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最辺境②


「今日は簡単な料理になるけど、勘弁してくれな?」

「構わないわよぉ。それに簡単な奴でも、ヒビキが作る料理は美味しいしね」

「わたくしお姉様の作る料理ならなんでも美味しく食べれる自信がありますわ!」


馬車から降ろしてきた食材の中から足の速い素材を選びつつ、片付けをしている皆の方へ声をかけると、元気にそう返事が返って来た。ちなみに、ノインさんはそんな二人を見てくすくす笑っている。


あの後4人で片付けを続け、ひとまず馬車からの荷下ろしは終わっている。今は家の中の片付けで、それも落ち着いてきたのでひとまずおれはそちらを抜けて夕食を作る事にしたのだ。


食材に関してはいずれは狩りや俺の能力を使った栽培を使って用立てるつもりだが、とりあえず数日分の食材は問題なく用意してあるのでそちらを使用する。


ただまぁ馬車での移動と片付けで俺自身も疲れているので、手抜き料理になるのは勘弁してほしいところだ。


とりあえず持ち込んだ調理道具を並べて、エプロンを着けて、と。以前の旅と違って今回は宿のないところに行くのが分かったから慣れ親しんだ調理用具も持ってきているんだよね。


ちなみに水はノインさんが汲んできてくれている。


「片付けはひとまず中断するぅ?」

「ああ、そうだな。埃が立つし」


というか食堂に関しては俺が先に片付けていたので、もうあまり片付ける部分もないし。


「まぁ自分の部屋に戻って、片付けてもらっててもいいけど」

「勿論ここでお姉様の後ろ姿を鑑賞していますわーっ!」


いやそこまで宣言されるとやりづらいんだけど!?


リズが俺の事を見ているのはまぁいつものことだけど、正面からならともかく背後から見ている事を言われるとなんかむずむずするんだよなぁ……なんとなく尻の辺りとか。とはいえ言ったところでみて来そうなので、放置する。考えすぎないようにしよう。


愛用の包丁とまな板を用意し、食材を刻んでいきながら背後に向かって声を掛ける。


「ユマ、明日はまだ実験しないんだよな?」

「そうねぇ、まだいろいろ整理したいし明日は一日引きこもりかしら」

「じゃあ、俺は予定通り瘴気に浸食されているラインの確認か」


一応馬車で移動している中で俺とユマは今後の予定を話し合っているが、その時にまずはどこまで瘴気の浸蝕を受けているのかをはっきりさせようという話が合った。


国も正確なラインは把握していないらしいし、そもそもこの近郊の避難が終わったのは大分前だ。その当時とはラインは大分変っている可能性がある。


俺自身は瘴気の影響を受ける事はないが、他の三人は当然瘴気に触れれば体に害を為す可能性がある。スールがあるので影響を受けても回復できるかもしれないが、スールの効果はあくまで話に残っているだけで実証確認ができているわけじゃないからな……


「ヒビキが生やした植物で検証する事はできないのかい?」

「俺の能力で産んだ奴だと、俺の能力の影響で枯れない可能性があるんで……」


少なくとも俺が生やした奴は駄目な気がする。大空洞で俺が生やした植物、生やした後もしばらくそのままだったからな。試験は一応自然に成長させた奴と、俺が生み出したのではなく成長促進を行っただけのもので実施する予定だ。


「ということは、明日は私とヒビキで偵察か」

「そうなりますわね。私もお姉様についていきたい所ですけども……」

「何かあるとしたらこっちの方になるし、ユマ一人にするわけにはいかないだろ」

「ま、ですわね」


リズは俺にべったりではあるが、聞き分けがない訳ではない。例えば部屋割りは結局くじ引きとなり俺とユマが同室になったのだが、結果が出た後にごねる事はなかった。


明日の件に関しても、俺が行くのは確定として同行するのはこの辺りの土地事情に詳しいノインさんが妥当だ。さすがに瘴気の浸食が進んでいる地域に野盗がいるとも考えられないので、護衛といっても動物からの護衛程度になるだろう。そうなると自然にユマの護衛はリズになるわけで、ここを拒否する事はなかった。ちょっと俺に対して特殊な感情を持ってはいるが、いい子なのである。


「あ、でもお昼ご飯は私の好物を含めて欲しいですわ!」

「はいはい」


こういう年相応に子供っぽいところも可愛いしな。




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