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【完結】死んで幽霊になったと思ったら、戦国時代で神視点?  作者: よぎそーと
4章 芝上の無謀 関八州版

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57回目 相模・伊豆侵攻 7

「まいったな」

 率いる軍勢の有様を見てため息を吐く。

 食うものもろくになく、それでいてあちこち走り回っていた。

 遊撃戦をこなすために、そうせざるえなかったのだが。

 どうしても疲労がたまる。

 機動力を用いた戦いの問題があらわれていた。



 それを眺める北条早雲は、ため息を吐くしかなかった。

 既に韮山城も落ちている。

 補給は絶たれた。

 敵の物資を奪おうにも、護衛が常に張り付いている。

 それに、襲って奪おうにもそれが出来る兵士がいない。



 いずれも疲労で身動き取れなくなってるか。

 逃亡してどこぞへと姿を消したか。

 なんにせよ北条勢は減るに減って、今や1000を切る。

 もともとの部下以外のほとんどが消えていった。

「まあ、そんなものか」

 落胆はしないようにしてるが、それでも早雲の胸中には暗い雲がかかってくる。



 軍勢の大半が徴兵だ。

 命がけで戦うものなどほとんどいない。

 それは武士も同じだ。

 危ないと見るや一族郎党を率いて離脱する。

 国人達も例外ではない。

 自分の領地を守るためなら、分のあるほうに付く。

 そういうものだ。



 今の北条には分がない。

 負けが込んでいる。

 それでも協力する理由は誰にもない。

 武士も徴兵された者もそれは同じだ。

 逃げ出したところで、誰が咎めるわけでもない。

 自分達を率いていた者達が消えるなら、もうそれで終わりだ。

 逃亡が追及される事は無い。



 それでも律儀についてきた者達が残っている。

 その理由は様々だ。

 ある者は忠義のために。

 ある者は、乗りかかった船と義理を貫くために。

 ある者は、状況がどうなってるか分からず、ただただついてきてるだけの者も。

 そして、疲労困憊でとても身動きでず頭も働かず、流されるままについてきた者。

 そんな者達の集合体が今の北条勢である。



「殿、これでは……」

 配下の一人が早雲に声をかける。

 こんな状況でもついてきた者だ。

 現状は誰よりも分かっている。 

 だからこれからどうするのかを尋ねていた。

「これからどうすれば……」

「そうだな」

 問われて早雲は答える。



「家族は逃がしてあるんだな」

「ええ、此度の出兵の時点で。

 既に今川に到着したという話はきています」

「なら、俺達も続こう」

「それは……」

「撤退だ」

 あっさりと早雲は言い切った。



「もうこれ以上粘ってもどうにもならん。

 敵は強い。

 強いと言うより粘る。

 決して無茶はしないし無理もしない。

 そんな連中が相手では、勝ち目がない」

「それは……」

「戦えば勝てただろうな、最初は。

 だが、そんな時期も過ぎた。

 芝上の軍勢は我らよりも優れている。

 今の我らでは決して勝てん」

「…………悔しいですな」

「まったくだ」



 戦えば勝てた、最初のうちなら。

 その通りだった。

 開戦当初ならば北条にも勝ち目があった。

 戦場で決戦を挑めばどうにかなった。

 しかし、それもなかなか出来なかった。



 その機会があったのは、相模で戦ったときだけ。

 そのときは、石弓や火縄銃の脅威を見て撤退した。

 正面からぶつかるのは危険と判断して。

 小刻みに遊撃戦を仕掛けた方が無難だと思った。

 でなければ、損害が大きくなりすぎる。



 今となっては、その判断が間違っていたと思えた。

 相模で接触したときに戦っていればよかったのだ。

 損害は大きかっただろう。

 負けていたかもしれない。

 しかし、今と違って負けが確定していたわけではなかった。



 あの場は一旦退いて、相模勢を後退させる。

 その後は、状況次第だった。

 相模勢が小田原城で立て篭もってる間に、攻め込んでる芝上の背後を突くか。

 芝上の補給線を分断するか。

 芝上が伊豆に攻め込んでくるなら、迎撃するつもりだった。

 しかし、そのどちらにもならなかった。



「もうすこし相模が踏ん張ってくれればなあ」

 言っても仕方がないが、そう思ってしまう。

 相模がもう少し持ちこたえていれば。

 そうすれば、相手の背後を突けただろう。

 敵の後方を脅かすことも出来ただろう。

 だが、それも出来なかった。



 芝上勢は兵力の大多数を伊豆に向けた。

 それは攻撃を仕掛けるというようなものではなかったが。

 確実に浸透し、必要な拠点を作り上げていった。

 韮山城の脅威になるような位置に。

 そこに補給を注ぎ込み、拠点化を一気に進めた。



 その間に小田原城を陥落させた。

 相模を攻略してしまった。

 その話を聞いたときに、早雲は驚いて頭が真っ白になった。

 どうやったのかさっぱり分からなかった。



 早雲にとって不運なのは、鉄砲の存在を知らなかったこと。

 話には聞いていたが、それだけで情報が止まっていたこと。

 大砲の存在まで彼が知る由もない。

 それにより簡単に城門が破壊されたことなど想像すらも出来なかった。



 おかげで目論見が外されてしまった。

 相模と伊豆の間で挟撃しようと思っていたが。

 思ったよりも早く芝上は伊豆にやってきてしまった。



 そこからどうやって巻き返そうかと考えたが。

 もう既に大勢は決していた。

 遊撃戦を仕掛けたが、それも効果を発揮しなかった。

 戦えば確かに勝てたが、相手の戦力を削ることにはつながらなかった。



 守りを固めた敵はしぶとい。

 強くはないが、決して壊滅させられない。

 戦闘そのものは有利に進められても、それだけで終わる。

 敵が作り上げた野戦陣地の幾つかは奪った。

 しかし、奪っても周囲を囲まれてしまう。

 決して確保する事は出来なかった。

 放棄して撤退しなければ、囲まれて潰されてしまう。



 輸送されてる物資も奪おうとした。

 相手に打撃を与えるのが主目的だった。

 それも暫くするうちに、自分達の食い扶持を稼ぐためになっていたが。

 それも上手くはいかなかった。

 襲撃をすれば確かに護衛を蹴散らせる。

 しかし、すぐに周囲にいる他の護衛が殺到してくる。

 それらから逃れるのが精一杯で、物資を持って逃げることなど出来なかった。



 そうしてるうちに、伊豆の要所要所に陣地が作られ。

 北条勢は国内で分断された。

 そうして身動きが出来ない状態で、韮山城が攻撃された。

 救援に向かおうにも、あちこちにいる芝上勢が邪魔になる。

 結局、城の陥落まで何も出来なかった。



「その挙句がこれか」

 1000にも満たない軍勢。

 それだけが手の内に残っている。

 さすがにこれで芝上に勝てるとは思わない。

「撤退だな」

 残念だが、それ以外に道はなかった。



 こうして北条早雲は駿河に撤退。

 今川家の庇護を受けることになる。



 芝上家の相模・伊豆侵攻は、こうして幕を閉じる。

 新たな統治体制をしいていくこととなる。

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