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最辺境⑮

そうと決まればと、俺達は即日動き出した。確率は低いけど、すでにルーベス教団関係の人間がこの辺境に来ている可能性がないわけじゃないからな。


家の中に広げていたそれぞれの私物は、最低限のものだけ持っていく事にした。理由は来るときに使った馬車を置いていくためだ。


理由は、このすでに人が住まなくなった辺境の地では、馬車の轍で行き先を感づかれる可能性があると考えたためだ。なので馬だけ連れていくことにした。馬に関しては辺境でも野生化しているものがいくらかいるし、馬車と違い整備された街道から外れたところでも移動できるので連れていく事になった。いざという時の足にもなるしな。まぁ馬車は国に保護してもらった後に回収してもらってもいいだろう。


花園に関してはどうしようかという話も出たが、これに関しては放置した。あそこに生えているスールは俺がラーニングしているものだから生やす事は可能だし、あれを残して置けば丁度いい目くらましにもなるだろう。


俺達は別にずっと辺境で隠れ続けなければいけないわけじゃない。こちらへの援軍はすでに出立しており、その先発隊は後数日もすれば到着するそうだ。その先発隊のメンバーを聞いたアリステラさんは彼らが到着すれば問題ないと判断したので、そこまで教団に見つからなければいい。


そうして翌朝、俺達は慣れ親しんだノインさんの実家から離れることになった。


当日ではなく翌日になったのは、アリステラさんが監視の件で少し動く必要があった事もあるが、割とすでに遅い時間になっていたため村の周辺の開けた場所で野営なんかしたら遠目からでも目立ってしまうのがメインの理由だった。夜通し歩くという選択肢も同じでさすがに街灯もない場所で他の明かりも無しにあるくのは体力の浪費が酷い事になるしね。その点村にいれば雨戸みたいなのを閉めておけばそんなに光は漏れないし、そもそも周囲にも遮蔽物があるから視界も通りづらいからな。


で、翌日出発した俺達は移動を続け、この周辺では規模の大きい森の中へと入っていた。


その理由は、ノインさん曰く森の中に潜むにはちょうどいい建物があると提案された事だった。なんでも昔そこに住んでた人がいたらしい。そこの住人はノインさんが地元を離れる前にはすでにいなくなっていたみたいなんだけど、以降も最寄りの村の猟師等が利用していたようなので恐らくは使えるんじゃないかという話だった。近くに小川も流れているということで、身を潜めるにはこれ以上ない場所だろう。最悪そこが使えなくても更に半日程移動すれば別の村があるとのことで、そちらでもいいからとの判断になった。


「問題なく使えそうねぇ」


その建物だが、結論からいえば問題なく使えそうだった。

辺境からの退避命令が出てからは使っている人間は当然いなかったろうからやはり埃は被っていたが、痛みなどに関しては問題なさそうだ。


「……掃除などは明日ですわね。今日はさすがに疲れましたわ」

「だなぁ。さすがに足が痛いよ」


朝からほぼ丸一日歩いてたからね。こちらの世界に来てからは日本にいたころに比べると歩く事増えたけど、フルに歩き回ってたのはロア高原くらい?なのでほぼ平地だったとはいえ足がパンパンである。


……歩き回る機会が多かったらしい他の3人は割と平気な顔しているけど。


「正直ここなら、気づかれる事はなさそうねぇ」

「教団にここの最寄りやウチの村の人間がいれば感づかれる可能性もあるけど……その可能性が限りなく低いしな」


ユマの言葉に、ノインさんが同意する。


いわくルーベス教団の信者は辺境には少ないという。そりゃ自分達の生活圏が常に危険にさらされる可能性を秘めている場所でそのまま滅びればいいなんて思考は持ちづらいだろうし、逆にそんな思想を持っていれば狭い村社会では村八分になるし、交流のある近場の村にも伝わる。隠れ信者の可能性はあるけど……そこまで気にしていても仕方がない。少なくともノインさんの村や近隣の村ではではそういった思想の人間は聴いた事はないとのことだったのでそれを信じておこうと思う。


となれば、この短期間ではそこまで多くの人手を動員できないであろうルーベス教団では、森の中まで探索の手を伸ばせる可能性は低いハズ。ある程度の規模の人員がこの辺境に踏み入ろうとしたらアリステラさんが連絡してくれた近隣の部隊が止めるなりこちらに連絡をよこすなりしてくれるだろうしな。


「これで後はここでひっそり待つだけかぁ」


数日間なら、問題はないハズだ。



















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