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第6話 天才的な方向音痴

 今日は嵐のように慌ただしい一日でした。あの大きな男の人は無事でしょうか? 『体が燃えるようだ』と言ってましたが、まさか焼け死んでないですよね? もうあの町には戻れないような気がします。少し慣れてきただけに残念ですが仕方ないですね。次の町に行くことにしましょう。


 確かこの道をまっすぐに進むとライブリーと言う隣町に行けるはずです。ライブリーはとても活気溢れる町だそうですので、先ほどの町よりいいかもしれません。一本道なので迷うこともないでしょう。もう午後三時を回った頃だと思います。ここ異世界では腕時計など存在しませんので、こういう時は太陽の傾きで判断します。不便ですね。


 もうそろそそろ着いてもいい頃なのですが一向に町など見えてきません。これはおかしいです。山道を歩いていたはずなのですが、なぜか波の音が聞こえてきます。そして突然目の前に自殺の名所になりそうな断崖絶壁が見えてきました。どうやら迷ってしまったようです。一本道を歩いていただけなのですが・・・・。


 そう、私は極度の方向音痴なのです。『よし、こっちだ!』と確信を持てば持つほど逆方向に行ってしまうという特殊能力を持っています。でも一本道で迷うなんてあり得るのでしょうか? 改めて自分の才能に驚かされます。


 日が暮れ始めてきました。こんな危険な場所で一夜を過ごしたら、私のことですから夜中に寝ぼけて海に落ちてしまうことは必至です。命あっての物種ですから来た道を戻ることにします。


 さっき歩いて来た道を戻っているだけなのですが、今まで見たこともない景色になってきました。ここまで来ると私の方向音痴は天才の域に達しているかも知れません。完全に日が落ちてしまいました。もう真っ暗です。フクロウの鳴き声が聞こえています。異世界にもフクロウはいるんですね?


 よく見ると私の周りには木がいっぱいあります。もしかしてここは森の中かも知れません。これはまずいことになりました。森にはモンスターがたくさんいます。更に夜の方が強いモンスターが出ますから本気でピンチです。そう言えば先ほどから『キー』やら『ウオー』やら非常に怖い鳴き声が聞こえています。一刻も早く歩いてきた道に戻ることにしましょう。


 ・・・・・・・・先ほどの道に戻れません。そうでした。私は極度の方向音痴なのでした。こんな不気味な森で一夜を過ごすのはごめんです。絶対幽霊が出るに決まっています。


 ガサガサ!

「ん?」

バーン! 突然、ミツメコゾーンが現れました。

「キャー!」

いつもはわざと大きな悲鳴を上げるのですが、今回は自然と大きな悲鳴を上げることができました。私はお化けが大の苦手なのです。でもこの悲鳴のおかげで逃げることができたようです。


 ガサガサ!

「うらめしや~」

今度はヒトダマーンです。

「キャー!」

あれ? 体がしびれて動きません。ヒトダマーンの眼力で動けないのでしょうか?

「キュピー!」

またしてもクロシッポに助けられました。


 ガサガサ! 次はロクロックビンです。どうして今日は幽霊系のモンスターばかり出てくるのでしょうか? これではまるでお化け屋敷にいるようです。

「キュピー!」

本当にクロシッポ様々です。


 ガサガサ!

「ニャン♡」

今度はニャンコムスメです。もういい加減にしてください。


 シーン。あれ? クロシッポさん? どうしましたか?


 ニャンコムスメはクロシッポをじっと見ています。一方クロシッポは震えながら私の後ろに隠れました。そして突然ニャンコムスメはクロシッポに飛びつきじゃれ始めました。なるほど、しっぽアクセサリー系のモンスターは猫系のモンスターに弱いのですね。


 そんな呑気なことを言っている場合ではありません! こうなったら私が戦うしかないようです。

「ウォーターシャワー」

私が呪文を唱えるとニャンコムスメに雨が降り注ぎました。何とニャンコムスメは大慌てで退散していきます。やはり猫は水が嫌いなのですね。


 ガサガサ! もう次はどんなモンスターですか? 神様お願いですから幽霊系はもう勘弁です。

「ガォー!」

え? この大きなモンスターって、もしかして伝説のフォレストドラゴンですか? 確かに神頼みは通じたようですが事態は悪化しています。


 フォレストドラゴンは森の守り神とも言われる強い強い伝説のモンスターです。全身が緑色の鱗に覆われ全長は優に20mを超えています。信じられません。私はまだレベル5の魔法使いですよ。どうしてそんな凄いモンスターが急に現れるのですか?


 では、いつもの作戦で行きます。

「キャー!」

ダメです。怖くて体が動きません。

「キュピー!」

クロシッポ様ありがとうございます。あれ? ビクともしませんね。全く効果が無いようです。クロシッポの攻撃が通じないとなるとこれは真剣にやばい状況です。


 フォレストドラゴンがゆっくりと近付いてきます。どうせ戦っても勝ち目はありませんから、話し合いに持ち込むことにします。

「フォレストドラゴンさん聞いてください。私はあなたに逆らう気は微塵もありません。どうかここは平和に」

「ガォー!」

聞いてませんね。どうやら言葉は通じないようです。もうやるだけやって最期を迎えるしかないですね。

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