ハザト大森林③
「……どうする?」
見回してそう問いかけた俺に、即座に言葉を返したのはユマだった。
「まず、他の所に回るってことはないわね。ハザト大森林以外での採集ポイントになると、かなり遠方になるか、ハリオンの事を加味してももっとリスクが高い所になるもの」
「だよな」
ユマの言葉に、俺は頷く。
ある程度レアの薬草が採取できるポイントはこの近郊だとそれほどない。エクレールの側の森林があるにはあるが、そこに戻るのはちょっと微妙だろう。後はダンジョンやもっと危険な獣にエンカウントする可能性が高い場所だ。今回が初陣となるチームで、さすがにそんなリスクの高い場所には行きたくない。
「ハリオンなら一応私は一匹あいてなら倒せるし、二匹相手でも捌けるとは思う。たださすがに群れをなされると皆を守りながら戦うのは無理がある」
ノインさんは、ハリオンとの交戦経験もあるとの事だった。だが確かに近接戦闘で群れを相手にするのは無理だろう。
ならばと、リズの方へ顔を向けると彼女は一度ニコと笑みを浮かべた上で真顔に戻し、
「ヒビキ様の為なら駆逐してみせますわ! ……といいたい所ですけども、わたくしは実践経験が薄いですしどこまで出来るかは未知数ですわ。それに術を使うにしてもどうしても間が空きますから時間差で襲われると難しいですわね」
「となると、群れに遭遇しない範囲での探索なら可能?」
逸れて彷徨っているハリオンを完全に避ける事は無理だろうけど、群れだとしたら行動範囲は絞れるのでは? そう思いユマを見ると彼女は頷いて、
「群れ単位での行動範囲は絞れてます?」
そう職員に問いかけると、職員さんは頷き地図を指し示した。
「ハリオンの活動範囲が広がった関係で森に近寄る人間は減ってはいますが、それでも一定数の採集者は森に立ち入ってますからね。そちらから情報提供をしていただいていますので、ある程度の範囲は絞れてます」
指し示された場所はそれなりに広範囲ではあったが、それでも大森林の中では一部でしかない。
「……これなら、その区域と周辺を外しても探索範囲としては充分だよね?」
地図に顔を近づけ改めて確認してから、そのままの体勢で皆を見上げるようにして問いかける。なぜかリズがブルッと体を震わせたが、それはおいておいてそれぞれから頷きが返って来た。
「問題ないでしょう。単体であれば私でハリオンは対処できますし、それ以外の大森林で確認されている獣の類なら……」
そこで視線を向けられたリズが頷いた。
「初手の反応は自信がありませんが、そこをノインさんが防いでいただければわたくしの魔術でどうとでもなると思いますわ」
「決まりねぇ。予定通り当面はハザト大森林で採取するとしましょう」
そうまとめに入ったユマの言葉に、俺達三人は同意する。
想定外のイレギュラーはあったが、これで目的地は確定だ。後は現地で足手まといにならないように……いや、戦闘力皆無の俺が足手まといになるのは確定なので、可能な範囲で出来るだけ足を引っ張らないように、だな。頑張ろう。
森の中を歩くこと自体はエクレールの森林で経験しているし、大丈夫なハズ。問題はまともに遭遇したことのない獣とか怪物に遭遇した時に、腰を抜かさないかがちょっと怖い。
突然の遭遇じゃなくて事前で心構えもってれば大丈夫だよな?
実戦経験豊富なノインさんや、採取で遭遇した事は普通にあるらしいユマ、訓練ではあるがそういったものと相まみえたことがあるリズたちは恐らく大丈夫だろうし、そんな女の子達の中で中身は男の俺だけ腰を抜かすとかさすがに避けたい。勿論皆はそんなことになっても何もいってこないだろうけど、この辺りはちっぽけな男のプライドという奴である。
……とりあえず、持ってきている本とかで改めていろいろ勉強しなおしておこ。知識があれば何かあっても落ち着いて行動できるはず。きっと。うん。
それで、ハザト大森林にある植物をいろいろラーニングできれば俺も役立たずから脱却できるはずだし! みた感じ結構おもしろい植物もあるからな! 問題は現状能力を大っぴらに使うわけにはいかないとことだけど。
とまぁそんなこんなで。
当面の拠点と決めた宿で本を読み漁ったりしているいろいろ準備している間に時は過ぎ。
いよいよ俺達はハザト大森林へと突入する事になった。
更新の間が空いてしまいました。
活動報告にも書きましたが、先週は体調を崩していて執筆ができませんでした。申し訳ない。




