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第72話 友達とか言ってられません

 私の目の前に断崖絶壁の山があります。まさかこれを登ろうとは言い出さないですよね。

「リーサ」

「迂回しましょう!」

「まだ何も言ってはおらぬぞ」

「言われなくてもわかります。迂回しましょう」

「そうかそれなら話は早い」

ミーニャさんは頷きながら少し歩きます。


「リーサは早く帰りたいのだったな?」

「いえ、たくさん歩いて迂回したいです」

「では、この山を越えていくことにしよう」

「私の話聞いてます? ナナカさんもこんな険しい山を登るの無理ですよね?」

「私は大丈夫だよ。小さい時からボルタリングしてきたし」

はっきり裏切り者ですね。


「では行くぞ!」

ミーニャさんが張り切って言います。これはやばいです。何とかしなくてはいけません。

「ちょっと待ってください。もし落ちたら確実に死にますよね?」

「それがどうした?」

「それがどうしたって・・・・落ちたらやばいじゃないですか?」

「大丈夫だ。私の魔法で手を滑らせても落ちにようにしやる」

何ですって? もしそのようなことができるのなら早くゴールできるこのコースを行くのが正解ですよね?


「ちょっとだけ登ってみろ」

私は恐る恐る壁を登ってみます。

「手を離してみろ」

「怖いです」

「この高さなら落ちても大丈夫だ」

なるほど。私はそっと左手を離してみました。落ちません! 両手を離してみました。落ちません! 何て素晴らしい魔法なのでしょうか?


「どうだ? 崖を登る気になったか?」

「はい!」

私は満面の笑みで答えます。これなら何も恐れることはありません。


 かれこれ1時間ほど登ったでしょうか? 地面は遙か彼方に見えます。何度か落ちそうになりましたが魔法のおかげで全く落ちません。それに体も軽く感じます。空中に浮いてるのでは? と思うほどです。


 ズシリ。あれ? 今、体が重くなったような?

「ミーニャさん、何か体が重くなった気がします」

「ああ、言い忘れていた。この魔法の効力は60分なのだ」

「ええーーー!!!」

私は必死で壁にへばりつきます。

「早く次の魔法を掛けてください!」

「そうしたいのだが、この魔法は続けては掛けられんのだ。30分ほど間を開けなければならん」

冗談じゃないです。30分もこの状態でいるのですか? 私の腕力では絶対に無理です。


 そして30分後。何とか耐えました。まさに奇跡です。

「もう大丈夫じゃないですか? 30分経ったんじゃないんですか?」

「そうだな。魔法を掛けてみよう」

助かりました。かなり上の方まで来ましたから残り30分で登り切ればいいわけです。


「ん?」

「どうしたんですか!?」

「どうやらリーサとナナカに魔法を掛けるのは無理っぽいな!」

「何ですってー!」

「どちらかが犠牲にならねばならん」

何を言い出すんですか!


「ナナカさんはボルタリングで崖登りは慣れてるんですよね?」

「さすがにこんな高い崖は登ったことないわよ。もう限界」

「私は未経験でここまで来たのです。私の方が限界です!」

もう友達とか言ってる場合じゃありません。我が身可愛さに友達を裏切るしかありません。


「落ちたってミーニャに蘇生して貰えばいいじゃん」

そんな。て、何で私が落ちる前提になっているのですか? 危ないところでした。

「蘇生できない可能性もあるぞ」

ミーにゃさんがとんでもない一言を発しました。

「何か言いました?」

「蘇生魔法の対象は生きていた時の原型が残っている者になる。頭が潰れていたり頭蓋骨が陥没していたりすると蘇生は無理だ」

私は下を見ます。どう考えてもここから落ちてまともな状態の死を迎えられるとは思えません。


 手がしびれてきました。真剣やばいです。こうなったら一か八かの勝負に出ることにしましょう。

「ナナカさん。じゃんけんで決めましょう。恨みっこなしで」

「いいわよ」

「じゃんけんぽん!」

勝ちましたー! つる! え? キャー!!! 手が滑って落ちてしまいました。ああ。この本を読んでくださった全ての読者のみなさん。今までありがとうございました!


 はっ! ここは?

「やっと気付いたか?」

ミーニャさんです。どういうことでしょうか?

「お前が落ちたので瞬間移動で頂上に送ったのだ」

え? と言うことは初めから崖を登る必要などなかったのでは? また騙されました。この騙されやすい性格を変えないと生きていけませんよね? 将来の私の家には超高価な壺があると思います。


 それにしても崖の上がこんなに綺麗なところだとは思いませんでした。花がいっぱい咲いていて見渡す限りの草原です。こんなに綺麗な花に包まれるのは何年ぶりでしょうか? ・・・・・・・・私、生きてますよね?

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