72回目 関東統治をすすめていき
とにもかくにも巨大な国になった。
その統治だけでも手に余る。
指示を国内に行き渡らせるだけでも大変な事になる。
なので、指示を行き渡らせるために、道と郵便制度を。
これでやるべき事を伝える事が出来るようにする。
現地の要望や要求を各地の役所から汲み上げられるようにも。
あわせて、各地の要望や要求。
これを可能な限りくみ取るために、常設の陳情員も出させていく。
それを集めた議会も設置した。
現代の議会とは趣は違うのは確かだ。
あくまで陳情をするためのものなのだから。
だが、そうして陳情を持ち寄らせるのにも意味がある。
それらを集めて討論させ、どこを優先するのかを決めさせる。
受け取る各地の領主などの統治者も、それを聞いて何を優先するのかを決める。
上から一方的に指示を出すよりは効果的に思われた。
何せ、現地の人間から出させた陳情員である。
他の誰よりも現地の事は知っているはずだ。
こうして様々な情報をくみ取り、指示を行き渡らせていく。
まずはこの体制作りを完璧なものにしていく。
実際に工事などが必要な場合にも、それを行う集団が必要になる。
役所の組織としてそういった部署が設置されていく。
また、民間の事業者達にも仕事を任せていく。
この時代、まだそういった業者はほとんどいないが。
仕事を与え、人が集まっていく事で、事業者のような存在が生まれていく。
そうした者達が人から直接仕事を受ける事で、新たな事業が生まれていく。
雇用がそこに発生し、独自に様々なものが生産されるようになっていった。
生産品の方もそれは同じ。
作られた物を売買する商人も。
そういった者達が自由に参入する事が出来るように、楽市楽座もなされていく。
既存の業者は猛反対してきたが、軍勢で取り囲んで黙らせた。
新規事業者の参入は、既得権益を打破する有効手段だ。
とはいえ、既得権益も悪いものばかりではない。
知識や技術、やり方を身につけている。
それらを駆使して事業を行えば、新規参入者など足下にも及ばない。
それだけの力があるから既存の業者として長続きしている。
それを使っていけば良いだけだ。
また、既存業者はやはり規模が大きい。
それらが小規模業者や新規業者を取り込んでいけば、もっと大きくなれる。
系列会社にしても良い。
楽市楽座で権益が脅かされるというわけでもない。
それを機会として使う事が出来ればより大きくなれるだろう。
当然国内の関所も廃止。
もともと各地の領主が通行料をとっていたが、これを無くしていく。
無駄に値段を跳ね上げる原因になる。
無くせばその分だけ値段も下がる。
庶民にはありがたい。
これらは各地の統治者が消えたおかげである。
領地を持つ領主がいないのだから、通行料を取る者が消えたのだ。
代わりに、領内で行われるあらゆる商売。
これに税がかかる事になった。
値段に一割の税金がかかる形で。
現代的に言うと消費税となろう。
ただし、所得税や贈与税などはかからない。
これらは調査が面倒になるので省かれた。
こうした部分で負担を負う事にはなっていく。
差し引きではどちらがどれだけ負担が大きいのかは分からない。
だが、とにもかくにも、制度は変わっていく。
あわせて、複式帳簿などのやり方も導入されていく。
より正確に帳簿がつけられるように。
他にも導入できるやり方は可能な限り導入していく。
そのキッカケをアツヤが与える事もある。
だが、それ以上に、現地での工夫が大きく作用している。
学校教育などが少しずつ普及し、様々な知識がひろまっている。
それを土台にして何かに気付いた者が、新しいやり方を考案していっている。
それらを登用する事で、よりよいやり方が生まれていっていた。
もちろん、すぐに使えるものばかりではない。
荒削りなアイデアを、使えるようにするための工夫も必要だ。
それを経て、実際に世間に用いられていく。
だが、土台となる閃きの重要さが無くなるわけではない。
ただ、それを認めない連中もいる。
頭の固い輩だ。
よりよいやり方であっても認めず、今までの方法を貫こうとする。
そういう者達が新手法の導入の邪魔をしていく。
「面倒だな」
気付いた範囲でアツヤは、そういった者達を殺していった。
霊魂を吸収し、成就点にかえていく。
新しいものがよりよいとは限らない。
それは分かってるので、新手法を拒絶するだけならば文句は言わない。
しかし、新手法がどういったものか試す事もなく。
ただただ否定するだけ。
そういった者達を放置は出来なかった。
生かしておいても邪魔にしかならない。
さっさと潰してしまうのが世のためである。
そうして新たな成就点にする事で、世の中の発展にまわしていく。
何の役にも立たなかった、それどころか邪魔にしかならなかった連中の霊魂を。
そういう形でしか役立たないのだから、さっさと潰すに限る。
そうやって体制をととのえていきながら、更なる知識や技術も求めていく。
特にアツヤは、蒸気機関の開発を目指していた。
これが出来れば、産業の様々な面が強化される。
作り上げるのは難しいが、技術の現状を図る指標として開発を続けさせていた。
蒸気機関を作り上げる事だけが目的ではない。
作り上げるにあたって様々な試行錯誤がなされるだろう。
そこから派生する様々な知識や技術も求めている。
それがどんなものになるのかは分からないが。
しかし、決して無駄にはならないだろうとは思っていた。
そんな調子で10年が経過する。
国内の体制もようやくまともなものになってきた。
「それじゃ、東北を制圧するぞ」
次の動きにも出る事が出来るようになった。




