90回目 侵攻開始 信濃・甲斐 3
芝上勢と武田勢の戦いが始まる。
芝上勢、2万。
武田勢、5000。
圧倒的な兵力差である。
火縄銃・大砲という装備の差も考えると、まともな戦争にはならない。
武田勢は次々に撃破されていく。
善戦はしているが、それだけだ。
少ない兵力で芝上勢に損害を与えている。
この時期になると、武田晴信(後の武田信玄)がいるからだろう。
その才能はまだ若手といえるこの時期でも優れている。
だが、その才能をもってしても、劣勢を覆す事は出来ない。
武田勢が出来る事といえば、上手く立ち回って相手に出血を強いること。
それだけだった。
侵攻そのものは止められない。
ただ、相手に損害を与え続ける。
それだけしかなかった。
結局、芝上を止める事は出来ない。
撃退なんて夢のまた夢だ。
抵抗はするが、それで終わる。
その抵抗すらも長続きはしない。
そんな武田に更に悲惨な情報がもたらされる。
「芝上勢、相模・伊豆より駿河に侵攻しました」
その報告は武田を絶望に落とし込んでいった。
万が一にも駿河から今川勢が北上すれば。
多少は持ちこたえる可能性が出て来る。
しかし、その可能性も消えた。
芝上が駿河に攻め込んだのならば、もうどうしようもない。
今川も防衛で手が一杯になる。
「ここまでか」
誰もがそう思った。
実際、もうどうしようもなかった。
甲斐単独では芝上に対抗しようがない。
仮に甲斐を脱出、今川と合流したとしてもだ。
それでも芝上に対抗出来るわけもない。
国力が違いすぎる。
それでも武田は奮闘し、善戦する。
だが、局所的な勝利を得られても、全体の勝利はおぼつかない。
追い込まれ、糧食も尽き、最後には殲滅させられる。
その流れは決して変わらなかった。
武田滅亡。
甲斐陥落。
甲斐に侵攻した軍勢は、二手に分かれる。
信濃がそうであったように、1万が残存勢力殲滅のために。
残り1万8000が南下した駿河に攻め込む。
合わせて4万近くの軍勢に攻め込まれ、駿河もひとたまりもない。
「早いなあ」
その様子をみているアツヤは驚いている。
もう少し時間がかかると思ったのだが。
「ゲームみたいだな」
戦略ゲームによくある流れだ。
ある程度国力が高まり、他国との間に隔絶した差ができる。
そうなると、あとはもう消化試合になっていく。
圧倒的な兵力で敵を撃破し続けていける。
その状況になっていた。
一年で越中・美濃が陥落し。
一年で信濃・甲斐が陥落した。
更に駿河も陥落しそうになっている。
それ以上はさすがに難しいが。
「残りもこんな調子なのかな」
日本全土の統一。
それもあっさりと達成出来るのだろうか。
それならそれでありがたいが。
「戦争が終わるならいいけど」
小勢力の殺し合いが続く状態。
そんな戦乱が終わる。
その為に、一気に各勢力を潰して国を吸収していく。
その後に、騒動のない状態を作っていく。
平和や平穏ではないかもしれないが、争いは消える。
それだけでもいいから、そんな状態を作り上げられる。
「意外と早く出来上がるのかな」
アツヤとしては、こんな戦乱や争乱が続いて欲しくない。
早めに終わるなら、さっさと争乱なぞ終わって欲しい。
何であろうと平和や平穏が一番だ。
その方が自分が存在し続けられる可能性が出てくる。
いまだに何でこの幽霊状態が続いてるのか分からない。
拝んでくれてる人がいるからだとは思うのだが。
その状態を続ける為にも、出来れば平和や平穏が続いた方がよい。
拝んでる人間が戦争で死ぬ可能性が減るからだ。
もし、日本を統一して。
拝む人間を全土にひろめる事が出来たら。
その時は、存続が今以上に安泰になる。
日本が消えない限り。
その状態を出来るだけ早く作り上げたかった。
その為にも、芝上を応援していく。
別に彼らを大事にする必要はないのだが。
だが、彼らを支援している事で、アツヤを拝む範囲を増やしている。
今のところ、このような協力をしてくれるのは彼らだけだ。
彼らがそうやって協力してくれる限りは、アツヤも彼らに協力する。
そんな協調関係を続けていきたいものだった。
もっとも、芝上が駄目になった時の事も考えている。
見込みのありそうな者に声をかけ、拝む者を増やしていっている。
芝上が駄目になった時の保険として。
殺し殺されあってる時代だ。
いつ、どこで芝上が駄目になるか分からない。
そうなった時に困らないようにしておかねばならないのだ。
それでも、目をかけてきた芝上が潰える事がないように。
アツヤも出来る限りの事はしていく。
さしあたって、今年も豊作になるように、天候操作を。
それと、邪魔になる人間を祟り殺していく。
時には、山賊や不穏分子などを発見して、治安機関に伝えてもいる。
こうした努力の甲斐あって、芝上統治領域は平穏が保たれていた。
最悪、治安機関などの人が手を降す前に、アツヤが祟り殺す。
そんな努力の甲斐あって、芝上が統治する東日本は平穏なものだった。
その範囲を更に広げるべく、芝上も頑張っている。
関東より西側の地域も統治下に入ろうとしてる。
京都まで、また一歩近づいていく。




