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第68話 3人でペアルック

 こよ町はなかなか大きいな。やたら活気に溢れていると思ったら若者が多いのか。

「ファッションセンスのいい店が多いな」

「本当ね!」

ナナカの目が輝いている。こういうの好きそうだからな。


「この服可愛い! ねえ、ミーニャもそう思うでしょ?」

可愛いか? どうも最新のファッションはわからぬ。

「ミーニャも一緒に服を見に行こうよ」

「私は別に・・・・」

「ミーニャも一緒にリーサに着せる服を見に行こうよ」

「そういうことならいいぞ」


 私たちが店に入るとリーサが渋々後をついてきた。

「リーサも自分の好みを言ってもいいんだぞ」

「私は質素な白いワンピースが・・・・」

「却下」

「どうしてですか!?」


「ねえ、このスカート可愛くない?」

ナナカがフレアスカートを持ってきた。これはさすがに短くないか? リーサに着せるならいいけど。

「3人でお揃いにしようよ」

「却下」「嫌です!」

私とリーサが同時に言った。


「どうして?」

最近の若い女子の考えることにはついて行けん。恐らく私の方が年下なのだが。まさかラスボスが膝上10センチのフレアスカートを履くわけにも行くまい。


「これなんかどう? お揃いで」

今度も短い。しかも白のひだスカートだ。

「チアガールですか!」

リーサが的確なツッコミを入れてくれたようだ。


 もしかしてナナカはペアルック的な物が好きなのか? とてもラスボスがすることではないな。

「これなんかよくない?」

どうしてこいつの選んでくる服はミニスカートばかりなんだ?

「私はペアルックの趣味はないぞ」

「ええ! 仲良し3人組って感じでいいじゃん」

『仲良し3人組』だと! 的確に私の気に入りそうなワードを使ってくるではないか。うん? 待てよ。もしかしてリーサと同じ服を着られると言うことではないのか? ナナカは余分だがリーサと仲良しペアルックができるということになるのか。これはいいかも?


「わかった。3人でペアルックにしよう」

「やったー」

「3人でもペアルックって言うんですか?」

リーサが何か言ってるが気にしないでおこう。


「私こんな服は嫌ですからね。これじゃコスプレじゃないですか?」

なかなか難しいものだな。リーサに似合いそうな服を探すとリーサが拒否し、私が似合いそうな服を探すとナナカが否定する。


「やっぱりこれは誰かに合わせなきゃ探すの無理だよ」

ナナカが根負けしたように言い出した。

「そうだな」

「ここはリーサに似合いそうな服にしましょう」

ナナカが提案した。

「絶対に嫌ですからね」

「何しろリーサは写真集まで出す有名人だからな」

「誰のせいでそうなったんですか!」

リーサの奴、文句ばかり言いおって。


「やっぱりメイド服だよね」

「ラスボスがメイド服を着てどうする!」

これではきりがないな。

「ここはリーサの意見を聞いてからそれを元にして探すことにしよう」

我ながら名案だ。リーサが文句を言っておるのだからリーサの意見に合わせれば文句も出まい。

「そうね。リーサが反対ばかりしてたら決まらないもんね」

「いいんですか?」

「ああ、構わぬ。リーサの好みを言ってみろ」

「だったら白いワンピースがいいです」

「わかった。ナナカ、白いワンピースを探すぞ」

「ラジャー」


「よし、これだ!」

私とナナカは自信たっぷりに持ってきた服をリーサに見せた。これを探すのには苦労したぞ。

「ちょっと待ってください」

まさか不服があるのではないだろうな?

「どうかしたかリーサ?」

「確かに白いワンピースですが、この広がったスカート部分、無駄に多い刺繍、そして裾を擦りながら歩く丈の長さ、これってウエディングドレスですよね?」

「ああ、お前にピッタリだ」

「そういう問題じゃなくて。こんなの着て町中を歩くつもりですか?」

「嫌なのか?」

「嫌です!!」

「ええーーー! 私これ着るの夢だったのにー」

「自分の結婚式で着てくださいナナカさん」


「まあいいから試着だけでも。私たちも着るから。さあさあ」

ナナカがリーサの背中を押して行く。そして、リーサは嫌がりながらも試着室からウエディングドレスを着て出てきた。

「おー! 似合ってるぞリーサ」

「何でお二人は着てないのですか?」

「まあいいから」

「さすがにこれを町中で着るのは勇気がいるわね」

「ナナカさん! 騙しましたね?」


 リーサがナナカを問いただしていると、店員がやってきて、

「お似合いですよ」

と言った。

「そうだろ」

私が自信たっぷりに言う。

「このまま着て帰られますか?」

おー! さすがおしゃれな店だけはある。わかっておるな。

「もちろん、そうするぞ」

「ちょっと待ってください! 何を勝手に決めているのですか!?」

私たちは暴れるリーサを押して店から出て行くのであった。

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