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ダルマサンの出来上がり  作者: 荒木空
修行編
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依頼


 大空からのフォールダウンを繰り返す日々から数日、俺はようやく自分の意思で風属性の魔力を扱えるようになった。

 朝から晩まで、食事の摂取や水分補給すら許されず大空からのフォールダウンは、俺の残る茶髪を完全に白に染まる事になった。


 だがその甲斐有ってか風属性の習得に成功した。


 風属性の魔力は斬属性の魔力と同じように纏う事で使えるが、斬属性の魔力より汎用性が高かった。

 まず大空からのフォールダウンの時やクソガキを助けた時のように、風、空気に圧力を掛けて、それを踏むなり蹴るなりすることが出来る。

 しかもこれには二通り方法が有って、足場を作る方法と最初から足の裏に作って置いておく方法の2つだ。前者は空を歩いたり駆けたりするときに、次の足場として使う物や、空気圧縮による一種の爆弾、罠のような使い方をする。対して後者は宙に留まる時や、空気圧縮による急加速といった使い方を主にする。原理は両方とも同じだが、使い方によって効果がかなり変わる。

 フェルトさんが俺を抱えて宙を駆け上がって行ったり、空中で立っていたりした種はこれだった。

 ただ相当な魔力と魔力コントロールが必要とされるため、習得難易度はかなり高いらしい。

 俺は正直、前者の方法でフォールダウンを乗り切ったからある程度はすぐに出来た。後者もクソガキの時にやってたし、原理がわかったから前者が出来た後はスムーズに習得出来たから、どれ程凄い技術なのかはわからないし実感が湧かない。



 さて、そんな数日を過ごし、更にフォールダウンをし始めた日から数えて2週間後。俺は、実質初の依頼をすることとなった。


 内容はこうだ。

 ある貴族の屋敷で奉仕する20歳男性の執事からの依頼で、依頼内容は『自分が仕える主である貴族を手段は問わないから殺して欲しい。殺してくれるなら肉体的にでも精神的にでも社会的にでも、種類は問わない』というもの。


 フェルトさん曰く肉体的以外の死でも良いというのは非常に珍しく、フェルトさんと共に依頼者本人に詳しく話を聞くと、よく有りそうな虫酸の走る内容だった。


 少しだけオブラートに包みつつ話すと、

 曰く、依頼主の主は下半身で生きているらしい。

 曰く、依頼主には同い年の恋人の幼馴染みが居るらしい。

 ある日その恋人は手を付けられて穢されたらしい。自分ともまだだったのに手を付けた主に殺意を湧いたらしい。

 曰く、その恋人は子供を産むこととなってしまったらしい。恋人は「例え貴方の子供じゃなかったとしても、生まれて来た子に罪は無いから頑張って育てる」と言ったらしい。それを聞いて、依頼主は「例え自分の子供じゃなかったとしても、お前との子供としてお前とこの子を護る」と言ったらしい。その赤子は女の子で、他のメイドや執事たちに助けられながら5年の月日を過ごしたらしい。5年も経てば、そして子供が居たから、主に対する殺意は息を潜めていたらしい。それがつい先日までの話だった。

 曰く、あろうことか依頼主の主は、その5歳になったばかりの、まだ生殖器なんてものが未発達過ぎる赤子にまで手を付けたそうだ。これに今度こそ怒りと殺意でどうにかなりそうになった依頼主は、それでも内縁の妻と子供の為になんとか理性で衝動的な行動を控え、何が何でも主をどのような形でも良いから殺すために当ギルドを訪れ依頼した。

 というのが経緯らしかった。


 フェルトさん曰く、この手の話は多いらしいが、それでも曲がりなりにも自分の子供にまで手を出すド畜生は滅多に居ないらしい。


 滅多にという事は、たまに居るという事で、話を聞いた俺は戦慄した。


 そしてそのド畜生は、確かに依頼される前からフェルトさんが『そろそろ絞めないとならない相手』として目を付けていた対象でもあるらしい。そういう理由も有り、今回の依頼を受ける事となった。


 では何故俺の初依頼みたいな言い方をしたかと言うと、実際、今回の依頼は俺が主導で行う事となったからだ。

 『俺はまだ6歳児だ』と言えば、いつもの『修行止める?』やら『スラムの子供なら既に殺しぐらい必要に迫られれば普通にやるけど?』『スラムの子供に出来るなら、曲がりなりにも裏ギルドに所属する子供が出来ない訳ないよね?』と笑顔で言われれば、やらざる負えない。

 実際、どういう訳かこの世界に来てから人の生き死にが前の世界に居た時より忌避感はないし、むしろ楽しいとさえ何故か思うようになってる。そんな精神状態になっているのだから、別に今更『殺し』なんてやることについてはどうでも良いんだが……、今回の言い方だとまるで俺1人で全部やれみたいな言い方だ。流石にそれは、初回にしては難易度が高過ぎるし、もし失敗でもすれば裏ギルドの顔に傷が付く。


 という話をフェルトさんにすると、「じゃあ付き添いで俺も行ってあげる。だけど手は出さないし、くたばっても気にもしない。それでも良いなら付き合うけど?あぁ、そうそう、()()()()のやり方は口出ししてあげるね。まだ教えてないし」という事になり、今回の状況になった。



そして今夜。今夜がその、実行日である。




毎月1の位が1の日の18時に更新することを目標に、更新していくことにしました。



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