今後について
「心配しなくても、次はその話だよ」
フェルトさんは椅子に預けていた体を起こして、机に肘をついて前のめりの姿勢になった。
「君のこれからは、さっきも言ったみたいに君の自由にしてもらって良い。
ただ、それを押し通すにはやはりある程度の力が必要だ。それは。言わなくてもわかるね?」
「あぁ」
「だからまずは、君には君自身を鍛えてもらう。確か体力作りの為に走ったりしてたんだっけ?その辺も合わせて調整して、話を進めようと考えてる。異論は有るかい?」
「むしろ挑むところ。こちらからお願いしたい」
「良いね。君、そっちの方がイキイキしてて良いよ。
じゃあそれを行う上で、君を鍛えるためのコースを選んでもらいたい」
「コース?」
「1番楽なコース。ちょっと大変なコース。地獄のようなコースの3つだね。
君の性格から考えるとちょっと大変なコースぐらいがちょうど良いと思うんだけど、どうかな?」
これはアレか、初級者コース、中級者コース、上級者コースという感じか。
確かに桐崎達磨としての、私としての俺は中級者コースぐらいが妥当だと考えてそのコースを選んでいただろう。
でも俺はとなると……。
「質問良いか?」
「どうぞ」
「そのコースの内訳はどんな感じなんだ?それを説明されないとどのコースを選んだ方が良いかわからない」
「それはまぁそうだね。良いよ、教えよう。
まず1番楽なコース。これは君の年齢に沿った訓練を行う。つまり体に合った訓練で、周りの同年代と同じスピードで成長出来る。最終的な出来上がりは中の上から良くて上の下ぐらいだね。
次にちょっと大変なコース。これは最初から、まずは1番楽なコースの最終的な出来上がりを数年という短期間で身に付けてもらう。まぁ、このコースの最終的な出来上がりは、このギルドの面子に手が届くぐらいだと思ってくれると良いよ。まだわからないだろうけど。
そして最後の地獄のようなコースは、うん、聞かない方が良いんじゃない?まぁ一応説明すると、5年から10年ほどの時間を掛けて、最終的な出来上がりはこのギルドの上位に入れるぐらいになってもらう。このコースを選んだ時点でその後の拒否権やコース変更は認められない。
じゃあわかりやすく纏めようか。
1番楽なコースが一般レベル。ちょっと大変なコースが国の上位レベル。そして地獄のようなコースは世界レベルとでも言えばイメージしやすいかな。
さて、どのコースが良い?」
「地獄のようなコースで頼む」
即答した。俺の求めてるレベルが地獄のようなコースでしか手に入らなさそうだったから。
「ちなみに理由を聞いても?」
フェルトさんは最初から俺の答えがわかってたのか、ニヤニヤしながら尋ねて来る。
ホント、色んな意味で良い性格してる。
「一般レベルなんてそもそも論外だ。国レベルも、それこそ国が変われば質が変わるわけだから、これも除外だ。ならあとは、残った地獄のようなコースしか存在してないだろ?
第一、俺はここのレベルを物差しの基準で考えて今後行動するつもりなんだ。だったら自分もその物差しの中に入らないとどれだけ出来上がってるのかわからないだろ?」
俺が答え終えると、フェルトさんは歓喜したかのうように満面の笑みを浮かべながら立ち上がった。
「良いね!最高の回答だ!!君のその回答を待ってた!!
いやぁ君、ホントここに入って良かったんじゃない?ここに来る前の君とは段違いに良いよ」
先程から事ある毎に「良いよ」と言われているが、正直何が良いのかわからない。
まぁでも悪い気はしない。
何より、私がなんだかんだひた隠して来た俺を出して、それを受け入れられてるというのは、こちらとしてもとても嬉しい事だ。
フェルトさんの言う通り、俺はここに来て正解だったのかもしれない。
「そうと決まれば、まずは君の属性について話そうか。
君の属性は何色だったんだい?」
早く俺を鍛えたい。そんな感情が見て取れるフェルトさんは、俺が今日、1番悩んでいた事に触れてきた。




