表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/101

おいしくなーれ


俺が国の庇護を離れ一人で生きていくことを決めたのは、この能力が理由だ。触れた植物を成長させるこの能力があれば、少なくとも喰うには困らないと判断できたので。


この能力で自分の食べる分くらいはどうにでもなるし、育てた植物の類を売る事で日銭は稼げる、そう思ったからだ。


ま、結局育てた野菜はほとんど売ってないんだけど。


王都に滞在中の間やエクレールへ移動する間にもいろいろ調べたけど、やっぱり野菜じゃ単価低くて稼ぐには厳しかったです。俺の能力を使えば今の家の家庭菜園レベルの畑でもそれなりの量は収穫できるかもしれないが、そうすると明らかに規模に対する収穫量の異常さで目立つだろう。


広い農場を借りるという手もあったが……そうなると逆に全然育ってないのに収穫してたらやっぱり目立つわけで。


それと、途中で()()()能力もあって、俺は薬草や一部の野生の植物やキノコの収穫へと方針を切り替えたわけだ。


そう、この『ギフト』に関する能力。使っているときっちり成長してくれるようで、当初は「知る」と「成長させる」の二つだけだった能力は、今では四つに増加している。


そのうちの一つを使用するために、俺は腰を降ろすと家庭菜園で育てている野菜の一つに手を伸ばす。


芋の一種なので地面上には食べる部分は出ていないが、俺の能力は別に直接触らなくても植物のどこかに触っていれば大丈夫なので問題ない。地面を這うように伸びるその茎を握って、俺は力を籠める。


「おいしくな~れ」


以前の俺が言ったら気持ち悪いセリフだが、今の俺の姿なら許容範囲だろう。俺の中が男だとしっていたら微妙な反応を見せる奴がいるかもしれないが、どうせ今は誰も見ていない。というか見られてたら困るし。


俺の言葉に答えるように,地面の一部がボコっと盛り上がった。急に地中の芋が成長したので、それに盛り上げられたのだろう。


掴んだままの手に今度は物理的に力を込めて引き抜くと、その根には見事に成長したジャガイモのような芋がなっていた。俺はそれを収穫すると、他いくつかの芋、それ以外にもいくつかの種類の野菜に同じ手順を行って収穫していく。まぁ二人用なのでそこまで分量はいらないけど、せっかくだから少し多めに持って行ってやろう。ユマは一番のお得意様だ。


ちなみに、さっきの「おいしくなーれ」は無意味に言っていたわけではない。これが能力の一つなのである。


どうやら、俺の能力は成長させるだけではなく"品質を上げる"効果もあるらしく。普通に成長させるだけだとまぁそのままの品質で育つんだが、その際に美味しくなるように力を籠めると本来の品質より上等なものになるのだ。


これはパナシュやいくつかの野菜や果物で検証済み。明らかに味が違う。


正直なところ、この能力で育てた野菜を食べてしまってからは、市販されている野菜を食べてもどうしても物足りなさを感じてしまう。それくらい差がある。自宅の庭でこんなくそ美味い野菜が作れるとか最高だと思わない? しかも本来の農家さんのようにいろいろ肥料とか研究したり手間暇かけて育てる訳でもなく、ちょっと力を込めてちょちょいのちょいだ。美味しい野菜や果物を食べたい時に、庭に出てちょっとおいしくなーれするだけで食べる事が出来るのである。超便利能力だ。


尚、「おいしくなーれ」は別に呪文でもなんでもなく、別に口に出して言う必要もない。頭の中で考えて力を籠めれば美味しくなる。ただ口に出した方が雑念が入りづらいからそうしてる。なんか頭の中で思い浮かべるだけだとたまに上手くいかないときあるんだよねー。


ま、この能力じゃ商売には厳しいけど。

野菜は確かに上質なものとして普通より高くは売れるかもしれないが、それでも値段としてはたかが知れてるし。まともな農園を持たない俺がそんな野菜を定期的に売りだしたらそれこそ怪しすぎる。


見つけた薬草を上質なものに成長させることは可能かもしれないけど、薬草はそこまで簡単に見つかるもんじゃないしなぁ。


だから、金を稼ぐのに使うのはもう一つの方の能力だ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ