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隣人のエルフちゃん  作者: りょう
クルル編① エルフの少女と男子高校生
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#39 思い交錯する夜 後編

 俺と奈緒の会話に突然割って入ってきたのは、今会うのには相応しくないクルルだった。


(最悪だ)


 よりによって揃ってはいけない三人が、今この場所に揃ってしまった。


「クルル? どうしてここに」


「外出からの帰りに、奈緒が入っていくのを見えて気になったんです。そしたら扉が開いていて」


「そう、だったのね」


「それで......これはどういう状況なんですか?」


 クルルの問いに俺は何も答えられない。今俺は彼女の顔すら見られない。


「今日は......帰ってくれないか?」


「納得、できると思う?」


「分かってる。分かっているから、俺に......時間をくれ」


「クロサキさん......」


「頼むっ」


 沈黙が再び部屋に流れる。俺はその間も彼女達に振り返れなかった。


「......分かった。そこまで言うなら今日だけは時間をあげる。その代わり、今日はクルルの家に泊まっていくから」


「え、え?」


 クルルの戸惑いの声が遠のいていく。そして背後で扉が閉じる音がした。


「......ありがとう」


 このまま変わらないでどうするんだよ、俺は。


 2

「奈緒、説明してください。何もかもが急すぎますよ」


「文句は悠に言って。アイツが逃げたんだから」


「クロサキさんが?」


 私は奈緒に連れられるままクロサキさんの部屋を出て、有無も言わさず自分の家に帰宅させられた。


「本当に......私の家に泊まっていくつもりなんですか?」


「勿論そのつもりよ。ただ替えの服とか持っていないから、クルル貸してくれない?」


「それは構いませんが......」


 誰かを自分の家に泊めるのは初めてだから、少しだけ緊張しながらも奈緒を家に通す。


「クルルの部屋って、少し寂しいわね」


「そうですか? 私は余計な物を置く必要がないと思うのですが」


「それだと悠が家に来たときに、何もできないわよ?」


 突然奈緒から爆弾が落とされ、私は身体が凍ってしまう。


「な、何のことを言っているんですか?」


「そのままの意味だけど? クリスマスに悠と何かあったのは目に見えているから」


「べ、べべ、別になにもありませんでしたよ? クロサキさんと一緒にイルミネーションを見ただけですから」


「クルル、嘘はよくない。顔に出てる」


「え? え?」


「冗談よ」


「ううっ、奈緒が意地悪になってしまいました」


 でも全て冗談で言っているようには見えなかった。どれも本気で私に対して言っていて、もしかしたら私も奈緒とは本音で話さなければいけないって思えてくる。


「奈緒、その......今日は夜更かしできますか?」


「そのつもりで泊まりに来たから、ご心配なく」


「私、奈緒にだけは話しておきたいことが沢山あります」


「いいわよ、聞いてあげる。クリスマス以外のこと以外にも悩んでそうだし」


「ありがとうございます、奈緒」


 この夜、私と奈緒は夜通しで語りあった。


 3

『やっぱりそんなことになっていたか』


 奈緒達が帰ってしばらく経った後、啓介が家に帰ったであろうタイミングを見計らって、俺は。電話をかけた。


「やっぱりって、まるでこうなることを分かっていたみたいだな、お前」


『最初からお前の目的は分かってったっての。どうせクルルちゃん絡みの話だったんだろ?』


「......そうだよ」


 やっぱりバレていたかとため息をつきながらも、俺は言葉を続ける。


「この前のクリスマス、色々あってさ」


『そうだろうな。デートなんだから何もないわけがないだろ』


「その色々なことがあってさ、俺今更だけど気づいたんだ」


『気づいた? 何に』


 俺は次の言葉を口にするか悩む。これを今口にしたら、後戻りできない、そんな気がして俺は一瞬だけ躊躇ってしまう。


『どうした? 悠』


「悪い、大丈夫だ」


『もう一度聞くけど、お前は何に気づいたんだ』


 けどずっと足踏みをしていても前には進めない。たとえ俺の選択が、誰かを傷つける事になっても、


(自分の過去から少しでも乗り越えるためにも)


 「俺は......クルルのことが好きなんだ」


 俺は自分のクルルへの思いを話した。


『ったく、やっと気づいたのかよ。最初から皆分かっているって言っただろ?』


 「ああ。俺も気づいたら、少しだけ楽になったよ」


『それで、どうしたいんだ、悠は』


 「どうしたいって?」


『クルルちゃんのことが好きなんだろ? ならその先はどうしたいんだ』


 「それは......勿論クルルに好きだって伝えたいよ。でも」


『もしかしてお前......姉ちゃんの事を気にしているのか? それとも栞の事か?』


 どっちもだった。奈緒のことは現在進行形で気にしなければならないことが多いし、栞の事は......。


『お前なぁ、端から見たら三股かけている最低男にしか見えないぞ』


 「失礼なこと言うなよ。俺だって......こんな思いになったのは初めてなんだよ」


『ならお前自身で決着をつけないと駄目だろ? そうでもしないと示しがつかないだろ』


 「そんなのは......分かっているよ。だから、啓介の力を借りたいんだ」


『俺の力を?』


 「栞の事はともかく、奈緒と二人で話をできるきっかけを作ってほしいんだ。そこで俺は、奈緒の思いもしっかり受け止めたいと思う」


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