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【完結】死んで幽霊になったと思ったら、戦国時代で神視点?  作者: よぎそーと
5章 芝上の無謀 東日本版

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98回目 相談役 織田信長

 信長の扱いはアツヤも困っていた。

 今まで通りにやるなら、信長も処刑となる。

 生かしておくわけにはいかない。

 だが、実際に信長を見て、アツヤは考えを少し変えた。



(武士らしくないんだよな)

 理由はこれである。

 武家の出であるし、立派な武士である。

 しかし、その考えや行動が武士らしくない。

 どちらかというと現代人に近い。



 そこが今まで通りの処分を躊躇わせた。

 この時代にこういう人間は少ない。

 このまま殺すのは惜しい。

(それになあ)

 武家の事を知ってる人間も欲しい。

 もとより全滅させるつもりではいるが。

 考え方や行動を知ってる人間は、いてくれると助かる。



「────とまあそんな訳だ」

「なるほど」

 説明に信長は頷く。

「その能力をうちで使ってもらいたい」

「そういう事であれば異存はないが……」

 生きながらえる事が出来るなら、それはありがたい。

 しかし、そうどうしても引っかかる事がある。

「しかし、我が家中の者達は?」

「皆殺し」

 それは変わらない。



 芝上で欲しいのは信長だけだ。

 他が必要というわけではない。

 むしろ邪魔でしかない。

 そんな連中を生かしておくわけにはいかなかった。

 信長だけが例外なのだ。



「いっておくけど、交換条件で他の連中を助けるとかはないから。

 それならあんたにも死んでもらった方がいい」

 釘をさしておく。

 信長を生かす為に他の連中の助命などしてられない。

「確かにあんたは貴重な人間だ。

 出来れば手元に置いておきたい。

 だけど、その為に他の連中を生かしておくってんなら、一緒に処分する」

 ここだけは譲れない部分だった。



 ブラック企業体質の一掃。

 それがアツヤの求める所だ。

 それを微塵も残すつもりはない。

 その為に武士など一人として生かしておくつもりはない。

「まあ、あんたが拒むならそれでいい。

 ただ、処刑はしない。

 あまり自由はないけど、こちらの監視下で生きてもらう」



 酷い話である。

 便利そうだから生かしておく。

 しかし、必要のない縁者は全て皆殺し。

 そんな状況で生きていけというのだ。

「ロクデナシとしかいえませんね」

「分かってるよそれくらい」

 言われるまでもなくアツヤにも自覚はある。

 だが、だからと言って辞める理由はない。

「諦めろ。

 自害するってんならどうしようもないけど。

 こちらとしてはあんたを殺すつもりはない」



 もうそれは決定事項だった。

 信長の意思の確認もしない。

 本人の意向などどうでも良いことだった。

 ただ、芝上にとって必要だからと生かされる。

 芝上の意向だけがそこにあった。

 それで信長が自害するならどうしようもないが。



 だが、アツヤ達の方で信長を殺すつもりはない。

 攻撃してきたらやむをえないが。

 そうでないなら生かしておくつもりである。

(まがりなりにも天下人にまでのし上がった人だし。

 その知見も欲しい)

 未来を知ってるアツヤのそういった考えもある。



 他の多くとは違う発想。

 それが欲しかった。

 アツヤ自身の好奇心もある。

 天下に王手をかけたのは何だったのかを知りたい。

 それは芝上にもよりよい何かをもたらすだろうとも。



「まあ、そういう事だから。

 あとはお前の自由にしろ。

 死ぬのもよし。

 戦うのもよし。

 それならそれでかまわない」

 そう言ってアツヤは姿を消す。

 それを見て信長はため息を吐いた。

「……是非もなし」



 今の信長に出来る事など高が知れている。

 言われたとおり、自害するか、返却された佩刀で攻め上がるか。

 それくらいしかないだろう。

 さもなくば、言われたとおり飼い殺しにされるか。

 それ以外の選択肢など存在しない。

 存在しない選択肢を、これから作っていくのもあるが。

 どのみち、今の信長に出来る事はほとんどない。



 ただ、不思議と死ぬつもりはなかった。

 なんとなく見届けたいとは思った。

 芝上がやろうとしてる事を。

 それは信長がやろうとした事にどこか似ている。

 だから、どうなっていくのか知りたいと思った。



 あるいはそれは、死なないための言い訳なのかもしれない。

 その為に現状を正当化しようとしてるだけなのかも。

 信長もそうは思う。

 それでもだ。

 芝上が何を為そうとしてるのか。

 それを見届けたいとは思う。

 それにだ。



「死んでどうなるというものでもなし」

 そんな考えもある。

 死んで来世に行くという考えには、どこか信長は否定的だった。

 本当にあるかどうかも分からないのに、それを頼ってどうするのかと。

 また、仮にあったとしても、それはこの世を全うしてからの話だとも。



 信長はまだ生きてる。

 生きてるから、これからを見届ける事が出来る。

 何が出来るかは分からないが。

 それでも、生きてこの世にいるのだから、この世でやれる事をやっていける。

 死ぬのはそれからでも良い。



「さて、どうなる事やら」

 行き着く先がどんなものなのか。

 それは分からない。

 だが、今できる事をただやっていく。

 そう考えてこれからを生きていこうと思った。



 芝上家相談役。

 それが織田信長の新たな肩書きとなった。

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