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隣人のエルフちゃん  作者: りょう
出会い編 異世界からやって来た少女
20/56

#19 エルフちゃんと文化祭⑤

 悠とクルルが学校に到着したのは、既に文化祭が始まって二時間後。お昼近くだった。


「大遅刻だよ! 悠」


「悪い。クルル連れてくるのに時間がかかった」


「……サクラギさん、すいません私……」


「話したいことはいっぱいあるけど、そんなのは後! ほら二人とも着替えて! 今日も繁盛してるんだから」


「ああ!」


「は、はい」


 忙しさも相まって二人の遅い到着に誰一人として文句を言うものはいなかった。むしろちゃんと来てくれたクルルに安堵の表情を浮かべるクラスメイトが多く、雛もすれ違い際に、


「グッジョブ、悠」


 そう一言だけ労ってくれた。


「だから言っただろクルル」


 呆然とするクルルに悠は声をかける。


「でも私、二時間も遅刻したのに……どうして誰も」


「とにかく着替えろ。そして昨日働けなかった分沢山働け」


「わ、分かりました」


 悠人クルルが到着し、ようやく彼らの文化祭二日目が幕を開けた。


 ■□■□■□

「い、いらっしゃいませ、ご主人」


 三十分後。

 クルルはメイド服に着替え、恥ずかしがりながらもちゃんと接客をしていた。それを遠目で料理しながら見ている悠に、クラス委員長の 花咲律(はなさきりつ)が話しかけてきた。


「ありがとう黒崎君、クルルちゃんをちゃんと連れて来てくれて」


「言葉じゃ伝わらないことが多いからな。こうして自分の目で確かめてもらった方がいいって事だろ? 委員長」


「うん。雛ちゃんからクルルちゃんが今日も来ないかもしれないって聞いたときは、流石に私も焦ったもん」


「そういえば雛から聞いたけど、今日のサプライズパーティを提案したのも委員長なんだって?」


「そうよ。だからもし連れてこれなかったら全部が台無しになるところだったんだから」


「まあ結果オーライって事で」


 料理を続けながら接客を何とか続けるクルルを遠くで見る。彼女のメイド服姿は、当初の想像よりも可憐で、とても可愛らしく、悠は何度も彼女を見てしまう。


(本当何を着ても似合うというか……)


「ふうん、そういうこと」


「な、何だよ委員長。俺何かおかしなこと言ったか?」


「別にー。ただ面白いなって」


「面白い?」


「そういう無自覚なところとかねー」


 律の言葉の意味を理解できない悠。


(雛とかも言っていたけど、何が無自覚なんだ?)


「ほら、これ五番テーブルに持っていてくれ」


「はいはい」


 初日と違って誰一人欠ける事なく参加できた文化祭は、つつがなく続いて行く。





「よお三人とも、今日は俺たちが遊びに来たぞ」


「クルルもちゃんと来たのね」


 午後になって昨日は来れなかった啓介と奈緒が悠達のクラスにやって来る。


「「いらっしゃいませ、ご主人さま」」


 その頃にはクルルもしっかりとお客さんを迎え入れるようになっており、二人を雛とクルルが元気よく迎えた。


「昨日姉ちゃんから話を聞いた時は流石に心配したけど、元気になったようで安心したよクルルちゃん」


「心配かけてすいませんでした。クロサキさんとナオさんが看病してくれたおかげで、元気になりました」


「それならよかった。悠が泊まりで看病してくれたおかげね」


『え!?』


「な、ば、馬鹿!」


 奈緒の爆弾発言にそれぞれ仕事をしているクラス中が反応を示す。悠もキッチンから出て、抗議をしに行く。


「昨日家に戻ったってラインしただろ?!」


「馬鹿ね、そんなの信じるわけないでしょ? それに冗談のつもりで私は言ったんだけど、その反応の仕方だともしかして本当なの?」


「ち、違うからな!」


「クロサキさん……」


 それを何故か哀れみな目でクルルに見られる。


「待て待て、何でクルルがそっち側にいる?」


「その方が面白いかなって思って」


「いや、面白くないだろ!」


「ねえ雛」


「うん。あとで悠には色々と聞かないといけないわね」


 ■□■□■□

 色々あった文化祭も終盤。

 終り一時間を切った頃、思わぬ客が悠達のクラスにやって来た。


「こんばんはクルル、クロサキ君、遊びに来たわよ」


「スーノさん?!」


「お、お義母さん?!」


 それはクルルの義母のスーノ。クルルもやって来ることは知らなかったらしく、悠と二人して驚いていた。


「お、お義母さんってクルルの話にあった?」


「ああ。そういえば雛が会うのは初めてか」


「悠は会ったことあるの?」


「少しだけな」


 すかさずスーノに接客しに行ったのはクルル。悠達はそれを遠くから眺めている。


「お義母さん、どうして突然。来るなんて言ってなかったのに」


「娘の文化祭よ? 来ないわけがないじゃない」


「そう言われても……」


 困った顔を浮かべながらも嬉しそうな顔を浮かべるクルル。


「あれがクルルちゃんのお義母さんか……美人な人だね」


「ちょっと親バカなところはあるけど、すごくいい人だと思う」


「それ他人の悠が言っちゃダメでしょ」


 そんな会話をしている間に注文をとってきたクルルが戻ってくる。


「クロサキさん、料理お願いします」


「ああ」


 クルルから注文を聞いた悠がキッチンに入り、雛はクルルに寄っていく。


「良かったねクルルちゃん」


「え?」


「だって今日文化祭に参加していなかったら、お義母さんに会えなかったんだよ?」


「そう……ですね。私ちゃんと参加できてよかったです文化祭」

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