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隣人のエルフちゃん  作者: りょう
出会い編 異世界からやって来た少女
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#16 エルフちゃんと文化祭②

「気が動転してたのは分かるけど、何で私?」


 それから三十分後。冷えピタと水を持ってきた奈緒が到着。その間もクルルは目を覚まさず、濡れたタオルで熱を冷やしてあげたり、簡単なお粥を作ってあげることしかできなかった。


「家の距離的にもそっちが近いし、雛よりかは頼りになるだろ?」


「多分それ本人に言ったら怒られるわよ」


 とりあえずクルルに冷えピタを貼り、彼女が目を覚ますまで二人でただ待つ。


「まさかこんな熱になるまで無理してたなんて」


 眠るクルルを見ながら奈緒がボソッと呟く。悠も彼女と同意見で、どうしてこんなに無理してたことに気づいてやれなかったのか悔やむしかなかった。


「多分まだ環境に慣れてないって事もあったんだろうな。あとは熱が出ても看病してくれる人がいなかったとか」


「私達文化祭のことで頭いっぱいだったから気づかなかったけど、クルルは一人暮らし始めてまだ一ヶ月だし色々ストレスとかもあったのかも」


「ストレス、か」


 住み慣れた場所で一人暮らしを始めた悠と違って、クルルは初めてな事が多かった分、精神的負荷は大きかったのかもしれない。

 悠達としてもそれをサポートしてきたつもりだったが、目の前のことで頭がいっぱいだったのは違いなかった。


「なあ奈緒、こんなので俺達本当にクルルを守ってやれるのかな?」


「分からない。けど一つはっきり言えるのは、下を向いてたら何もできないってこと」


「そうだな……」


 ■□■□■□

「んぅ……あれ? 私……」


 それからクルルが目を覚ましたのは、奈緒が帰ってから三十分経った後。日付が変わってすぐのことだった。


「目覚ましたか? クルル」


「く、クロサキさん?! ど、どうしてここに……」


「熱で休んだから心配になって来てみたら高熱で倒れてたから、看病していたんだよ。あ、勿論俺だけじゃなくて奈緒も一緒にな」


「ナオさんとクロサキさんが……」


 しばらく呆然とするクルル。何を言葉にしたらいいのか分からず、しばらく黙った後、ゆっくり口を開いた。


「文化祭……」


「え?」


「折角の文化祭……私が休んで台無しにしてしまったんじゃないですか?」


「そんな事ないよ。明日だってあるし、クルルだって明日は来れるだろ?」


「……」


「クルル?」


「あ、はい、勿論行きますよ。ちゃんと熱が下がってくれればですが……」


「ならちゃんと食べて薬飲んで、寝ないとな。俺がお粥作っておいたからそれを食べてくれ」


「クロサキさんがお粥を?」


「なんだよ意外か? 俺だって一人暮らししているんだから、それくらい作れるよ。というか作り方もこの前教えただろ?」


「そ、そうでしたね。すいません、頭が回らなくて」


「今お粥温めてくるから楽にしてろ。起きてるの辛いだろ?」


「はい……」


 起こしていた体を再び倒したことを確認した悠は、そのまま台所へ行き作っておいたお粥を温める。


「あのクロサキさん……」


「ん?」


「クロサキさんは大丈夫なんですか? 明日クロサキさんだって朝が早いのに……だからナオさんも帰ったんですよね?」


「病人を一人にするほど薄情じゃないからな俺も。むしろこれで帰ったら雛達に逆に怒られるからな」


「……本当優しいんですね。クロサキさんも皆さんも」


「優しいというか、当たり前のことをしているだけだからな俺達も。困ったときはお互い様ってのが俺たちなんだよ。そしてその仲間にクルルも入ったってだけ」


「それでも……です。本当に優しくて……暖かくて……」


 台所で聞いていても分かるくらいに涙声になっていくクルル。


「私……今日ずっと一人で寂しかったんです……同時に大事な日に休んでしまったことが申し訳なくて……でも誰も話せる人がいなくて……」


「一人で不安になるのは俺も分かるよ。特に病気になったときは誰かを頼りたくなる」


「だからクロサキさん達が来てくれたことは……嬉しいんです……でもやっぱり申し訳ないんです……」


「気にするなって言っただろ? ほら、とりあえず食べるのも辛いと思うけど、お粥できたから」


「……ありがとうございます」


 温め終わったお粥をクルルの前に置くと、彼女は涙を拭いながら体を起こす。


「美味しそうです」


「口に合えばいいけどな」


「いただきます」


 スプーンで掬ったお粥を口にするクルル。すると口にあったのか顔を綻ばせて笑顔を浮かべた。


「美味しい……クロサキさんが作ったお粥、すごく美味しいです」


「ならよかった。じゃあそれちゃんと食べてしっかり休んで明日は学校来いよ。俺は帰るから」


 それをちゃんと見届けた悠は立ち上がって帰ろうとする。しかしそんな彼の服の袖をクルルは掴んで離さなかった。


「行かないで……ください……」


「え?」


「一人じゃ寂しいので……今日は泊まっていってください」

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