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隣人のエルフちゃん  作者: りょう
出会い編 異世界からやって来た少女
21/56

#20 エルフちゃんと文化祭⑥

「ご馳走さまクルル、クロサキ君。また会いに行くからね」


「ありがとうございました!」


 結局スーノが最後の客になり、メイド執事喫茶エルフィンは閉店となった。


「あとは後夜祭だけか」


「去年もそうだったけど、文化祭が終わると寂しいね」


「だな」


 客がいなくなった教室。皆が各々やり切った感を出してくつろぐ中、クルルは一人スーノが出て行った教室の扉を見つめながら黙っていた。


「どうしたクルル」


 それが気になった悠は、クルルの後ろに立ち、彼女に声をかける。


「クロサキさん……私今日文化祭にちゃんと参加できてよかったです。朝はあんな事を言っていましたけど、今ではそれをすごく後悔しているくらいです」


「そう思ってくれたなら、俺は嬉しいよ。俺もお前をちゃんと連れて来られてよかったって思ってる。けどまだ文化祭は終わってないぞ」


「え? どういう事ですか?」


「これから後夜祭がある。その後は」


「その後は?」


「それは後のお楽しみだ」


 ■□■□■□

 後夜祭が行われているのは学校の校庭。キャンプファイヤーを囲んで、生徒それぞれが時間を過ごしている。

 悠達は五人で集まって、キャンプファイヤーをボーッと眺めながら後夜祭を楽しんでいた。


「クルルちゃんのお義母さんが来てたのか?」


「最後の客としてついさっきな」


「でもびっくりしたよ。まさか悠がクルルちゃんのお義母さんに会ったことがあったなんて」


「たまたまなんですよ。ちょうど皆さんに私の話をした日、お義母さんが来ていてクロサキに会いにいってしまったんです」


「行ってしまったって、確かにそうだけどさ」


 向こうも悠にわざわざ会いに外に出た様子だったが、ちょっと厳しい言い方をするクルルに苦笑いする。


「それで悠とクルルはどうしてそれを黙ってたの? 昨夜の事もそうだけど、隠し事多くない?」


「別に隠してたわけじゃねえよ。それに昨日はちゃんと家に帰ったって言ってるだろ?」


「信じるわけないでしょ? あんなにあからさまに動揺してたくせに」


「だよな。元は一人でクルルちゃんの話を聞こうとしていたし、なんでこうもお前は一人で何かしようとするかな」


「……」


 啓介の言葉に悠は黙る。


「み、皆さん、クロサキさんは何も悪くありません! 私を助けてくれようとしたのは事実ですし」


「別に責めてないわよ。ただ私達は隠し事をされるのは嫌いなだけ、でしょ? 悠」


「分かってるよ……お義母さんに会ったことを黙っていたのは悪かったよ」


「昨日のことはあくまでしらを切るのね」


「それはノーコメントで」


 クルルとは二人だけの秘密と約束したので(本人はさっき裏切ったけど)、悠はあくまで自分の意思を貫き通す。


「まあその件はまた改めて聞くとして、そろそろ後夜祭も終わりね」


「本当文化祭って準備とかは長いけど、終わるのってあっという間だよね。楽しいことって一瞬」


「でもその一瞬って、人生で一番輝いている時だよな。そしてその輝きは一生の思い出になる」


「たまに哲学的なことを言うな啓介は」


「俺だって言ってみたくなるんだよ」


「本当変わってるわよね、うちの弟は」


「変わってる言うな!」


 四人で笑い合う。それを少し離れてみてたクルルも、思わず笑みをこぼしていた。


「本当おかしな人たちですね皆さん」


「そんなの今更よ」


「いや、そこは否定してくれよ。あとお前もその一人だかな!」


 ■□■□■□

 後夜祭も終わり、文化祭もこれで全て終了。

 だが悠達のクラスの文化祭はこれで終わりではない。


「さあクルルちゃん、今から教室に戻るよ!」


「もう帰るんじゃないんですか?」


「まだ終わってないよ。ねえ悠」


「勿論」


 準備が整ったと律からの連絡を受け、雛と悠はクルルを連れて自分達の教室へと向かう。教室の入口についても状況を読めないクルルはただひたすら戸惑う。


「な、何をするんですか?」


「皆クルルちゃんを連れて来たよ!」


 しかしそれを無視して雛は扉を開く。すると同時にクラッカーの音が鳴り響いた。


『クルルちゃん、いらっしゃい!』


 そしてクラスの皆の声が響いた。それはクルルがずっと悩んでいたことと真逆の言葉。彼女を迎え入れる言葉達だった。


「これは……一体どういう」


「最初に言っただろ? 誰もクルルを拒んでいる人はいないって教えてやるって。それがこれだよ」


「同じクラスにいながら不安な思いをさせてきちゃってごめんねクルルちゃん。でもこれだけは言わせて。クルルちゃんはもう私達のクラスメイトの一員なんだよ、一ヶ月前から」


「でも皆私を避けていて」


「違うよクルルちゃん」


 悠と雛の言葉にまだ戸惑うクルルに声をかけたのは委員長の律。


「私本当はずっと話してみたかったの。けどどうしてもそのきっかけが分からなくて。だから今日沢山お話ししよう?」


「委員長さん……」


 律は手を伸ばし笑顔でクルルに語りかける。クルルはしばらくどうするか悩んだものの、律の手をしっかりと掴んだ。


「はい! 私も皆さんと沢山話したいことがあります!」


 祭りの後はまだまだ続く。

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