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第71話 地球滅亡のフラグ

 随分と大きな町に着きました。町のあちらこちらでたくさんの人が行き交っています。もう極東地域ではなくなったのでしょう。あっ東かどうか怪しいんでしたね。

「少し早いが、今日はここに泊まろう。大きな町だからきっと良い宿もあるだろう」

できるだけ先に進みたい私ですが、『よい宿』という言葉に負ける私です。


 私たちが町を歩いていますと、予想外の出来事が起こってしまいました。

「ねえ彼女。もし暇ならお茶しない?」

これってもしかしたらナンパという類いのものでしょうか? 勿論初体験ですのでわかりませんが、私の数少ない知識ではそうなります。どうした良いのでしょう。


「えー、どうしよっかな?」

ナナカさんは乗り気のようです。こういうの慣れてるのでしょうか?

「君、可愛いね。いいじゃん奢るからさ」

「じゃあ、ちょっとだけ。いいでしょミーニャ?」

ミーニャさんはなぜか黙ったまま固まっています。


 私たちが3人組の男の人に付いていくとミーニャさんも付いて来ました。怒っているわけではなさそうです。

「このオープンカフェでお茶しようぜ」

何かチャラいですね。


 外に置かれた縁台で団子と番茶を飲むスタイルはオープンカフェと言うより茶店ですね。

「ねえ、君たちどこから来たの?」

「西の方よ」

「へえ、凄いじゃん! 西の方は文化が発展してるんだよね?」

「そうね」

私は当然のように話に参加できません。というより話しているのはナナカさんだけです。ところでミーニャさんが借りてきた猫のように大人しいのはどうしたことでしょうか?


「趣味って何かあるの? 教えてよ」

「私はクッキーとかスイーツを作るのが好きよ」

ナナカさんが先頭を切って言いました。実にスムーズです。

「可愛いなぁ。女の子っぽくていいんじゃない?」


 男の人3人が一斉に私を見ました。私が話す順番のようです。でも何て言いましょうか?

「私は、ええっと、そうですね。刺繍が好きです。クロスステッチが得意かな?」

「何それ?」

あれ? 女の子っぽくて可愛いと言われるはずなのですが。


「そちらの彼女は?」

軽くスルーされました。

「わ、私は・・・・え~っと、モンスター虐めかな?」

「何それ?」

ミーニャさんは見事に自爆しました。


「そうだ。俺たち結構強いんだぜ。四天王の1人レッドキングにも勝ったことがあるくらいだ」

「そんなデータは聞いてませんけど」

ええーーー! ミーニャさんが敬語! これは地球滅亡レベルのフラグですよ!

「そうだ。そこいらのモンスターをやっつけるところを見せてやるよ。付いて来な」

「わかりました」

もうダメです。こんなしおらしいミーニャさんは見たことありません。


 私たちは3人に連れられて近くの森に来ました。

「丁度良い獲物がいるじゃねえか。見てろよ俺らの強さを」

そう言うと目の前にいるミニマムドラゴンZに攻撃を仕掛けました。


「ハーハーハー。どうだ見たか。俺たちの強さを」

随分疲れていますが、もしかしてこのモンスター弱いのではないでしょうか? 攻撃も殆ど私レベルでしたし。この人達はそのモンスター相手にギリギリで勝ってたような気がします。


「次はあのモンスターだ」

やたらと大きなドラゴンです。どこかで見たような。とても強そうですが、この人達に勝てるのでしょうか?

「おい、あれはやばくないか?」

「どうしてだ?」

「あれはファイヤードラゴンブルーだぞ」

「何だと!」

「取り敢えず退却だ! 逃げろ!」

「ダメだ! 逃げられない。助けてくれー」

惨めですね。格好付けるからこうなるのです。


「仕方がないな。ほれ」

ファイヤードラゴンブルーは一瞬で消え去りました。

「助かったぜ」


 そしてミーニャさんが男の人たちを睨み付けて言いました。

「とっとと消え去れ。弱い男は嫌いだ」

「何だと!」

「お前たちもファイヤードラゴンブルーのように消え去りたいか?」

「ひええー! ごめんなさーい」

男の人達が転げるようにして逃げていきます。


「あ~あ、せっかくいい男見つけたのに。もったいない」

「ナナカはあんなのが好みか?」

「そうでもないけど。最近デートなんかしてなかったし」

「ハ-ドルが低いな」

「そういうミーニャだって超緊張してたじゃん。多分こういうの初体験なんじゃないの?」

「そんなことあるか!」

やはりあの敬語はそういうことだったのですね。地球滅亡のフラグじゃなくてよかったです。


 こうして私の初体験である「ナンパされる」は不完全燃焼のまま終わるのでした。

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