ハザト大森林⑦
ただまあ自分一人で考えていたところでどうしようもない。現状クソ雑魚でしかない俺が大森林の中で一人行動とか自殺行為だし、勝手に行動すれば当然仲間にも迷惑がかかる。
なので、まず唯一俺の能力を知るユマに相談してみることにした。
「コッコラの再生ねぇ……」
大森林の散策は早めの時間に向かい、日が暮れる前には戻ってきている。その後はそれぞれ自由のフリータイムだ。武器のメンテだったり調合だったり、思い思いに過ごす。まぁ空き時間は武器整備か訓練、或いは消耗品の買い出しをしているノインさんはともかく、リズは割とこのフリータイムも俺の目の付く範囲にいるが。
ただ彼女もさすがに常に一緒にいるわけではなく、今日は買い物に出て不在だ。ちょうどいいタイミングと思い、こうしてユマに話を振ったわけだが。
俺の考えを聞いたユマは腕を組んで眉を顰めた。不快とかそういう感じではなく、考えているらしい。組んだ腕で豊満な胸が押し上げられて──いや、なんでもない。
「生えているのを見つけられれば可能だと思うけど……見つかるかなぁ?」
「近場で生えているところないかな?」
「大森林以外でこの辺りの自生は聞いた事がないかなぁ、調べては見るけど期待はできないと思う」
「そっか……」
ユマは少なくともエクレールを中心としてこの国の大部分の植生は殆ど頭に叩き込んでいるため、恐らくその言葉の通りなんだろう。勿論ある程度群生していなければ情報としては流れないだろうから探せばあるかもしれないが、情報無しに探すのは無理ゲーすぎる。
「無理かー」
「大森林の中で見つけたら、その時検討するくらいでいいんじゃい? 果実はなくてもいいんだよね?」
「うん」
ラーニングして生やす能力に関してであれば、その植物が地に生えた状態で生きていれば問題ない。可能性としては、果実はなくても茎自体は残っている可能性は充分あるとおもう。さすがにピンポイントにすべてが燃えたわけではなく、大部分が燃えた中で残った数少ないコッコラをハリオンが食べつくしたという可能性は非常に高い。
とはいえ、じゃあその辺りに探しに行くかというと……だ。元のハリオンの生息地でかつ果実はないとしてもコッコラが存在しているなら、その近くにハリオンが存在している可能性は高いので。さすがに明確に危険の高い場所へ向かう訳にはいかない。
俺たちの目的とは関わらない事なので。
偶々俺の能力でなんとかなるから今回の事を考えてみたけど、本来であれば一介の採取人でしかない俺達が考える事じゃない話だ。ハザト大森林の恩恵を大きく受けているハザリアなど近郊の街や、国が動くべき話である。年々瘴気に世界が侵され、薬草等に採取場所も減っている現状、もう動いているかもしれないが。
取る手段としたら、ハリオンの駆除になるだろうか。
ただ、これはなかなか難しい。単体ならなんとかなるハリオンだが、集団で、かつ森の中だと熟練の傭兵や兵士を集めても簡単にはいかないだろう。しかも現状ではほぼ人的被害は出ていない。そんな状況では国もなかなか腰が重いのではないだろうか。将来的な懸念だけで大きな動きはとりづらい。特に国は魔術士を多く抱えているためポーションの類をあまり必要としていないので。
俺の能力がすでに知れ渡っているものだったらハザリアの街のギルドとかと相談して動く事も可能だったけど……さすがに公開する気はない。
──うん、あまり深く考えすぎるのをやめよう。冷たい話だが、いくら対応できる可能性がある能力を持っているといっても、それが簡単にできるならともかくリスクを伴うのに俺がやらなければいけない義務はない。前述の通り、ハザリアの街等が考える問題だ。
さっきユマがいった通り、運よく見つけたらその時に考えるというレベルでいいだろう。そもそも能力使うにはノインさんやリズ達にも能力を知らせる必要がある。俺とユマ二人で森林の奥で行動するのは危険すぎる。
よし、決めた! その方針で行こう!




