第84話 星に願いを
「今日は流れ星が見えるって知ってたか?」
ミーニャさんがロマンチックなことを言ってます。『似合わないですね』と言いたい気分ですがここは我慢しておきましょう。この前のドッキリにしても無理やり旅にかり出されたことにしても仕返しをしたいのは山々なのですが。
「リーサは流れ星を見たいか?」
「私は見たい」
「ナナカには聞いてない」
「なによそれ」
「どうだ? リーサ」
「そうですね。綺麗ですよね」
ハッ! またまた騙されるところでした。
「見たくないです」
「どうしてだ? あまり見られるものじゃないぞ」
「いえ、見たくないです。先を急ぎましょう」
「そんなに焦ることもなかろう」
「異世界の一大事なんですよね?」
「それはそうだが、1年に1回の天体ショーだ。この場所は星が綺麗に見えるスポットなのだ」
やっぱり。こんな森で野宿をさせられてたまるものですか。
「まだ陽は高いですから先に進みましょう。宿からでも天体ショーは見られますよね?」
「まあな」
いきなり野宿なんて絶対に嫌ですからね。
「テント出したよ」
「ナナカ、サンキュー!」
「何勝手に野宿の準備をしているのですか!? 絶対に泊まりませんからね!」
そして夜です。結局押し切られてしまいました。私って本当に弱いですよね。強く主張されるとどうしても折れてしまいます。
「リーサ、何をお願いするの?」
ナナカさん嬉しそうですね? 以前は私も流れ星にお願いを叶えて貰おうと思ったこともありました。しかし何度挑戦しても流れ星が消えるまでに3回も願い事を言うことができずすっかり諦めてしまいました。
「ん? ナナカ。流れ星に願い事をすると叶うのか?」
「ミーニャ、知らないの? 流れ星が消えるまでに3回願い事が言えれば叶うんだよ」
「それは不可能に近いな」
ミーニャさんにしては冷静な判断ですね? 私もできるだけ短くしようと「お金欲しい、お金欲しい、お金欲しい」と言いましたが言い切れませんでしたので、「金、金、金」にしたら言えました。でも意味が通じなかったらしく願いは叶いませんでした。
「もう一度確認するが、ある流れ星に願いを叶えて貰おうとしてその流れ星を見失ってしまった時はどうなるのだ?」
「そんなことってあるの?」
「あるとしたらだ」
「願いは叶わないんじゃない?」
どういう会話なんですか? もし言えたとしても願いなんて叶わないんじゃないでしょうか? 知りませんけど。
「まあ、夢のある話だな。ナナカはどんな願いをするつもりだ?」
「世界が平和でありますように」
「嘘をつくな」
「何で分かったの?」
誰でも分かります。
「リーサはどうだ?」
「ええっと」
そう言われると困りますね。私の願いって何でしょうか?『日本に戻りたい?』でも貧乏生活が待っているだけですよね。『大金持ちになりたい』ミーニャさんと一緒にいたらあまり必要なものではないですね。『美人になりたい』あまり美しくなるとまた写真集とやらを出版させられます。あ! そうです。『一瞬で目的地に行けますように』これです。でも、これを言うとミーニャさんが怒りそうですよね?
「宿で寝たい」
「嫌みか?」
「冗談です」
本当に言葉って難しいです。
「ミーニャさんは何をお願いするんですか?」
あまり興味はありませんが一応聞いておきます。
「それは・・・・・・内緒だ。恥ずかしい」
どういうことですか? 何で内緒なんですか? 顔が赤いのは気のせいですよね? お願いですから私に関係ないことでありますように。私は思わず神頼みをします。最近のミーニャさんて行動が異常ですよね?
「ミーニャさん、何を考えているのか教えてください。凄く気になります」
「だが本人の前で」
本人て・・・・まさか私ですか? 何か嫌な予感がしかしません。
「それはどういう・・・・」
「本当に言っていいのだな。何を聞いても驚かないのだな?」
「え? ちょと待ってください」
「リーサ・・・・」
「やっぱりいいです。言わないでください!」
「リーサが強くなりますように」
「そっちですか! て言うかその願いだったら絶対に驚かないと思います」
そしていよいよ夜です。でも流れ星は1つも流れていません。
「もうそろそろだな」
「星が流れる時間が決まっているのですか?」
「決まっている。あと10秒だ」
「本当にきっちり決まっているのですね」
星が流れましたー。て言うか何千という流れ星が一斉に流れてます。夜空が完全に白いです。
「な? どの星がどう流れた見分けがつかんだろ?」
異世界。想像以上にとんでもない世界です。




