リズロッテ・アークレイン3
斡旋所に回答をし、それからまた少しの時が過ぎて。いよいよ俺達とリズロッテ・アークレイン、それからノイン嬢との顔合わせの日となった。
そう、ノイン嬢からも回答があったのだ。回答の内容は条件付きの了承。条件としてはこの地方から大きく離れない間は構わないとの事だった。恐らく離れたくない理由があるのだろう。
こちらとしてもいきなり遠くまで行くつもりはない。エクレールのある地方でも幾つも希少な植物が生えている場所はあるとのことなので、まずはその辺りを探索するつもりだったので。いずれ別地方に移動するときには新たに近接担当の護衛を探す必要があるが、まぁその時はその時だ。
というわけで双方ともにお願いしたいとの返事を送付。ノインさんはこちらから3日程の場所にいるが、王都は一週間程かかる。
連絡自体は斡旋所にある通信装置ですぐ連絡が取れるそうなんだけど、それでも準備とかを考えるとトータルで8日~10日くらいかかるだろう。だからそれくらいの時期に二人にエクレールに来てもらうか、或いはこちらからも移動して途中で落ち合うか……なんて話をしてたらリズロッテさんからは「後3日くらいの所まで来てます!」という返事があったらしい。
いやなんでこっちが回答する前に移動開始してんの? というか残り3日って回答どころか我々が斡旋所の説明を聞く前に移動開始してるよね? なんで?
まぁこっちに別の用事があったのかもしれないけど……
とにかくそういう事ならと、1日だけ余裕をもって4日後にエクレールの街の斡旋所で顔合わせをすることになったのだ。
そしてその日を迎えたわけなのだが──斡旋所の一室の中で二人と顔を合せた俺は、驚きに目を見開くことになった。なぜならそこにいたのは顔見知りだったのだ。元々少し遅い時間に到着すると聞いていたノインさんはまだいないが、もう一人の相手である。
「リーゼさん、何故ここに!?」
「お久しぶりですわ、ヒビキ様!」
元気よく頭を下げたその少女は、王城で一時期俺の面倒を見てくれていた侍女の娘だった。名前はリーゼ。ずっとではないが、二日ほど私の世話をしてくれていた。そんな彼女が何故エクレールに?
と、そう疑問に思ってすぐに俺はその理由に気づいた。成程、そういう事か。
「リーゼさん、君はアークレインさんの侍女としてここまで来たんだね?」
なにせ相手は公爵令嬢だ、一人でこんな辺境の街まで来るはずがない。恐らくは彼女はリズロッテさんのお付としてここまでやって来たのだ。今もきっとリズロッテさんは宿か何かで待っていて、彼女がひとまずやって来たのだろう。
そう思ったんだが、彼女はぶるんぶるんと大きく首を振った。横に。
「違いますわ! わたくしがリズロッテ・アークレインですのよ、ヒビキ様!」
「へ?」
元気よく返って来たその答えに、俺は思わず間抜けな声を漏らしてしまう。それから今度がこっちが首を振り、答える
「いやいやいや、リズロッテさんは公爵令嬢なんでしょ? リーゼさんは侍女をしてたじゃない。普通公爵令嬢が侍女なんてやらないでしょ!?」
「普通はやりませんが、公爵家の権力もろもろ使ってごり押しでヒビキ様の侍女の座をゲットさせてもらいましたのよ!」
「いやなんで!?」
意味が解らない!
その問いにリーゼさん……いやリズロッテさんはニコリと笑みを浮かべ、それから隣に立つユマに目を向ける
「あ、ヒビキ様、こちらの方はヒビキ様の事をご存じなのかしら?」
「あ、うん」
曖昧な言い方だったが、意味は伝わった。なので俺が頷くと、彼女も頷きを返し言葉を続ける。
「勿論ヒビキ様のお世話をしたかったのですわ! 異世界からの召喚者様で、外見もドストライク、しかも実際は男性との事ですし! これは間違いなく運命の相手と思い、絶対にお近づきにならないとと思ったのですわ!」
はい!?




