第39話 私の黒歴史
もう午前10時を回りました。本来なら起きている時間だと思いますが、今日の私はベッドから出られません。嵐のように過ぎていった昨日を思い出すと何もする気が起きないのです。まさかあんな服まで着せられるとは・・・・。これはまさに黒歴史ですよね。
「リーサ、朝ご飯も食べずいつまで寝ておるのだ?」
人の気も知らないで。ミーニャさんの声はいつもより明るい気がします。
「今日は調子が悪いのです。そっとしておいてください」
私は布団を頭から被りました。
「まあそう言わずこれを見ろ。お前の写真が載った公報ができあがったぞ」
がば! 私は慌てて飛び起きるとミーニャさんから広報を奪い取り凝視しました。
「キャー! この写真って! まさかこんなに・・・・」
スカート短すぎです。昨日は命惜しさに言われるがままに服を着てしまいましたが、まさかこんな姿だったとは思いませんでした。
「いい写真だろ?」
「どこがですか! ああ、穴があったら入りたいです」
「そうか」
ミーニャさんは腕を組んで考えています。今の私の言葉に考える要素があったのでしょうか?
「ほら穴を作ったぞ」
私の目の前に大きな穴が現れました。
「これって・・・・」
「いや穴に入りたいと言うから」
確かに言いましたが、本当に入りたいわけではないですよね。でも今の心境からすればこの穴に入ってもいいかなという気もします。
「どうした? 入らないのか? ただ・・・・」
ん? ただ何でしょう?
「この穴の先は地獄に通じている可能性がある。ここに戻ってこれる保証はないぞ。で、入らないのか?」
「入りません!」
ミーニャさんて本当に冗談が通じないですよね。まあ、『穴があったら入りたい』は冗談とは言えませんけど。
「申し上げます。リーサ様の写真集ができあがりました」
そんな物まで作っていたんですか。それにしてもできあがるの早過ぎです!
「そうか。見せろ」
「は! これにございます」
「おー! これは素晴らしい! リーサも見るか?」
「結構です」
何なのですか? これ以上は落ち込みたくないので見なくていいです。
私はため息をつくと再びベッドに寝転びました。
「これは酷い! リーサがこんなポーズを取るとはな」
がば!
「見せてください!」
「キャー!」
どうやら途中から麻痺していたみたいです。まさかこんな写真を撮らせるとは不覚です!
「これを世に出したりはしないですよね?」
「何を言っておるのだ。こんな素晴らしい物を発売しない手はなかろう」
「止めてください!」
私はミーニャさんの肩を掴み懇願します。
「いいのか? 明日の太陽が拝めなくなるぞ」
「もうその脅しは通じませんよ。たとえ太陽が拝めなくても、私には月があります。もっと言えば金星や火星もあるのです」
「何を言っておるのだ?」
私は真剣な眼差しでミーニャさんを見つめ続けます。
「まあ、リーサがそこまで言うのなら写真集は諦めるか」
その時、超明るい声が聞こえました。
「リーサいる?」
ナナカさんです。
「あれ? これってリーサの写真集じゃん。わー可愛い!」
「そうだろう。私もそう思うぞ」
「これ私も欲しいな」
ナナカさんは可愛いポーズでおねだりをしています。
「残念だが、この写真集はこの見本品だけしかないのだ」
「そんなあ」
「これを大量生産すればいくらでも手に入るのだが」
「だったら大量生産しましょうよ。絶対売れると思うわ」
「そうだな。やはりこれは世に出す必要があるよな! 出版しよう」
「やったー!」
「本人抜きで話を進めないでください!!!」
まさか本当に出版しないでしょうね。結構不安です。
「ラスボス様。リーサ様の写真集は初版100万部でよろしいでしょうか?」
「それでは少ない1000万部にしろ」
「は! 了解しました」
いつの間に命令したんですか!
「ねえ、ミーニャ。リーサの写真集第2弾は水着がいいと思うんだけど」
水着!
「ほー、それはどのような物だ?」
「これよ」
「何だこれは! 殆ど服を着ていないのと同じではないか! よし、これにしよう」
がば!
「ちょっと見せてください!」
これはビキニというレベルではないです。布部分が極端に少ないではありませんか!
「お前らの国ではこれを着て泳ぐのか?」
「勿論です」
ナナカさんは深く頷いています。
「嘘です! こんなの着る女性はいません!」
「まあよいではないか。よいではないか。早くこれを着て見せてくれ」
悪代官ですか!
「絶対に嫌ですからね」
「そんなことを言わずに着て見せてよ」
ナナカさんまで何を言ってるんですか。人ごとだと思って。
「わかりました。勿論ナナカさんもこれを着ますよね。私だけに着せたりはしないですよね」
これで大丈夫でしょう。これを着たい女性はいないはずです。
「いいよ」
「え?」
「もう一着作るから一緒に着ましょう」
「ええーーー!!!」
藪蛇でした。まさかナナカさんに羞恥心がないとは思いませんでした。
そして私は更に黒歴史を築いていくのでした。




