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第51話 リーサおめでとう!

 今日は私の誕生日。ミーニャさんとナナカさんがお祝いをしてくれるそうです。今、ナナカさんがケーキを焼いてくれています。魔法で出したものではなく愛情いっぱいの手作りケーキです。ナナカさんの焼くケーキは最高に美味しいので大好きです!


「もうすぐできるわよー」

いい匂いがしてきました。ケーキやクッキーを焼く時の匂いって最高ですよね。

「いい匂いだな」

ミーニャさんも同じことを考えているようです。


「できた!」

「やったー!」

私は素直に喜びます。ナナカさんのケーキ大好きですから。


 パク。美味しいです。これ以上の幸せはありません。ナナカさんありがとうございます。

「えらく嬉しそうだな?」

ミーニャさんが私を見て言いました。

「それは愛情たっぷりの手作りケーキですからこれ以上の喜びはありません」

後から思えばこの一言がいけなかったのだと思います。


「そうか。では私もリーサのためにケーキを焼いてやるぞ」

え! 

「ええっと・・・・ミーニャさんてケーキとか焼くことがあるのですか?」

「私はラスボスだぞ。そんな物を焼くわけがなかろう」

それはそうですよね。


「おいナナカ、作り方教えろ」

当然こうなりますね。

「もう仕方ないなあ」

ナナカさんは面倒臭そうに椅子から立ち上がりました。


「もうちゃんとしてよ」

「どうして小麦粉とやらをふるいに掛けなくてはならんのだ? ぶち込めばいいではないか」

「ダメよ! スイーツは手間暇掛けなきゃ美味しくならないの」

「そんなものか?」

「次にバターと牛乳と蜂蜜を・・・・」

「これも入れようぞ」

「何よこれ?」

「ラオウ魚の胆だ。魔法の秘薬を作るのによく使われる」

「そんな物入れたら生臭くなるでしょ!」

「別によいではないか」

「よくない!」

「よしこれも入れるぞ。この前ナナカが採ってきた赤に白い斑点のキノコだ」


 あれって毒キノコですよね?

「毒抜きしてですよね?」

私は恐る恐る聞きました。この後食べることになるのはきっと私です。

「面倒だからそのままでいいだろう」

「絶対にダメです!」

「少量の毒は味をよくするそうだ」

「今、まるごと入れましたよね!?」


「できたー!」

ミーニャさんは両腕を思いっきり突き上げて歓喜の言葉を叫んでいます。

「何かプスプス音がしてるんですけど」

「そんなに嬉しいか?」

「今の言葉のどこに喜びの要素ありました?」

ナナカさんが横で笑い転げています。


「さあ、今日はリーサのめでたい誕生日だ。遠慮せず食べてくれ」

「遠慮します」

「どうしてだ?」

「死にたくないからです」

私はぷいっと後ろを向きます。


「リーサのために作ったのだぞ」

ぷい。

「私の始めて作ったスイーツなのだぞ」

ぷい。

「ラスボスは絶対にこんな物を作らぬのだ。だが大好きなリーサのためだから特別に作ったのだ。それでも食べないというのか?」

「何を言っても食べませんからね!」


「ほれ」

パク! ええーーー! 大声を出した時に口に入れられてしまいました。ああ! 何という不覚。とんでもない激痛が口中に広がって・・・・あれ? 美味しい?


「何で? 何で美味しいのですか?」

「どうだ。私の実力は?」

「もしかして私は死にかけているのですか? だから不味いものを食べても美味しく感じるのですか?」

「おい! 不味いものとは何を指して言っているのだ?」


 私の体は特に変調はないようです。でも、どうして毒キノコをまるごと入れたケーキを食べても死なないのでしょうか?


「美味しいだろ? もっと食べるがいいぞ」

「悔しいけど美味しいです」

「はははは、そうだろう」

ミーニャさんがどや顔で私を見ています。


「どうして私は死なないのですか?」

「さっき入れたのは毒キノコではない。毒キノコを真似て作ったチョコレートだ」

「騙したのですね? でもミーニャさんの作ったケーキが美味しいわけありません」

「おい、どういう意味だ?」

「だって」

私は俯いて誤魔化します。


「教えてやろう。実は、私はパテシェの免許を持っているのだ」

「ええええええーーーーーーーー!!!!!!」

「さっきの数倍『え』が多いぞ」

「だって思いっきりに合わないですし」

「今日が誕生日でなかったら速攻消してやったぞ」


 それにしてもあれだけ滅茶苦茶な作り方のケーキが美味しいなんてあり得ないです。恐らくあのプスプスいってたのも演出ですよね? すっかり騙されてしまいました。ミーニャさんて本当に不思議な人です。そして私の横ではナナカさんがまだ笑い転げているのでした。

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