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【地雷系娘×イケメンホストらぶらぶ健全】ころもちゃん、ホストでのんびり遊ぶの巻。

作者: 氷川丸ヒスイ

【地雷系娘×イケメンホストらぶらぶ健全】ころもちゃん、ホストでほっこり遊ぶの巻。


【登場人物】


姫路 ころも(ひめじ ころも):

二十歳なりたての地雷系女の子。身長157cmバスト85cm Dカップ。専門学校生。果実系酎ハイの「ストロングワン」(ストワン)やモエシャンドンなどお酒が大好き。歌舞伎町にあるホストクラブ「シュバルベリッター」(シュバリタ)に通い詰め、快くんを激推しかつわりとガチ恋。


万葉(まんよう) (かい)

シュバリタのランカー5位のイケメン君。身長175cm。ころもに優しさと思いやりとSっぽさをもって接する好青年。ころもより1つ年下の19歳。


… … …


 あくる日曜日。


2030時。


新宿歌舞伎町、ホストクラブ「シュバルベリッター」。


「かぁ〜っ、ボッテガゴールドほんと美味し〜っ!」


今日はボッテガゴールドを入れたころもちゃん。


名前の通り、瓶全体が黄金で覆われ、さらに味も良い、イタリア産のスパークリングワインの呼称である「スプマンテ」の1つだ。


「お疲れ様」


ミネラルウォータの入ったコップを近づけてきたので、快くんと乾杯。


ちんっ。


男女が入り乱れて蝶よ花よと舞い上がる休日の歌舞伎町に、ガラスがぶつかり合う音が1つ。


「今日は2時間だけなんだね」


「うん!バイト続いてたのと、グラフィックデザインの課題出されちゃって時間ないから、その代わり、お小遣いに余裕あったからボッテガ入れたんだ」


ころもの持論として「遊びは量より質」というものがある。


彼氏にしろ男友達にしろ、高校生の時くらいまでは、とにかく「何回逢って、どれだけ長時間一緒にいられるか」がころもの中で最重要だった。


しかし、それは間も無く、人間関係でリア充するには的外れでコストパフォーマンスの悪いものであると悟った。


それからは、普段はスマホやSNSで連絡を取ったりしてコミュニケーションを深め、しっかり遊ぶところやデートスポット、食べたいものなどをはっきり策定し、おおまかな見積をしてそれが今使えるお小遣いで賄えるかを事前に調整することで、楽しいデートや遊びができるようになっていた。


ころもは初めて「シュバリタ」を訪れて以来快くんにぞっこんだが、明朗会計での可能な範囲で遊ぶよう心がけてるし、ボトルもこれを入れたのが確か3回か4回目くらいだ。


ホストにはまっている人のSNSを何人も見てきたが、色恋沙汰で入れ込んで闇金に手を出したり、ホストに半ば無理やり水商売をさせられ、好きでもない男性の相手をさせられて嫌な気分になり、それをホストとの遊びで埋める、という悪循環に陥っている人を何人も見てきた。


それにころもには、ママとパパがいる。

自分が破滅して痛い目を見るのはかまわないが、親は悲しませたくない。


高校2年の時に反抗期を終えた、一人っ子のころもにとって、親が如何に大切か。


ま、とか言ってころもめちゃくちゃ清楚系ビッチだし、こんな風にホストで散財してるんだけどっ。


ま、でもこれだけ遊んで少しずつ貯金もできてるからノープロブレム。


「ボッテガ撮っていいかな?これめっちゃSNS映えするし」


「いいよー!あ、なんなら、ころものコーデと一緒に撮っても!顔出しはできないけど、今日のブラウス新品でかわいいし」


「いいね、瓶重いけど持てるかな」


「余裕〜!」


ぱしゃりっ。


「はい、と」


すぐにスマホに、ややシックな色調のピンクのブラウスときらりと店内の照明を受けて輝くボッテガが映り込んだ写真が送られてくる。


「わぁ盛れてる〜!ありがとぉ!」


快くん、実は、許嫁がいるの。


祇園坂重工という官公庁向けの戦略物資を作る国幹産業の創業者一族の実の娘が。


まだその子は14歳なので結婚もエッチもできず、会食やお茶会デートを重ねて関係を深めているらしい。


写メを見せてもらったが、まるで源氏物語に出てくるヒロイン(て、当然だけど源氏物語の時代に写真なんてないから完全な憶測なんだけど!)のような、如何にも上げ膳据え膳で育てられた生粋のお嬢様という、オーラからしてもう違う風貌だった。


ころもみたいなサブカル系とはレベルが違う!


けれど、婚約するまでは俗世間の空気に浸っていたい、そういう理由からホストをしているのだった。


まぁ聞いた話によると、快くんも18歳で高校を出てからすぐにホストを始めて2ヶ月で現在の5位ランカーの地位に昇り詰めたので、すでにレクサスの新車を一括ポンで買えてしまうくらいのお金は持ってるらしい。


ころもには、ホスト店以外ではとても手の届かない男の子だ。


だから、こうやって一回一回逢える時間を大事にしたい。


と。


2人が並ぶ席に、まさに黒執事といった風格の、燕尾のベストをきっちり身につけた店員がやってきた。


「お待たせしました、千疋屋のマスクメロンと種々の果物を盛り付けたフルーツパフォでございます」


まるで宝石のような、色々とりどりに彩られたパフェ。


「すっごぉ…これは写メ必須だぁ…」


先日の帰りに快くんにもらったフード30パーセント割引券を使ったのだ。


勢いに任せて、スマホのシャッターを猛連射。


「さ、アイス溶けちゃうから早く食べな」


気がつくと、隣にはスプーンを手にした快くん。

いつもの包み込むようは眼差しで、ころもを見つめている。


「あーん」


てっぺんのブルーシールアイスをワンスクープ取って。


あ、このシチュやばい。


うっとりしたしおらしい表情に変わり、ゆっくり目を瞑って口を開く。


きゅんっ。


アイスの冷感で、恋心が一気に高まる。


「はむっ…おいし…ありがと…」


「ふふっ。ころもっち、パフェで歓ぶころも、になってる」


それもまた一興。


「ね、ころもボッテガでお腹膨れてるから、シェアしようよ!」


「オーケー」


今度はころもがスプーンで…よし、苺だ。


しっかり葉が取られ、豊満で鮮烈な赤色の果実を、快くんの、何度もキスで蕩けさせられてきたその唇に押し込む。


「んむっ…酸っぱ…いや、甘い!」


「リアクション面白い〜」


おかしくて、ついけらけら笑ってしまう。


「さすが千疋屋は違うね、味に深みがある」


「言い得て妙!」


2人で食べさせあいっこして、のんびりとした時間を過ごす。


本命恋人とか身体目当てばかりが異性交遊じゃない。


こういう、ソフトな交流だって貴重な思い出になるわけで。


そして、マスクメロン超美味しい。


パフェを食べ尽くす。


「堪能したぁ…」


「喉乾いたでしょ?」


そういって、グラスにボッテガを注いでくれた。


「ありがとう、ぐびっ」


濃厚な甘味を、爽やかな泡が流してくれる。


と。


「失礼致します、お客様、ご延長は如何なさいましょう」


店員さん。


「あ、この時間で終了で」


「参りました」


まるでアニメから出てきた諸葛亮孔明のようなゆったりとした接客のイケオジ店員さん。


「あと3分、ありがとね」


「ころももとっても楽しかったよぉ…」


バッグの中からヴィヴィアンこ財布を取り出して会計を済ませる。


2人して立ち上がり、入口へと赴く。


ドアの前に、一瞬だけ、誰にも目に触れない空間がある。


そ、いつもここで…。


「ころも…」


強引に抱き寄せられて、キス。


「ん、ちゅっ…快くん、大好きぃ…ちゅちゅっ」


別れ際の誓いの口付けを済ませ、ドアが開かれる。


「ありがとござぁっした〜!!!」


イケメンさん一同のお見送り。


「またぜひ今度も!」


「もちろん!バイバイ!」


お互いが目に見えなくなるまで手を振り合って、幸せな遊びは終わり。


あぁ、エネルギーもらったぁ。


また明日から、頑張ってやってこ、と!


グラフィックデザイナーとして大成して、覇権取ってやるんだから!!!



夢と思い出を胸いっぱいに秘めて、地雷系娘ちゃんは進んでいく!


【完】

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