87回目 越中・美濃平定
一年で越中・美濃の平定を完了させた。
統治機構も後続で送り込まれていく。
国境の防衛のための布陣もなされる。
戦争の勝利から国の吸収まで、滞りなく行われた。
以前とは比べものにならないほど手早く確実に。
「変わったものだ」
ハルヨシはその作業を眺めて呟く。
彼が子供の頃から見ていた芝上の統治とは違っていた。
その頃は様々な事に手間取っていたものだが。
今や円滑に国を二つ統治していっている。
「これも爺様と父上達の成果か」
人も機構も何もない。
そんなところからただひたすら国を発展させてきた。
その苦労を背負い続けたのがハルヨシの祖父と父である。
父の世代では、叔父もその任を担いでいる。
そんな者達の努力の成果が、越中と美濃であらわれていた。
「おかげで助かる」
必要な人も機材もすでに揃っている。
あとは現地に置くだけ。
それで済んでしまう。
ハルヨシも統治者としてそれなりの才能や能力は持っている。
しかし、それを常に最大限に用いなくて良い。
余力を持って仕事が出来る。
それがありがたかった。
常に切羽詰まった状態では、いずれ潰えてしまう。
そうならないような機構が出来上がっている。
「ありがたい」
越中と美濃を攻略・制圧するのも同じだ。
最終的な判断・決定はハルヨシがしている。
だが、やり方を事細かに決める必要は無い。
大筋や条件を提示はするし、その為の方法は口にしてもだ。
時に、無理なものは無理と言っては来るが。
実務は統治機構が全て行ってくれる。
戦争は軍部が。
吸収した国の統治は政府が。
全て滞りなく行ってくれる。
ハルヨシに経過報告や結果報告があがってくるだけ。
それを聞いて必要な判断を出していけば良い。
個人の才能や能力が反映されにくいのは確かだ。
しかし、それが必要な場面でなければ、組織や機構が多くを処理してくれる。
そういう状態が既に存在している。
凄まじいものだとハルヨシは感心する。
その統治機構からの報告があがってくる。
越中と美濃の現状についてだ。
それに対してハルヨシも指示を出していく。
新たにするべき事を追加したり。
止めるべき作業を指示したり。
細かな部分の調整だけをしていく。
「とにかく越中と美濃を支配下におけ。
後の災いも全部取り除いて」
その指示通りに全てが動いていく。
抵抗・対抗するものは悉く討ち取りし。
その可能性のある者も抹殺していく。
そうして政治的な更地を作ってから、芝上の政府機関などを設置していく。
「そうしたら、次の段階だ」
それすらも次に向かっての一手にすぎない。
ハルヨシはそこから更に攻めの姿勢を見せる。
「信濃と甲斐を攻略するぞ」
まだ先の話である。
だが、それに向けた状態作りをしていく。




