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【完結】死んで幽霊になったと思ったら、戦国時代で神視点?  作者: よぎそーと
5章 芝上の無謀 東日本版

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92/121

92回目 侵攻開始 遠江・三河・尾張

 年が明けて。

 駿河に集結した芝上の軍勢が出撃する。

 総兵力4万。

 侵攻予定の遠江・三河・尾張の兵力を上回る。



 これらに対して今川はまともな抵抗が出来ない。

 三河・尾張も同様だ。

 三河の松平氏は内部での問題が解決しきってない。

 尾張も織田氏が分裂して勢力争いだ。

 唯一まとまってる今川とて、兵力で負けているのだから、抵抗など望むべくもない。



 さすがに今川は三河と尾張に話を持ち込んだ。

 このままでは目の前に迫っている芝上に飲み込まれると。

 だから協力・連携が必要だと説いた。

 多くの者達もそれは理解出来た。

 しかし、実際に行動にうつる事は出来なかった。



 全員が独立した勢力である。

 その為、協力行動が取りづらい。

 どうしても必要になる、一人の誰かの指揮に入る。

 これが出来なかったのだ。



 表だっては、協力はする。

 しかし、どうしても号令一つで行動する事が出来ない。

 どこの勢力も、何かある事に反抗する。

 これで一つの軍勢として戦うなど無理というもの。

 それどころか、表では今川に従いつつ、裏で芝上に内通する者まで出る始末。



 もっとも、内通は別に珍しい事ではない。

 国人からすれば、勝ち目のある方に従うのは当然。

 今回、今川よりも芝上の方が有利なのは目に見えている。

 それならば、芝上について家の存続をはかるのが普通だ。



 もっとも、それが無理だと分かってる国人もいる。

 芝上は国人や寺などの勢力を次々と駆逐している。

 たとえ内通して味方を裏切って芝上についてもだ。

 そんな事をしても、最前線に投入され、使い潰される。

 生き残っても、戦後に一族郎党皆殺しにされる。

 約束など芝上は決して守らない。

「国人も寺も全部潰す。

 なんでお前らを生かしておかねばならない」

 これが芝上の考えだ。



 他国から逃げ延びてきた国人や寺の生き残りがそう伝えている。

 それを知る者達は、内通など無駄だと嫌でも理解する。

 そんな事あるか、と考える者達が芝上についていく。

 そして、適当なところで裏切っていく。

 戦闘中に味方の内部で暴れ出したり。

 籠城中に、味方を攻撃して城門をあけたり。

 そうした結果、その後も戦闘に駆り出され続ける。

 一族郎党が壊滅するまで。



 その扱いのひどさに文句を言えば、その場で惨殺される。

 もちろんその後は、一族郎党の土地に出向いて、残った老人に女子供を殲滅。

 文字通りに皆殺しにされていく。



 そこでようやく頭の回らなかった連中も理解する。

 芝上に今までの常識は通用しないと。



 なお、これと同様の事は今までにも起こってる。

 芝上の侵攻先で常に同じ事が繰り返されている。

 生き残りをかけて国人や寺が協力を申し出て、全部壊滅するまで使い潰される。

 もともと芝上とアツヤにこれらを大事にするつもりはない。

 約束なんて口先だけのもの。

 誓紙を作っても、そんなもの守る気はない。



「だってお前ら、都合でどっちにでも付く、根っからの裏切り者だろ」

 これがアツヤと芝上の考えだ。

 今回の事もそれを裏付けている。

 都合次第で簡単に今までの関係を切り捨てる。

 そして、有利な方につく。

 そんな連中、信用出来るわけがない。



 それは芝上が常に言い続けてる事だ。

 生き残った国人や寺の連中も聞いている。

 逃げ延びたそれらから話を聞いた者達もいる。

 しかし、それでも全く理解されていない。



 唯一理解してるとするなら、それは芝上の敵対側で戦ってる者達だろう。

 彼らは芝上がどうして国人や寺を殲滅してるのかは分からない。

 そこまで理解は出来ていない。

 彼らの常識とかけ離れた考えだからだ。

 しかし、ただ一つ、国人や寺を決して存続させないのだけは分かっていた。

 だから遠江・三河・尾張の国人や寺の多くは今川についていた。

 そちら側につかねば生き延びる事が出来ないと分かっていたから。



 それは国人や寺だけではない。

 大名などの武士や武家も同じだ。

 それらも芝上は決して許さない。

 一族郎党皆殺しにする。

(ここでやらなくちゃ)

 今川側の者達は、それこそ必死になって対抗する。

(誰も助からない)



 勝たねばならない。

 負けたら何も残らない。



 そんな状況に陥って、ようやく懸命に戦い出していく。

 負ければ生き残る事が出来ない。

 相手になびく事も出来ない。

 ただ、死ぬだけなのだと。



 その為、今川勢の抵抗は凄まじいものがあった。

 降伏すらも出来ないのだから、徹底抗戦するしかない。

 それには前線部隊の者達も辟易する。

「これなら、適当なところで和議を申し入れて、戦闘を終わらせればいいのではないか?」

 そんな声も芝上の中であがってくる。



「駄目だ」

 ハルヨシははっきりと否定する。

「相手が必死だからと手をゆるめてどうする。

 そんな奴らだからこそ、徹底的に叩きつぶさなくてはならん」

 敵なのだから抵抗が激しいのは当たり前。

 簡単に終わると考える方がおかしいのだ。



「それにだ。

 ここで手を引けば相手はなめる。

 こちらが劣ってると思い込む。

 与しやすいと思い込む。

 それだけは絶対にさせない」

 交渉事の難しさである。

 相手が与しやすいかどうか。

 それでしか判断をしない連中である。

 そんな奴ら相手に、譲歩など一切出来ない。

「やつらは自分の都合しか考えない」



 相手から何かを少しでも引き出す。

 自分の優位性は絶対に譲らない。

 それが交渉であり、取引だと思ってる連中だ。

 そんな連中との話し合いなど絶対に出来ない。



 取引とは、自分も相手も何かしら得をする為にやるものだ。

 自分も何かを出す。

 相手も何かを出す。

 それでどちらも得をする。

 大概の場合、それはお互いの余ってるものを提供し、足りない物を手に入れるのだから。

 損をするという事がまずありえない。



 だが、そういった取引をするつもりがない連中が相手なら話は別だ。

 折り合いをつける事が出来ない連中なのだ。

 自分の事しか考えてない。

 相手の事を思いやらない。

 それが根底にある。



 生き残るのが先決だから仕方ないのは分かるのだが。

 自分だけしか考え無い輩などと共に生活していけるわけがない。

 どこで足をすくわれるか分からないのだ。

 そういう因子を持ってるのではないかと思えてしまう。

 それらは潜在的な敵なのだ。

 決して仲間や味方ではない。



 だったら、最初から殺し合いをした方がよっぽど良い。

 そういった輩を殲滅した方がよい。

 生きていれば、何かと面倒を起こす連中なのだから。




「だから決して引くことは出来ん。

 相手が全滅するまでやれ」

 ハルヨシもそれは嫌というほど分かっている。

 祖父のチヨマツから聞いた話。

 子供の頃、どれほど虐げられていたのか。

 それを為した人間がどんな連中だったのか。

『人間はそういうところがある』

 常々そう話していた祖父の声を思い出す。

『だから、絶対に許すな』

 貴重な教訓と共に。



 また、統治者として様々な事も見てきた。

 どれほど人が自分の事しか考えないのかも。

 どれほど簡単に他人を裏切るのかも。

 自分の利益の為なら何でもするのかを。



 だからこそ、そうでない人間を大事にしていく。

 そういう家の方針に納得していた。

 それをもたらしたアツヤの考えも。



「全滅させろ。

 誰も許すな」

 その指示は遠江で実施されていく。

 今川勢は例外なく倒されていく。

 芝上と戦った今川勢は、例外なく倒されていった。

 撤退に成功した者達以外は。

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