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【完結】死んで幽霊になったと思ったら、戦国時代で神視点?  作者: よぎそーと
4章 芝上の無謀 関八州版

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64回目 宇都宮の意地

「ここまでか」

 宇都宮成綱は状況を察した。

 目的は達成できず。

 敵は数を増した。

 これ以上頑張っても、出来ることは無い。

「撤退だ!」

 判断は素早く行われた。



 残った軍勢は1000ほどだっただろうか。

 半分以上の兵を失ったことになる。

 そんな兵を集め、その場を脱出していく。

 逃げたとてあてがあるわけでもないが。

 それでも今はこの場を離れ、命をつなげようとしていた。



「……行ったか」

「はい、見事な引き際でした」

 側仕えの者の返答に声もなくうなづく。

「さすがだった」

 去っていった者の力量を思い知った。

 それが率いていた兵の強さも。



 宇都宮勢もだいぶ倒した。

 しかし、芝上勢の損害も大きなものだった。

 それは指揮を執っていたヨシロウにはよく分かる。

「あと少し攻められていたら、危なかった」

 率直な感想だ。



 実際、危ないところだった。

 後日知ることになるが、この日の戦闘での損害は結構なものだった。

 残存兵力が1500。

 数だけ見れば勝ち戦ではあるだろう。

 しかし、与えた損害と受けた損害がほぼ同数。

 しかも、敵に与えた損害の多くは石弓や火縄銃によるもの。

 遠距離からの攻撃による。



 接近されてからの損害は大きく、それにより大きく削られた形だ。

 それでも以前より芝上兵は接近戦も強くなったが。

 武士にはまだかなわないというところだ。



 なにせ、遠距離攻撃によって、宇都宮勢は数を減らしていた。

 そうでありながら、芝上にもこれだけの損害を与えていたのだ。

「あのまま続けていたらどうなってたか」

 思い出してヨシロウは震える事となる。



 しかし、絶対的な数においてはやはり芝上勢の方が勝る。

 一部分で有利であっても、全体の形勢を変えることは出来ない。

 それを可能とするために、食料などの物資を壊滅させようとしたのだ。

 それが失敗したとなれば、もう打つ手は無い。



「宇都宮もここまでだろう」

 ヨシロウはそう思った。

 それでもまだ敵は戦うだろう。

 しかし、戦争の趨勢はもう決した。



 それでも宇都宮勢は意地を見せる。

 接近する芝上の増援。

 およそ1000の兵を蹴散らしていく。

 軍勢を迂回するのではなく、そこに突進しながら。

 普通に考えればありえないだろう。

 だが、宇都宮成綱はそこに勝機を、活路を見出していた。



「接近せよ!」

 無謀と思えるような指示である。

 だが、それも考えあっての事。

「離れれば弓で撃たれる。

 そうなれば、一方的にやられるだけだ」

 それを見抜いていた。



 芝上勢の特徴は、石弓と火縄銃による遠距離攻撃。

 それにより、接近する前に敵を倒していく。

 それが出来なくても数を減らしていく。

 そうする事で、接近される前に倒す。

 接近されても、敵を数を減らすことで脅威を減らす。



 その一方で接近戦には弱い。

 無能や脆弱とまでは言わないまでも、武士に比べれば弱い。

 その事には、先ほどの戦闘で気づいていた。

「だから遠距離攻撃に徹しているのか……」

 理由も推測していた。



 近づけばやられる。

 だから遠距離での攻撃に特化している。

 近づかれたらかなわないが、遠距離攻撃なら被害を受けることは無い。

 相手も同じように弓を持ってない限りは。

 宇都宮成綱はその事に一回の戦闘で気づいていた。



 だから距離をとることを恐れた。

 そうなれば、敵に一方的に攻撃を受ける。

 芝上勢の攻撃速度はすさまじいものがある。

 次から次へと矢がとんでくる。

 それと、轟音と共に行われる攻撃。

 その仕組みは分からないが、それが出るたびに誰かが倒れる。

 何らかの攻撃なのだろうとは思った。



 ならば、接近していった方がいくらかマシである。

 遠距離攻撃のすさまじさに比べれば、まだ接近しての戦闘の方がやりやすい。

 それならば、芝上にも負けはしない。

 実際、輸送・補給の護衛についていた者達はそれほど強くはなかった。

 戦えば勝てる確率が高い。



 とはいえ、それでも損害は出る。

 遠距離攻撃で一方的にやられるよりは良いというだけだ。

 敵中を突破する宇都宮勢は、数を確実に減らしていった。

 芝上勢を道連れにしながら。



「なんて連中だ」

 応援に駆けつけた武将が舌を巻く。

 憎たらしい事ではあるが、その強さを認めないわけにはいかない。

「あれで同じ数だったら……」

 考えるのも恐ろしい。

 自分達が優勢である事を、芝上の武将は天に感謝した。



 その後、宇都宮勢は、立て篭もってる城や砦を巡り、合流を果たしていく。

 城や砦を攻撃してる者達の背後を突き。

 そうして出来た隙をついて、立て篭もってる者達は脱出をしていく。

 そうして逃げ出した者達と合流を果たし、宇都宮成綱は本拠地へと戻っていった。

 ただ、無傷という分けにはいかない。

 城に戻ったときに残っていた兵力は、2000に満たないほどだった。



 対して、芝上勢は8000ほどの兵力が残っている。

 数の上ではまだ優位を保っていた。

 この兵力差があれば、城攻めでも負けることは無い。

「進め」

 芝上の攻撃が始まる。


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