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ダルマサンの出来上がり  作者: 荒木空
修行編
14/34

裏ギルドについて


 「よし、これで俺は、一応君を信用しよう。だから1から全部話そう」


 フェルトさんはそう言いながら椅子へと戻り、体を椅子に預けながら話し始めた。


 「さて、まず裏ギルドという組織がどういう組織なのかについての世間一般の前知識は持ってる物として話を進めて良いかな?」


 俺は頷く。


 「OK。世間一般の裏ギルドという組織は、何処の国の中枢にも深く関与している。これは事実だが、こと国家間の依頼については全く受けないギルドでもある。


 このギルドは何処の国にも存在し、何処の国にも存在しないギルドなんだ」


 なんだそれは。まるでシュレディンガーの猫みたいな言い方だな……。


 「シュレディンガーの猫?また気になる事を言ったね。まぁ、それは今は置いておこう。


 このギルドが何処の国にも存在し、何処の国にも存在しないギルドと言ったのは、このギルドは実質今俺達が居るこのギルドしか存在しないんだ」


 余計訳がわからなくなった。いや、より一層シュレディンガーの猫みたいな物になった。


 …………いや、つまり、そういうことなのか?


 「このギルドは、何処の国にも繋がっていて、だからこそいつでもどの国からも姿を消せる……?」


 「流石頭脳は別世界の大人だ。正解。だからこのギルドは、何処の国にも存在し、何処の国にも存在しないんだ。


 そしてそんな裏ギルドの役割は、勿論暗殺や要人警護なんかの仕事も有るけど、1番の理由は大犯罪者を出さない為の組織なんだ」


 「?」


 「この組織って、実は全ての国の大犯罪者、それとその予備軍の集まりなんだよ。大犯罪を犯した者、犯す危険の有る者を裏ギルドで囲い、無駄な殺生をさせない為に存在しているのがこのギルドの存在理由なんだよ。


 中には国に嵌められて大罪人に仕立て挙げられて国を恨んでる奴も居れば、君みたいに持っている知識や頭の回転の早さが凡人なんかよりかなり優れている者なんかも居る。

 もし、そんな人物達が世になんの規制も無く放たれればどうなるかなんて、君には言わなくてもわかるよね?」


 なるほど。そうなれば大量殺戮や実験と称した非合法な殺戮が行われる。


 俺に対して『将来的に俺を殺す可能性が有る』とフェルトさんが言ったのも、そういう意味か。


 「俺が君をここに連れてくる前に言った事も理解してくれたようだね。


 そう、つまり裏ギルドというのは、そういう理不尽の犠牲になった者の行き着いた場所の事で、そこにルールを敷いたのが裏ギルドという形なんだよ。

 だからどうしても暗殺や偽装工作なんかの汚れ仕事や裏方に徹する組織と思われがちなんだ。


 まぁ、これをちゃんと理解しているのはそれぞれの国の王族で、だからこそ国は俺達を裏切れないし頭が上がらない。何故なら」


 「もし裏切れば、その国に恨みを持っている人物を解き放てば良いだけの話だから」


 「これまた正解。そう、だから、ここでは出来るだけ貴族や王族を連想させる発言や行動は控えてもらわないと駄目なんだ。なんとかルールという鎖に繋いで裏ギルドという檻の中に押し込んでるのに、その中でそんな事をすればどうなるかだなんて、普通の5歳児でもわかる」


 「つまり裏ギルドのマスターとは、そんな奴等をあらゆる意味での力で捩じ伏せる事が出来るだけの、それでいて理知的で理性的な者でないとなれない。つまり最強という認識で良いか?」


 「最強。なんとも良い響きだね。まぁ、概ねその認識で良い」


 「そして俺の目的は最低限理不尽に抗える力と趣味に没頭出来る環境。正にあなたに付き従う事こそが夢の実現という訳か」


 「君視点だけで見ればそうだね。そしてそれで良い。


 ……わかってるみたいだから、質問が有るかどうかは敢えて無視するね。それより続きを話そう。先に裏ギルドについて話せる事は全て話してしまいたい。


 さて、リューシュンとのやり取りの意味については、彼女の能力と関係が有る」


 能力……。フェルトさんの心を読む能力のような物か?


 「これまた正解。あの娘は人の嘘を見破れるんだ」


 嘘を見破れる。つまり彼女の前で嘘を吐くことは出来ないという訳か。

 あぁ、だから俺が名前を名乗った辺りで少し眉を寄せ、その他の質問には全部正直に話したから訝しんだ訳か。


 ……彼女とフェルトさんの2人の前では尋問なんて簡単に終わるな。隠すことが出来ないんだから。


 「確かに俺達2人が揃えば隠し事なんて出来ないよ。でも、だからといっていつでも一緒に居れる訳がないよね?だからお互い、お互いが居なくても問題無いように日々訓練してるよ。


 話が逸れたね。

 裏ギルドの実態としてはそんな所だ。だから実は、何処の国か聞かれた時も、何処の国でも関係無いから答えなかった。それに悪用される可能性も有ったし君が信用出来なかったから隠した。この辺は理解してくれると嬉しい。


 さて、現時点までで何か質問は有るかな?」


 「ここでの最低限の礼儀作法はわかった。それ以外の礼儀作法については?」


 「基本リューシュン以外は俺以外とは不干渉を貫いてて、まず絡まれる事は無いだろうから気にしなくても良い。まぁ絡まれたら、俺に拾われたとでも言えば良い。そうすれば彼等も手出しは出来ない。したらその時点で殺すと言い聞かせてるからね」


 ……サラリと怖いことを言ってのける。

 聞いてると全国を股に駆ける福祉団体のようにも聞こえて来てたけど、やっぱり世間一般に知られている通りの裏ギルドという訳か。


 「わかった。なら続きを、今度は今後俺がどういう扱いを受けるのかについて聞きたい」




 納得した故に、俺はフェルトさんに続きを促した。



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