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隣人のエルフちゃん  作者: りょう
出会い編 異世界からやって来た少女
12/56

#12 エルフちゃんのお義母さん 前編

「家族問題、か。クルルちゃんって非現実的な存在だけど、抱えている問題は私達にも起こり得る話なんだね」


 クルルの話を終え、彼女が自分の部屋に帰った後、雛が呟いた。


「でもさ身近な問題なら、俺達でクルルちゃんを守れるんじゃないか?」


「そう簡単にいくような話なら、ね」


「なんだよ姉ちゃん、あんな事言っておいてクルルちゃんを助けないつもりかよ」


「そうは言ってない。けど高校生の私達に出来ることなんて限られているでしょ?」


「それは、そうだけど」


「悠もそれを分かっているんでしょ?」


「ん? ああ」


 台所で洗い物をしている悠は、曖昧な返事をする。


「なんだよその中途半端な返事は。まさかお前今になって後悔とかしていないよな?」


「そうじゃねえよ。ただちょっと思い出すことがあってさ」


「思い出すこと?」


「昔こっちに引っ越してくる前に、クルルと同じ環境の女の子がいたんだよ。それを思い出してさ」


「それってまだ私達と会う前?」


「ああ。けどこっちに越してから連絡も取ってないし、その女の子がどうなったかも分からないんだ」


 洗い物をしながら悠は昔のことを思い出す。もう本当に小さい頃の話なので、詳しいことは覚えていないが昔一緒に遊んだ女の子がクルルと似たような環境の子だったと、大きくなってから母親に教えてもらった。


「お前って変わった人を惹きつけるよな。その女の子にせよクルルちゃんにせよ、普通の人を引き寄せないというか」


「それだとお前も変わった人に入るけどな、啓介」


「何かの能力なのかしらね。まさか異世界の人まで引き寄せるとは考えなかったけど」


「クルルは特殊すぎるだろ」


 洗い物を終えて戻ってきた悠は、三人から見える位置に立つ。


「それで、話はそれたけどこれからどうする? クルルを守るって言っても、奈緒が言ったように高校生の俺たちに出来ることは限られている」


「守るにも色々な形があるからな。これからゆっくり考えていくのが一番じゃないかな。それにクルルちゃんはもう友達だし、簡単に離れるような事もないだろ?」


「そうね。これから考えていくのが妥当ね」


 奈緒の言葉に全員が頷き、クルルの事はこれから全員で考えていくという結論で、今日は解散する事になった。

 帰り際、見送りに出てきた悠に奈緒が耳元で囁く。


「ねえ悠」


「ん?」


「さっきも言ったけど私達に出来る事は限られてる。だけど一番クルルを守れるのは、隣に住んでいる悠だけなんだから、しっかり守ってあげなさいよ」


「……分かってる」


 ただ奈緒の言葉に対して悠はそう返す事しかできない。自分から守ると言っておきながら、悠自身具体的な事は決めていなかった。


(これから考える、と言ってもな……)


 奈緒の言ったように一番近くにいるのは悠だ。それだけにそのプレッシャーは大きい。


(出来るのか、俺に)


「自分を変えたいんでしょ?」


「まあ、な。少しはマシになりたい」


「クルルが悠に変化をもたらしてくれているなら、その恩返しはしっかりしないと。私だってサポートするから」


「ありがとう、奈緒」


「じゃあまた月曜日」


 奈緒はそう言うと先を歩いている雛達を追って走っていった。


「ふぅ……」


 三人の姿が見えなくなるまで見送った悠は、そのままマンションの中に戻っていこうとするが、途中で足を止めた。


 マンションの入口のエントランスで、一人の見覚えのない女性が立っていたからだ。


「貴方がクロサキユウさん、ですね」


 そしてその女性は悠を見つけるなり、そう声をかけてきたのだった。


 ◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

 特徴的な耳と、片言風の名前の呼び方から、その女性がクルルと同族の人だという事を感じ取る。


(母親か? それとも義母か?)


「えっと俺に何か用ですか? 俺会ったことないと思うんですけど」


「あ、すいません! 初対面の方なのにいきなり名前を呼んでしまって。娘から色々教えてもらっていたので」


 連絡を取り合っている仲、つまり彼女は義母の可能性が高い。悠は一度警戒を解いて、改めて女性に話しかける。


「クルルが俺の事を教えていたんですか?」


「はい。とても仲のいい隣人ができたって喜んでました」


「とても仲のいい隣人、ですか」


「それにもう一ついい事があったって聞いていて……っと、それは内緒でしたね」


 穏や笑みを浮かべながる女性。


(間違いない。彼女はクルルの義理の母親だ)


 ようやくそう結論が出た時だった。


「お義母さん、いつまで飲み物を買いに……あれ? クロサキさん? どうして私のお義母さんと」


 クルルが女性がいた場所と同じ場所から姿を現わす。


「啓介達を見送って戻ろうとしたら、入口で待ち構えていたんだよ」


「お義母さん?! どうしてそんな事を」


「だって気になっていたんですもの。娘の好みの人はどんな人なのかなって」


「お義母さん!!」


 本物の親子のように喧嘩を繰り広げる二人。クルルの言っている「お義母さん」という言葉も、本当の「お母さん」とイントネーションが若干違くて、区別がつきやすい。


「それで、えっと、この人がさっきクルルが話していたお義母さん?」


「は、はい。私の義母のスーノです」


「クルルのお母さんのスーノです。よろしくお願いしますね、クロサキユウさん」


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