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第65話 超田舎の村

 村がありました! 人間の住む村です。でも村人はあまりいませんね。いても活気がありません。

「ここには宿がないのか?」

そう言えば宿の看板が見当たりません。


「おい」

ミーニャさんが村人を見つけ呼び止めました。

「ここらに宿はないか?」

「ありません。以前はあったのですが旅人があまり来ないものですから廃業しました」

「それは困った」

「もし泊まるところをお探しでしたら私の家においでください」

とてもいい人のようです。


「そうか。では世話になるとしよう」

「どうぞこちらです」

私たちは小さな家に案内されました。


「何もなさそうな家ね」

ナナカさん、まさかこの家で泥棒行為はしないですよね?

「狭いですがこの部屋をお使いください。私は隣の居間で寝ますので」

まさか寝室を私たちに貸してくれるのでしょうか? どこまでいい人なのでしょう。


 更にこの家主さんは食事まで用意してくれたのです。

「粗末な物しかありませんが召し上がってください」

出された物は葉物野菜ばかりでした。

「この辺りは寒さのために作物が採れません。動物も少なく肉も手に入らないんです。食べられるものはそこらに生えている雑草が殆どでして」

「それはきついですね」

私は思わず涙ぐみます。


「タンパク質不足は深刻で仕方なくモンスターを襲うこともあります。当然のごとく返り討ちに遭い亡くなる村人も少なくありません」

思った以上に大変な生活をしているようです。どうにかしてあげたいのですが私にはどうすることもできないですよね。


 その夜、私たちはしんみりとした中ミニ作戦会議を開きました。

「何とかならないの? ミーニャだったら何かできるでしょ? ラスボスなんだし」

「そうだな。魔王城に帰ったら手を打とう」

「これで安心ですね」

私はほっと胸を撫で下ろします。


「だが、歩いて帰るとなると何日先になるかわからぬからな」

「この緊急事態でも、まだ歩きですか?」

私は思わず大きな声で叫びました。

「わかった。仕方あるまい」

やりました! これで歩かずに済みます。

「レッドキングに連絡を取ろう」

そんなことができたのですね。


「もしもし私だ」

まさかのスマホですか! お願いですから異世界的な物で連絡を取ってください!

「え? ここの位置か? わからん」

「どうですか?」

私がミーニャさんに恐る恐る聞きます。

「ここの位置がわからぬから物資が届けられないそうだ。役に立たん奴だ」

たぶんレッドキングさんの方が正解だと思います。

「やはり一旦は瞬間移動で魔王城に帰って、物資を持って戻ってくるべきです」

「一旦ここを離れたら戻って来られる自信がない」

「そうですか」

私はため息をつきました。


 そして私たちは何の解決策も出せぬまま眠りにつきました。何とかしてあげたいのですが無理なのでしょうか?

 

 ガタン! 真夜中に戸が開く音がしました。誰か来たのでしょうか?

「悪く思わんでくれ。我々が生きていくためだ」

え? 刃物を持ったおじさんが部屋に入ってきました。

「ミーニャさん! 起きてください! 大変です」

「起きてしまったか。まあいい。結果は同じだ。悪いが死んで貰う。わしらはタンパク質が必要なんだ」


「私たちを殺して食うつもりか?」

「そうだ。そうしないと生きていけないんだ」

「私を敵に回すと後悔するぞ」

「この子娘が!」

バン。ワー。人間が1人でラスボスに勝てるわけないですよね。


「状況を考えて今回だけは見逃してやろう。二度とこのようなマネはするな。よいか!」

「お父、どうしたんだ?」

息子が入ってきました。

「ちょっと油断しただけだ」

刃物を持った家主が再び構えました。よせばいいのに。


「困った奴だ。言っとくがそのような武器で私を倒すなど不可能だ。わからぬか?」

「何を言ってやがる寝言は寝てから言え」

ピク! ミーニャさん耐えてますね。

「言っておくが私はラスボスだぞ」

「ラスボス? 聞いたことねえな」

さすが田舎ですね。ここまで来るとラスボスを知らない人もいるのですか。


「どこのどいつか知らねえがそんな馬の骨ともわからん奴に負けるわけがねえ」

ピクピクピク! かなり耐えてますね。ミーニャさんにしては凄く耐えてる方だと思います。


「お父。お願いだ。この可愛い女だけは殺さないでくれ。俺の嫁にしたい」

息子は私を指さしています。

「後の2人は大して美しくないから殺してもいい」

「大激怒ー!」

ボカン!

「ワー」

一番言ってはいけないことを言ってしまいましたね。でも、私が選ばれたのはこれで二度目です。もしかして私は異性からしたら可愛く見えるのでしょうか? 


 この状況なのに思わず笑みがこぼれてしまう私なのでした。

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