語らい②
「まさかヒビキのギフトが、薬草を発見する能力じゃなく、薬草を生み出す能力だったとはねぇ」
薄暗い部屋の中、ベッドの上で横になって向かいあい、俺はユマに自分に関するすべてを説明した。草を成長させる能力だけではなく、草を生み出す能力もだ。
どうせ話すなら、中途半端にしない方がいいだろうと考えたためである。
「これって、国の上層部の方々もしってるのぉ?」
「いや、知らない。そもそも国に保護されていた頃は"成長"をさせる能力だけで、"生み出す"能力はなかったし。当時は雑草とか野菜くらいしか成長させる事思いつかなかったから、こんな能力話しても笑われそうだなと思ったのもある。それに」
「それに?」
「俺をねっとりした瞳で見てくる貴族がいたからな……下手に価値を出して、囲われるのもいやだったっていう思いもあった。この能力でとりあえず自分の食い扶持は確保できそうだったから」
「あー、召喚者を保護したり囲ったりするのって貴族にとってはステータスになるらしいからねぇ。後ヒビキ可愛いからなー、そりゃ狙われるよねぇ」
よしよし、と伸ばされた手で頭を撫でられた。
「でも、能力を大っぴらにしないのは正解だったかも」
「あ、やっぱり?」
「うん。多分国としては大量生産できるとかじゃない限りはそこまで有用には見られないだろうし、貴族に囲われたらステータス誇示の為に使われたかも。それに誘拐のリスクも多そう」
「だよね……」
「戦闘能力はなしの希少な異世界人、植物を成長させる能力だけでも見世物としては充分だろうし、そこに希少な薬草を生産できる能力があるとねぇ」
「それでいて、国から見たら厳重な護衛を付けるほどの価値はないっていう……」
ぶっちゃけていえばアレな連中たちが利用しようと考える価値はあるが、国からみたら人道的な面を除けば俺を護る意味ってあまりないんだよね。大量生産できないから、麻薬が量産されて国中に蔓延するって可能性も低いし。悲しいなぁ。
まぁ本当にヤバい状態になって国に庇護を求めれば護ってもらえると思うけど、ただその場合恐らく自由な行動は殆ど取れなくなるので余り取りたくない。
そう考えれば、今のように能力は出来るだけ隠しておくのがベストだろう。
「それで、初めて話す相手にアタシを選んでくれたんだ。光栄だわぁ」
うふふと、彼女は実に嬉しそうに笑う。
「ヒビキにきっちり信用されてたんだねぇ」
「むしろこっちの世界が短い俺に、信用できる相手は今ユマしかいないんだよ」
「そっかー、うふふ」
にこにこしながらまた頭を撫でてくる。今日のユマはなんかだスキンシップが多いな。そもそも一緒のベッドに寝てるんで今更だけど。
まぁなんであれ喜んでもらえるならなりよりだ。余計な情報を教えられて困られるとか、いきなり何かに皮算用を始められるよりは余程いい。
「とにかく、だ」
そんな彼女に向けて、俺は言う。
「能力をすべて話した以上、ユマに対して納品する奴を制限する必要はない。数を幾らでもとまではいえないけど、出来るだけ希望に沿った通りに良質の薬草を納品するから、しばらく面倒みてもらえません……か」
「勿論だよ~。アタシにはメリットしかないもん」
最後ちょっと弱気になり小声になった俺の様子なんてきにもしないように、彼女は即答してくれる。
「必要な薬草が手に入って、美味しい野菜も手に入って、ヒビキみたいな可愛い子と一緒に暮らせるんだよ? 断るわけないないよ~」
「可愛いって……ん、一緒に暮らす?」
なんでそんな話に? あ、面倒見てくれってそういう意味に取られた!?
「いやいやいや、違うよ? これまで通り薬草買ってもらえればそれで……」
「えー? でもどうせしばらくここにいるんだし、もう一緒に暮らせばよくない?」
確かにさっきの話で、しばらくはここに匿ってもらうって話にはったけど……




