! そんなことをしたらミーニャさんに一生頭が上がらなくなってしまいます。そうなるととんでもない服を着せられたりします。


「ミーニャさん。このピアスを買ってあげてください」

ミーニャさんはラスボスですから莫大なお金を持ってますものね。

「嫌だ」

「え? どうして?」

思わぬ展開です。これくらいミーニャさんにとっては何でもない額のはず。

「リーサはナナカにだけ選んで私には選んでくれぬではないか?」

「小さな子どもですか!」


「わかりました。ミーニャさんのために私が心を込めて選びましょう。そのかわり支払いは自分でしてくださいね」

「それでは気持ちが伝わらぬでは・・・・」

「私は史上最強の貧乏なんです!!!」

「わかった」

勢い勝ちですね。


「で、どんなのがいいですか?」

「可愛いのがいいな」

珍しいですね。ミーニャさんが可愛いのを選ぶとは。ではこのハートのにしましょう。


「これ何かどうでしょうか?」

「う~ん、可愛いか?」

気に入らなかったのでしょうか。結構可愛いと思いますけど。ではこちらの星にしましょう。

「どうですか?」

「う~ん」

気に入らないみたいですね。


「どんなのが好みなんですか?」

「例えばこんな奴かな?」

「髑髏じゃないですか!?」

「可愛くないか?」

「ミーニャさん、可愛いってどんな感じか分かってます?」

まさかミーニャさんの感覚がこれほどズレていようとは思いませんでした。


 結局ミーニャさんがお金を出して、ナナカさんはダイヤのピアスをミーニャさんは髑髏のピアスを買いました。世の中難しいものですね。でも上機嫌な2人を見ていると心が和みます。


 ん? 私の物を買うの忘れました!

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