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【完結】死んで幽霊になったと思ったら、戦国時代で神視点?  作者: よぎそーと
4章 芝上の無謀 関八州版

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60回目 嘆きと対策

「聞けば、相模・伊豆でも国人はほとんど容赦なく切られたという。

 女子供、老人の区別無くな」

「な!」

「それは……」

「なんという」

 まだ話が伝わってなかった者もいたようだ。

 そんな彼らは宇都宮成綱の言葉に唖然とする。



「……鬼畜の所業だな」

 一人が口を開く。

 そうとしか言えないのだろう。

 同調する声もあがる。

 だが、それらを成綱は手で制した。

「その辺にしておけ。

 相手には相手の都合や考えがある。

 我らにどうこうできるものではない」

「しかし……」

「そも、その考えは我らから見た場合の事。

 芝上には芝上の考えがあるのだろう」

 そういわれて、他の者は口をつぐんだ。

 その通りなので反論する意味がない。



(それに……)

 口を閉ざした臣下達を目にしながら思う。

 やってる事は非道と言えるが、そうしたくなる気持ちも分かるのだ。

(思い通りにならないなら、手を下すしかないからな)

 成綱にはその思いが痛いほど分かる。

 宇都宮氏とて例外ではないからだ。



 配下をまとめあげるのは難しい。

 成綱も家中をまとめるのに苦労をしている。

 何とかまとめてるのもの、何かしらあると意見が割れる。

 仕方ないと言えるのだが、これが問題だ。

 意見が割れるどころか、そのまま家を割ることにもなりかねない。



 意地の張り合いなのだ。

 事の良し悪しや、最善は何なのかを考えることはなく。

 ただ自分の考えを押し通す。

 そういう考えや気持ちが根付いている。

 悪い意味で真面目なのだろう。

 いや、真面目というものがそもそも問題なのかもしれない。



 一つの事に専念する。

 それを真面目というなら、これは確かに問題だ。

 やる事の良し悪しなど関係なく、一つの事だけをやり続けるという事なのだから。

 欲しいのは誠実さだ。

 事の良し悪しを判断し、その上で実行する。

 駄目な事、まずい事には躊躇する。

 そうでなくては困るのだ。

 だが、そういう人間は驚くほど少ない。



 残念だが、会議の場であるここにいる者たちもそうだ。

 いずれも宇都宮氏の重臣達。

 相応の知識や技術を身につけている。

 だが、それでも事の良し悪しよりも意地を優先する傾向がある。

 そのため、余計な手間を増やすこともあった。



 それを考えると、国人を一気に処分してるのも分かってしまう。

 下手にそれらを抱え込むと、面倒が増える。

 臣下ではなく、あくまで協力者というのが国人の立場だ。

 それらを思い通りに動かすのは至難である。

 そして、それは武士という点で似通ってる宇都宮の臣下達にも言える。

 成綱も思った事はある。

 いっそ、始末してしまえばどんなに楽かと。



 皮肉な事に、そんな者達を一つにまとめあげてるのが、芝上からの侵攻だ。

 巨大な敵に対抗するために、どうしてもまとまらねばならない。

 それがまたいらだたしくもある。

(ならば、平素から素直にしたがってくれればいいものを)

 嘆きは根深いものがあった。



 だが、文句を言っていても仕方が無い。

 成綱もやるべき事をやっていく。

「調べによれば、敵の軍勢は我らよりも多い。

 まともに戦っても負けるだろう」

 それは誰もが理解していた。

 ここ数年の不作で、まともに動かせるだけの軍勢を揃えられない。

 何とかかき集めてようやく4000の兵力を確保しただけだ。

 それに対して相手は1万を超える軍勢。

 戦って勝てるわけがない。



「さて、どうしたものか」

 その策を考えるための会議だが。

 妙案など出てくるわけもない。

「いっそ、降ることが出来ればまだ良かったのだろうが」

 そんな言葉も出てくる。

「殿、しかしそれは」

「分かっている。

 最悪の場合はだ」

 そういって家臣もなだめる。



 しかし、出来るならそうしたいところだった。

 戦って勝てる見込みがない。

 それでも戦うしかないのが武士ではあるが。

 負けるのは屈辱だが、降伏できるならそうしたいとも考えてしまう。



 それが出来ないのは、芝上の行動からだ。

 国人を根こそぎ倒していった。

 相模・伊豆だけではない。

 上野・武蔵でも配下の武家の者を少しずつ遠ざけてるという。

 そんな者達が、成綱達の降伏を受け入れるわけがない。

「どうにかして勝たねばならん」

 生き延びるためにはそれしかなかった。

 しかし、数で勝る敵にどうやって勝つのか。

 それが悩みどころである。



「ここは…………」

「はい」

「攻め込ませるしかないな」

「は?」

 成綱の言葉に誰もが呆けた声をもらした。

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