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最辺境①

「成程、全然そのまま使えそうねぇ」

「廃棄されてまだ時間が左程たってないからね。埃だけ払えば問題ないと思うよ」


ノインさんと再会してから十二日程たった。


あれから俺達は出発の準備を進め、ほぼ予定通りにエクレールの街を離れ、ノインさんの故郷のルーランというらしいへと旅立った。


辺境に近い都市であるエクレールから更に辺境へと向かうという事で、当然街道などには俺達以外の旅人等殆ど見かける事はなく静かな旅になった。


見かける事がなかったといえば、旅人だけではなく野盗の類もだ。


この世界ではそこまで治安は悪くないため、街道沿いで野盗の類に会う事は殆どない。主要都市を結ぶ街道はそれなりの交通量もあるし、各都市の警備隊も主要都市なら割としっかり仕事をしているからだ。


だが主要都市の部分から外れるとなると話が変わってくる。


特に俺達は見た目は見眼麗しい女性4人組だ。そういった旅人は街で目を付けられて、街から離れた後に破落戸に襲われるなんていう話はよくとは言わないが偶に聞く話ではある(俺もエクレールで近い事が一度あったしな……)。が、今回の旅はそんな連中も全く見ることがなかった。


というのも、そもそも最辺境の地域の村人たちが村を捨て移動してしまったため、そちらの方面へ向かう旅人がほぼ皆無になったからだ。当然旅人がいなかったらそういったものを獲物にする破落戸の類も仕事にならないため、まだ人が住んでいる途中の街からも殆ど立ち去ってしまったらしい。


人がいなくなった後の村に対して火事場泥棒的な事を行うものがいるのでは? と思ったのだけど、ノインさん曰く国の協力があったため必要な物資はほぼ捨てずに持ち出せているとのこと。更に丁度収穫期を終えた後の移動となったため、野菜の類とかも大部分は出荷された後である。


辺境へと向かうには食料とかも用意していかねばならず、かかる日数と費用を考えるとまるでメリットがない。その上瘴気に対する最前線となったせいで、軍の関係者が出現する可能性もある。デメリットの方が多すぎるという話だ。


というわけで、非常に穏やかな旅であった。エクレールから離れるにつれて道路の舗装が荒くなってきていたので、お尻がイタイけど。


「ひとまず、馬車から荷物を降ろしてしまいましょう」

「そうね、暗くなる前には片付けてしまいたいし」


リズの言葉にユマが頷く。


今回俺達は馬車を使ってこの地まで来ている。当然乗合馬車なんてものはこちら方面には出ていないし、前回に比べて持ち込みたい荷物が多かったためだ。まぁ大部分はユマの調合関連と食料だけど。


今回の主目的を考えると調合関連の荷物は外せないし、この村と人の住む場所は早馬で飛ばさない限り一日で往復できない距離にあるため、買い出しも簡単にはできない。そのため保存の利く食料品を持ち込む必要があったのだ。


まぁ野菜とかに関しては皆のお腹を満たすくらいなら俺が生やす事でも対応できるので、大分マシにはなってるんだけどね。調味料や肉類、加工品等に関してはどうしようもないので。


一応村の近くにはまだ瘴気に侵されていない森もあって、そこで多少の小動物や果実は入手できるからそれも含めれば2~3週は滞在できる分量を見込んで持ち込んでいる。


「とりあえず食料品は食堂で。ノインさん、部屋はいくつあるんだっけ?」

「一階が食堂込みで3部屋、2階に2部屋だな」


外から見たノインさんの実家は、元の日本で見た田舎の農家の家みたいな感じで、そこそこの大きさがあった。4人で住むには充分すぎる広さだ。


「とりあえず一階の一部屋は調合の為に貰いたいわねぇ」

「まぁそうなるよな」


前回の旅と違い今回は調合関連の荷物が多いし、がっつりとした作業も行う。一部屋は専用部屋にするのは確定事項だろう。


「となると、残りは3部屋になるけど……部屋割はどう──」

「ワタクシヒビキお姉様と一緒の部屋がいいですわ!」


最後まで言う前に、リズに発言を被せられた。更に、


「あら、私もヒビキと同室に立候補したいんだけど?」


ユマまで参戦してくる。そんな光景を見てノインさんが笑いながら言う。


「ふふっ、ヒビキ、相変わらず人気者だね?」

「この二人限定ですけどね……」

「あら、私もヒビキの事は好きだけど?」


ちょっと、眼を細めてそんな事言わないで!


「ライバル増加の予感ですわーっ!」


うるせえまずは片付けの手を動かせ!



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