55回目 相模・伊豆侵攻 5
小田原城のほうはそう手間はかからなかった。
後世ほど大きな城と言うわけではない。
防備もそれなりで、それなりの備えをして攻めればどうにかなる。
攻城兵器として大砲を持ち込んでるのも大きい。
それこそ現代のような大きなものではないが、木製の城門くらいなら難なく破壊できる。
しかも無理してどんぐり形の砲弾を作らせている。
それだけでも威力は向上している。
これを3門持ち込んで使っていく。
小田原城はこれによって簡単に陥落した。
それでも損害は決して小さなものではなかったが。
城攻めはどうしても損害が大きくなる。
装備で上回っていても、これはどうしようもない。
その損害が、通例よりも少なかったのを喜ぶべきだろう。
そして小田原城を陥落させたことで、相模の主導権を握ることが出来た。
まだ土豪や国人は残ってるだろうが、それらは一つ一つ潰していけばよい。
それよりも伊豆である。
北条早雲がまだ生き残ってる。
これをどうにかして倒さねばならない。
さすが英雄・名将である。
動きはそこらの武将とは違う。
守備は守備として韮山城は守っているが。
兵力の大半は外に出ている。
その目的は遊撃戦。
芝上側の補給線や孤立した部隊を狙っていく。
そうして消耗を強いていくのだろう。
実際、これはそれなりに上手く行っていた。
早雲は情報収集に重きを置いている。
どこに何がいるのかを常に把握し、最善の行動をとろうとしている。
そうして得た情報をもとに、襲撃する敵を選んでいっている。
それでいて自分の居場所を把握させないようにも努めている。
この為、動きを把握するのは困難を極める。
とはいえ、相手も人間。
なんらかの拠点はある。
そして、食料などの補給を受けてるはず。
当面は手持ちの分だけでどうにかなるだろうが。
長期的な行動ともなればそうもいかなくなる。
何かしら、補給はする必要がある。
それか、現地調達…………ようは略奪だ。
それによって活動時間を増やさねばならない。
なので、動ける範囲は決まってくる。
それを読んで、相手の行動範囲を絞っていく。
目撃情報を集め、それらの中心となる範囲を見定めていく。
そうして絞り込んだ地域を入念に探っていく。
補給拠点を潰すために。
それが無くなれば、北条の動きも止まる。
芝上は逆に補給をしっかりと行っていく。
持久戦の構えをとり、相手と互角以上に渡り合っていくために。
そのため、補給物資の輸送を守ることに兵力を割いていく。
当然、北条はそこを狙ってくる。
しかし、襲い掛かっても撃退されてしまう。
兵力の大半が輸送物資の防衛にあたってるのだから当然だ。
その輸送も、遠回りしてでも安全な道を選んでいる。
襲われることを念頭に置いて。
「補給と輸送は大事にしろ。
そっちのほうが戦うよりよっぽど大事だ」
アツヤがそう告げたからである。
そのため、物資の輸送や補給をおろそかにしない。
そうして届いた物資を中心にして行動をしていく。
自然と拠点が出来上がっていく。
防備を備えた野戦築城がなされていく。
そのほとんどが土嚢を積み上げた簡易な壁であったが。
そんなものでも敵をしのぐには役立った。
何より、必要な道具の運び込みが楽で済む。
必要なのは、シャベルと袋。
木材や石材ではない。
工具も必要ない。
この簡便さが役に立つ。
そして伊豆・相模で行動をする北条勢を追い込んでいく。
遊撃戦を仕掛けてくる敵に、万全の備えで対処していく。
仕掛けれられても跳ね返し。
相手の拠点を割り出して襲撃し。
動きをだんだんと鈍くさせていく。
そうした上で、韮山城を攻撃。
芝上はこれを陥落させた。




