30回目 現在、戦国時代直前、あるいは初期
詳しい時代が分かったというわけではない。
年号などを聞いても、知識のないアツヤにはさっぱりだ。
だが、起こった出来事や、将軍が何代目なのかでおおよそを察した。
統治者を倒して捕獲して。
上位の者だけが持つ情報も聞き出して。
それでおおよその事が分かった。
大きな騒動が起こり、それで国全体が争うような状況になったと。
そこに登場する人物の名前などを聞いてると、幾つかおぼえのあるものが出て来た。
また、歴史シミュレーションゲームなども幾らか遊んできた。
それのおかげで、断片的ながら歴史の知識もある。
そこから、今がどの時期なのかはだいたい分かった。
「けどなあ……」
分かったとてどうなるものでもない。
国全部を巻き込むような大事、手の出しようがない。
それによって起こった動乱に対処するのがせいいっぱいだ。
というより、既に巻き込まれている。
今回の原因となった騒動。
それも、この全国的な動乱の余波であったらしい。
日本を二分した勢力。
その争いの一端がこの地域で起こった。
アツヤとチヨマツが潰したのは、そういう大所帯の一部である。
それらが聞いた事も無い弱小勢力にやられたとなればどうするか。
「間違いなくやってくるよなあ」
自分達の指示を無視し、あろうことか攻撃してきた。
しかも、攻め込まれた自分の配下も潰された。
そうなったら大本締めはどう考えるか?
自分の手勢を潰した奴を放置するだろうか?
「ないよなあ」
無視するとはとても思えない。
もちろん、頂上にいる者が気にするとは思えない。
そこまで話が届くとも思えない。
アツヤやチヨマツにとっては大きな話でも、相手からすればちっぽけな騒動だ。
国全体を左右する勢力にとっては、どうって事のない話だろう。
ただし、現場や現地の担当者や責任者はどう考えるか?
おそらく黙ってはいないだろう。
すぐに行動に出るかどうかは分からないが。
しかし、何らかの動きはあるはず。
「だとしたら」
色々考える。
今はどうしたらいいのか?
どうしていくべきか。
今の状態で何が出来るのか?
まして、今は秩序も崩壊しようとしてる。
あるいはもう崩壊してしまってる時期だ。
騒動や騒乱はこれからも起こる。
それらの中でどう生き残るのか。
おまけにだ。
「このままだと、あの人が来るだろうしな」
考えるだに恐ろしい事実がある。
今の時期と、アツヤのいる場所。
その近隣で何がどうなるのか。
それを思い出すだけで頭が痛い。
「来るよなあ、北条早雲」
戦国時代と呼ばれる時期。
その初期の英雄の一人である。
その北条早雲が、そろそろ出て来る、頭角を現す頃になる。
そして、アツヤの居るのが上野国。
接触を危惧するほど近くはない。
しかし、今後10年や20年を考えるとどうなるか。
否応なしに北条家の存在は大きくなる。
無視する事は出来ない。
「それまでに何とかしないと」
時間は、有るようで無い。
その時間を有効活用しなくてはならない。
「落ち着いて内政してる場合じゃないか」
もう一刻の猶予もない。
一秒でも早く行動していかねばならなくなった。




