50回目 軍事体制も変えていく
人手が増えたことは、単純な兵員数の増加にもつながる。
農業や工業に人を割り振ってもなお余る人。
それを軍として抱えることが出来る。
こうして兵力を確保し、次の戦争に備えていく。
あわせて、軍の編成も変えていく。
この時代、多くの軍勢は各武将のものになる。
そのため、武将の統治する領地の豊かさで兵力が変わってしまう。
豊かな土地の武将なら、兵力は多い。
そうでないなら、兵力は少ない。
この為、軍勢として使うのが少々面倒だった。
そこで、領地は全部芝上家が確保。
武将はそのお抱えという形になった。
分かりやすくいえば、サラリーマン化だ。
それまでの武将は、いわば独立事業主や社長のようなもの。
大名の下請け企業のようなものだった。
それを完全に廃止。
すべてを吸収合併して一つにした。
これは芝上だから出来たことだ。
既存の武将などを打ち破り、これまでの支配体制を覆した。
だからこそ出来たことである。
そうして、武将に兵士を預けるという形をとっていく。
それにともなって、軍勢は現代に近い形にしていった。
もともと存在した伍とよばれる部隊編成。
基本的には、五人一組を基本とした部隊だ。
これをもとに、一番小さな部隊である分隊を作っていく。
なお、分隊とするにあたり、隊長・副長・隊員4人というのを基本的な編制とした。
副長は隊長が行動不能になった場合の予備になる。
また、隊員も二人一組を基本とした。
この6人が分隊という最も小さな部隊となる。
これを4つ合わせて小隊。
小隊を4つ合わせて中隊。
こんな調子で部隊を編成していく。
こうして芝上の軍として編制しなおした部隊を、武将に任せていく。
これに合わせて軍の階級も作っていった。
これは、その人がどれくらいの能力を持ってるのかを分かりやすくするためだ。
指揮官が死んでも、同等の能力があると判断されてる同じ階級の者をすぐにあてる。
そうする事で、指揮能力の回復を早める。
他にも、物資の管理、輸送専用部隊。
更には平時から諸国を巡る諜報・偵察部隊。
人員・人事などの書類仕事をまとめる部隊。
常日頃から作戦計画を練る部隊。
これらを編制していく。
至らないところはある。
人が余ったとはいえ、人数には上限がある。
軍勢も無限に増やせるわけではない。
どうしても出てくる人数の上限。
その中でやりくりしなくてはならない。
それでも芝上家は1万2000の常備軍を編制。
農民などの徴兵などをせずとも、これだけの軍を動かせるようになった。
徴兵などを行えば、更に人数は増す。
戦争時にはそうして兵力を増強してことにあたる事になる。
それまでは、各地で防衛についてもらう。
こうして、兵力はどうにか確保できた。
だが、やはり指揮官などを養成するのが難しい。
これだけは5年でどこまで出来るか。
「やってみなけりゃ分からんけど」
前途多難なのはアツヤにだって分かる。
それでも、兵力を武将から切り離すことが出来た。
これで、兵力が集まるかどうかを危惧する必要がなくなる。
今までだと、武将の状況や状態で集結するかどうかもあやしかった。
その心配が減っただけでもありがたい。
何より、農作業などに関係なく動ける兵士がいる。
これは何よりも大きなものだった。
時期に関係なく兵を動かせるのだから。
それも、今までのように農民などをけしかけてのゲリラ戦ではない。
戦争を前提とした軍事行動をやれるのだ。
今まで以上に円滑に事を進めることが出来る。
「まあ、土台は出来たか」
当面は武士などに任せるしかない。
思考が硬直してる者が多いが、中には有望な者もいる。
そういった者達を取り立てて、指揮官に任命していく。
しかし、それでも問題を起こすことも多い。
武士は武士の常識で事を進めようとする。
しかし、兵士の多くは農民上がりだ。
考え方が武士と違う。
その意識の違いが摩擦や衝突になってしまう。
そこは色々と教えたり伝えたりしてるのだが。
「まあ、簡単にはいかないよな」
指揮官である武士も。
兵士である農民も。
どちらにもまだまだ勉強が必要だ。
学問ではなく、生き方の。
「手間がかかるよ」
ため息が漏れた。




