ハザト大森林④
うら若き女性4人組(ただし一人は中身は男)の俺達ではあるが、当然森に突入するとなると華やかさはどこにもない格好になる。
俺は、普段から採取の時に使っている服。長袖にズボンで可能な限り肌の露出を抑えた恰好だ。
これは森の中に行くのであれば当然の恰好。エクレールの時のように森の外周周りくらいまでしかいかないのであればそこまで気にする必要はないと思うけど、今回はがっつり森の中へと入り込む形だ。しかも、ハザト大森林はエクレール近郊の森に比べて植物の密度が高いらしい。
そんな中に肌を晒して突っ込むのはまぁ自殺行為ですよね。
この世界の地球と比べてバリエーションに飛んで危険な植物が多い。森を歩いて肌に触れたり、植物を踏んだ時に出た液に触れたりしただけで痺れたり毒に侵されたりする可能性もあるのだ。
ユマがいるし、俺も彼女程じゃないけど植物知識は付けているのでそういった植物には気づけると思うが、完璧にとはいかないしな。
あと植物以外に、虫もヤバいのがいる。ユマが調合した虫よけもあるけど、これもすべての虫に効くわけじゃないからね。
というわけで、俺以外の面子もかっちりと肌をガードした格好だ。
剣士であるノインさんはファンタジーらしくビキニアーマー──なんて事は当然ない。というか森とかノインさんとか関係なくあんな格好している剣士はいない。当たり前だ、近接職の人間があんな格好していたらあっという間に傷だらけである。あんなガードを捨てた恰好はエロよりの漫画だけの話だ。
彼女の恰好は部分部分に補強の入った服に、上半身を守るレザーアーマー、急所部分だけ金属の補強が入っている奴だ。これは彼女の基本装備で、森だからといって普段とは変わっていないそう。
ユマは普段は割とゆったりした服が多いんだけど、今日は俺と同じように動きやすさと肌の保護を重視した服に変わっている。違うところはポケットやポーションホルダーなどの収納が多い事だろう。彼女は魔術も使えるが、薬品とかも戦闘道具として扱うからね。
で、最後にリズ。彼女は普段はその幼さの残る可愛らしい顔付きにあったヒラヒラとしたスカートの可愛らしい服を好んで着ているが、さすがに今回は俺達と同様のパンツルックだ。まぁ明らかに俺やユマが来ている奴より良さそうな素材の服だけど。まがりなりにも公爵令嬢だしね。
ともかくだ。そんな色気も可愛らしさもまるでない恰好を含めて準備を終えて、俺達はハザト大森林へと突入した訳だが……
いやぁ、聞いてはいたけどすごいわ。そこら中に様々な植物が生えている。とはいえ見覚えがない奴が殆どだしユマも反応していないので、薬草でも毒草でもないだろう。とはいえ入り口付近でこれだと夢が広がるね。
なんなら本当は片っ端からラーニングしていきたいところではあるが……関係ない草に触りまくってたら先に全然進めないし、言葉通り毒にも薬にもならない植物をラーニングしても意味がない。後俺の能力記憶上限があるかどうかわからないんだよな。
まさか上限いったらもう覚えられないとかそんな使い勝手悪すぎる事はないと思いたいし、そんな事を気にして全然ラーニングしないという本末転倒な事をする気もないが、一定数を超えたら古い奴から上書きされていくとかはないとはいえないし、そうなると面倒すぎるのでやっぱり余分な物は覚えるのはやめようという事になる。
元々そんなよくわからんものを覚えなくても、この大森林には目当てとしている植物はたくさんある。うん、わき目を振るのはよそう。
それに植物に注意を取られすぎて、注意力散漫になってもよくないしな。森の中は危険がいっぱい。なんか獣の鳴き声ぽいのもちょこちょこ聞こえるし。
ちなみに隊列はユマが先頭で次がリズ、そして俺がきて殿がノインさんだ。
はい完全に護られてマース。
ユマが先頭なのは、リズよりは反射神経がいいのと森の中に慣れており知識が豊富だからだね。ゲームとかでいうとレンジャー的なポジションだろう。そして獣の襲撃を受けた場合はリズが即反撃できるように二番手だ。後方警戒をノインさんが担うのはこの中で一番経験豊富だから。反応速度も一番早いしね。
それぞれ役割をもったいいフォーメーションだと思う。
……俺もハザト大森林を探索しおえる頃にはただ縮こまっているのを脱却できるかなぁ。一応遠隔武器の訓練とか魔術の訓練とかは始めようとはしているんだけそれは一朝一夕でなんとかなるものではないし、植物の方もそうそう使えるものはない上にまだ能力隠しているから目の前では使えないし。先は長そうデス。




