第85話 ミーニャの弱点
猫の村という看板を見つけました。猫がたくさん居るのでしょうか?
「少し早いですが、ここに泊まるのはどうでしょう?」
猫好きの私はミーニャさんに提案してみました。
「ダメだ。次の村まで急ごう」
「え~、猫がたくさん居るかも。ここにしようよ」
ナナカさんも猫が好きなようです。猫って可愛いですよね?
「いや、猫に構っている暇はない。先を急ぐぞ」
「キュピ!」
クロシッポが大きく頷いています。クロシッポは猫が嫌いでしたね。
「ミーニャさん、次の村は近いんですか? もうすぐ夕方になりますが陽が明るいうちに着けるのですか?」
「大丈夫だ。10時間も歩けば着く」
「それって決して近くないですよね!」
どうしたのでしょう。ミーニャさんはこの村に泊まりたくない理由でもあるのでしょうか?
「また野宿は嫌ですからこの村に泊まりましょう」
「そうだよミーニャ。この村に泊まろうよ」
「ダメだ!」
「どうしてですか?」
「どうしてもだ」
よくわかりませんね。何か理由があるのは分かるのですが。
「この村に悪い思い出でもあるのですか?」
「そんなものはない」
「だったらどうして?」
その時、1匹の猫がミーニャさんの足にすり寄ってきました。
「ニャー」
「ギャー!」
「え? もしかしてミーニャさんて猫が嫌いなのですか?」
「嫌いだ! だから早く除けてくれ!」
ミーニャさんの名前からしたら考えられないんですけど。
ミーニャさんが私の後ろに隠れます。その隙にナナカさんが猫を抱き上げました。とてもよく慣れた可愛い子猫です。
「捕まえたわよ」
「そうか。よくやった。どこかに捨ててこい」
「こんなに可愛いのに?」
「いいから早く!」
「ほれ」
「ギャー!! 猫を私に近付けるな!」
かなり猫が怖いようですね。私の背中にへばりついて震えています。ちょっと可愛いかも?
「今日はここに泊まろうよ」
ナナカさんはかなり猫好きのようですね。
「絶対にダメだ!」
「そんなことを言ったらこの猫をミーニャの肩に乗せるわよ」
「ひええええ! 止めろ絶対にするなよ。絶対にするなよ!」
「それって振りだよね?」
「違う!」
「この村に泊まる?」
「ダメだ!」
「そう。ほれ」
「ギャーーーー!!!!! 分かった!泊まるからその猫を除けろ!」
まさか本当にミーニャさんの肩に猫を乗せるとは思いませんでした。でも、そのおかげで可愛い猫ちゃんにたくさん会えそうです。
「キュピキュピ!」
私の鞄の中から抗議しているモンスターがいますね。まあ、これも運命ですよ。
「ニャー」
「ニャー」
村のあちらこちらに猫がいます。奈良の鹿よりも比率は高いでしょうか。
「うわー可愛い」
「ナナカ、猫を触ってないで早く宿に行くぞ」
「ほれ」
「ギャー!」
ナナカさん、ラスボス相手に何してるんですか。どうなっても知りませんよ。
私達は宿らしき建物の前に到着しましたが、ミーニャさんが入ろうとしません。
「どうしたのですか?」
「何だ? この『ネコの宿』という名前は?」
「きっと宿の主人がネコ好きなのではないでしょうか?」
「他を探すぞ」
結局この村にはこの『ネコの宿』以外に『可愛い猫ちゃん集合!』という宿しかありませんでした。
「今日は野宿だな」
「いいのかなぁ? そんなこと言っちゃって」
「どういうことだ?」
「おいでチッチッチッチ」
「ニャー」
「わかった。『ネコの宿』に泊まることにしよう」
私達が宿の部屋に入るとミーニャさんが固まってしまいました。
「何で部屋にネコが居るのだ?」
「ああ、この子がこの部屋担当なんですよ。名前はポチって言うの。可愛がってやってくださいね」
「部屋担当の猫とかわけが分からん!」
「ニャー」
「こら! 近寄るな!」
ミーニャさん、今晩は眠れないかも知れませんね?
ポチは優秀な猫なのか常に私達の近くにいます。そして名前を呼ぶと必ず『ニャー』と返事をします。何て可愛いんでしょう。このまま一緒に連れて行きたい気分です。
『ゾク!』
「今、変なことを考えなかったか?」
「考えていませんけど」
凄い勘ですね。さすがにラスボスです。
「キュピー」
こちらは完全に野生の勘だとは思いますが鋭いですね。ただ猫に見つからないよう私の鞄から少しだけ顔を出して様子を見る姿はかなり可愛いです。
「ニャー」
「今こいつが鳴いたのか?」
「私の膝に乗ってるから分かるけど違うよ」
「だったらもう1匹居ると言うのか?」
「ニャー」
「どこだどこだ?」
ミーニャさんが必死で探しています。
でも、これって私の声なんです。実は私、猫の鳴き真似が得意なんです。ミーニャさんに仕返しをしたい時に使えますね。




