属性について
「君の属性の色は確か、エメラルド色の緑と、毒沼のような紫色、そしてそれ等を縁取る鈍く輝く灰色、だったかな?君風に言うと翠色におおまかなロイヤルパープルに鋼色だっけ。
まず先の2つだけど、両方とも俺はなんの属性だか知っている。というか、両方とも俺は持ってる」
フェルトさんの言葉を聞いて、自分の目が見開かれるのがわかった。
そりゃそうだ。今日半日、不安で不安で仕方がなかった属性の内、2つがこんなにあっさりわかる人が居るだから、これだけで既にここに来て正解だったと言わざる終えない。
「で、最後の縁取ってる属性についてだけど、これもおおよその予想はついてる」
再び自分の目が見開かれるのがわかった。
先程もそうだが、このほんの数分の会話だけで全てわかったのだ。自分の不安がなんだったのかと少し哀しさを覚えるが、それでもわかる人が居ることがわかっただけ、本当に良かった。
「それは!その属性はなんなんだ?!」
思わず声を大きくしてしまう。
当然だ。先も述べた通り、属性が何かわからないだけで半日不安で不安で仕方なかったんだ。それが一気に解消されるとなれば、心が逸らない訳がない。
「まぁまぁ落ち着いて。その前にやることが有る」
そんな俺をフェルトさんは宥めながらニヤニヤしている。
まだ出会って半日も経ってないが、今ほどフェルトさんのニヤついた表情に苛立ちを覚えた事はないな……。
良いから早く教えろよ。俺は気になって気になって仕方ないんだよ。
「ハハハ、君、敬語であることをやめた途端、性格が全く逆になったね?気性も。
何?それが君本来の物なの?」
「なんだって良いだろ。それより早く教えてくれよ。俺は属性が何かわからず、今日半日不安で不安で仕方なかったんだ。それが全部わかるとなれば、気持ちが逸らない訳がないだろ」
「ハハハ、それは全く以てその通りだ。その気持ちは俺にもわかる。俺だってそうだったからな。
だからこそ敢えてこの言葉で言おう。
誰が君みたいな雑魚に教えるかよ、バーカ」
フェルトさんに殺意を覚えたのは仕方のない事だと思う。
ただ、殴り掛かろうとしたのは失敗だった。
思わず俺は、フェルトを殴ろうと、その場から駆け出し、椅子に座るフェルトに向けて跳び上がり拳を振りかぶった。
フェルトはニヤけた表情のまま慌てた様子もなく椅子から立ち上がり避ける。
俺の放った拳はそのまま空を切り、机に当たる。そして俺自身は
「うんうん、まぁこうなるよね。予想より凄いけど」
なんか言ってるけど知るか!
俺はそのまま、今度は机の上から机から離れたフェルトに向けてドロップキックの要領で蹴りに行った。
しかしこれも軽く避けられる。
「ふむふむ、上より下の方が現時点では練度が高いと。走ってたって言ってたし、だから下なのかな?」
あ゛あ゛ぁ゛あ゛ーーッ!クソッ!!当たらん!!
床に足から飛び込んだかのように転がっていた体を起こして、フェルトに攻撃しようと、またも跳び掛かる。
すると今度は、フェルトは避けようとせず、何処からか取り出した白いハンカチをヒラヒラさせて、「君はこのハンカチ以下だよ」とか言って来やがった!
俺の怒りは更に増す。
ハンカチを握るフェルトの手ごと殴ってやろうと拳を突き出すも、それもまたヒラリと躱されてしまう。
「まるで闘牛みたいだね?
まぁ予想通りではあるけど、え。君、現時点で既にナイフぐらい斬れるほどの質って、どうなってるんだい?」
またなんかフェルトが言ってるが、「闘牛みたいだね?」という声だけはハッキリと聞こえた。
それにより俺の怒りは更に増し、最早目の前が真っ赤だ。
そうしていよいよ頭の中で何かが切れそうな気がした瞬間、
「まぁ、だいたいわかったよ。取り敢えず今は寝といて」
そんな声と共に、俺は意識を手放した。
☆ ☆ ☆
ジャックが気絶したあと、この部屋の主はニヤニヤしながら、先程まで自分が座っていた椅子に気絶するジャックを座らせた。
「いやぁ、想像以上だったよ」
フェルトは机と床、それにハンカチを見る。
机はまるで腐って溶けたかのように形を留めておらず、床はまるで何かが刺さったかのような穴が空いていた。ハンカチに関しては、ジャックの拳を躱す際に当たっていたのか、ハンカチの端がジャックの拳の形に斬り落とされていた。
「ホント、良い拾い物をした。これはこれからが楽しみだ」
フェルトはそう言うと、笑いながら1度部屋から出て行った。




