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最辺境⑱

俺達が身を潜めている森林は森の密度が高く、更に木々も背の高いものが多い。


だからこそ周囲からも見つけ憎く、隠れるに向いた場所だった訳だが。


少し高めの場所に上る事により見えるようになった森の景色、その中に明らかに異質なものが存在していた。


無残に倒され、大きく開けた森の木々の先。その先に、異様な存在がそびえている。


それは、俺の知識の中で近い姿を上げるとしたら、カバが一番近いだろうか? 見る限り全身が黒い体毛に覆われており見た目だけでいえば程遠いかもしれないが、見える感じの形状はカバに近かった。


ただ、それだけであれば異様な存在だなんて思わない。ここは異世界だ、俺が見たことの外見の存在なんてものはいくらでもいる。それでも異様と感じた理由は、そのサイズだった。


我々の位置からの視点では森の木々に隠されてその全容は見えない。だが完全に隠れているほどでもない。恐らく周囲の木々は大体10m前後の高さであり、奴はそれとほぼ同等の高さを持っていた。更に横幅に関してはそれよりも大きい。近くで見ればそれこそ3階建てくらいのビルが目の前にそびえたっていると感じるのではないだろうか。……さすがにこちらの世界でもここまでのサイズの化け物はみたことがない。


そんなとんでもない化け物が森の木々をなぎ倒しつつ歩を進めている。……まっすぐこちらに向かっている訳ではないようだが、近めを通りそうなルートで進行を続けていた。


アリステラさんには俺達が隠れる正確な場所は伝えられていないが、彼女自身は森の外周部へと引きずっていくと言っていた。だが、確かにあの化け物は外周に近い位置にいるものの、それは元々の進行ルートがそうなだけでアリステラさんの意思で引きずっているようには見えない。一応こちらに向かうような進行ルートではないが……


「これは……正直押しとどめられていませんわね」

「あのサイズを一人で止めるのは無理よねぇ」


ユマの言う通りだろう。あのサイズはどう考えても人が一人で何とかできるサイズではない。というか、


「一人じゃなかったとしても、あんな馬鹿でかいものを倒せるものなの……?」

「瘴気獣はダメージを与えればその存在も稀少化していくから、倒せない事はないハズですわ。実際過去にはあれに近いサイズの瘴気獣が出現して、それを倒した事例は何度もありますもの。ですけど……」

「倒す前での間にかなりの範囲が瘴気に侵されてしまったわね」


言い淀んだリズの言葉を引き継いで、ユマがそう口にする。


瘴気に侵されるという事は人がその場で生きていく事はできなくなるということだ。スールという対抗手段を見つけたとはいえ現状ではまだそこまで量産する手段はないし、そもそもスールの花園は瘴気を広げるのは抑えきれても瘴気の獣を抑え込めるほどではないだろう。かなりの広さを誇るならともかく、今俺が作れる程度の花園なら。


そう、スールの花園ならば、だ。


「なぁ、ユマ」


心にある思いを秘めて、俺がユマに声を掛けようとした丁度そのタイミングだった。


「ヒビキ、急いで周囲に緑を広げてくれ」


その言葉に、ノインさんのやや焦りを含んだ声が被せられた。


ノインさんは望遠鏡を持ち、瘴気獣の方じゃない別方向を見ていた。その表情が固さを含んでいる。


その二つで、ノインさんの視界の先に何が映っているのかは予想がついた。


「もしかして、ノインさん、教団が?」


その問いに、ノインさんは一度望遠鏡から目を離してから頷いた。


「森の中に突入していく集団が見えた。辺境の、あんなばかでかい瘴気獣が出現している森の中に突入してくるとしたら、二つしか考えられない」

「一つは我々を探すためですよね?」

「ああ。だけどあいつらの突入した位置から考えると、少なくとも私達の場所を特定しているとは思えない。そして捜索するならわざわざ瘴気獣が発生している場所になど突入しないだろう。だとすれば考えられるのは、瘴気獣の討伐の妨害だ」



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