閑話─お姫様の憂鬱
前ページが短いので、同日同時間更新です。
「はぁー……」
憂鬱です。何故憂鬱かと申しますと、先日まで幾度となくなんの断りもなく私の部屋に押し掛けていた殿方がここ数日いらっしゃらないからです。
「姫様、完全に堕ちましたね」
「そうですね。最初はあれほど嫌がっていたのに、命の危険に晒されたのに、それを助けられてコロリなんて、少しチョロ過ぎではありませんか?」
「コラ!聞かれたら不味いでしょ!そういうことは胸の内に秘めてなさい!」
「ヒィィ!ごめんなさい!」
メイド達が何かを話していますが耳に入りません。
はぁ、あの方は次、いついらっしゃるのでしょうか……。
思えば出会いも劇的でした。
唐突にあの方は私の部屋に訪れました。当然私は「なんの無礼だ」と部屋を退出することを促したのに、あの方は退出しませんでした。
それどころか、私に近付き、私の首を片手で持ち上げました。
正直死んだと思いました。
ですが裏ギルドのマスターであるフェルトさんに助けていただき、なんとか一命を取り留める事が出来ました。
ただそのあとが駄目でした……。
私、首を絞められた事でついカッとなってしまい、あの方のお顔を殴ってしまいました。
そのあとあの方も私の顔を……。
正直、あの衝撃は、その、今にして思えば少し心地良かったです……。
その後も色々有りました……。
着替えを覗かれましたし、その…生まれたての姿も……見られましたし、メイドが落としたナイフで斬り掛かったり、それをいなされ逆に床に叩き付けられたり、殴りに行けば返り討ちに遭い、今にしても思えば、本当に私はあの方にとても失礼な事をしていたように思います。
そして同時にこうも思います。
あれが、その、私があの方をお慕いするまでの感情の揺れ動きなのだと……。
「見てください!姫様が女の表情をきていますよ!」
「馬鹿!そういうことは胸の内に秘めてなさい!さっきも言ったでしょ!」
「痛い!痛い痛い、痛いです!ごめんなさい!!」
メイド達が何かをコソコソと話していますが内容が聞こえません。
あぁ、それにしても、あの時は心臓が止まるかと思いました。
そう、あれは、あの方が私を投げた後の事です。私は窓から外へ放り出されました。元は私が原因なのですが、それでもあの時ばかりは死を覚悟しました……。
それを救ってくださったのがあの方です!
あの方は私の後を追い、同じく窓から飛び降りてくださいました。そして落下する私に追い付くと、私を優しく抱き抱え、見事着地し私の命を助けてくださいました。
この時です。この時から私はあの方をお慕いするようになりました。
当然ながら当時はその事に気付けませんでしたが、こうやって振り返ってみれば、あれが決め手だったのでしょう。
私はあの時、なんて愚かしい事をしたのでしょう……。今振り返ってみても「感謝なんてしないから」は我ながら無いです。
あぁ、そんな愚かしい事を言ってしまった事を早くあの方に謝りたい……。それにまた投げたり蹴ったりしていただきたい……。あの方ともっとお話ししたい……。
はぁー、あの方には、次、いつ会えるのでしょうか……?
おや……?第三王女の様子が……。




