8、英雄
ハルスメルスと闘います。
ハルスメルスは目の前の男に恐怖を感じていた。
それは今まで感じた中でも一番で、魔王と対じしたとき以上のものだった。
この男だけは闘って駄目だと、私の本能が警鐘を鳴らすがもう遅い。
あの男は私を殺す気でいる。
「ですが、私も簡単には死にません。
魔物達よ。あの男を八つ裂きにしろ!」
ハルスメルスの命令で魔物が走り出す。
俺は1つの魔法を使った。
「神々の黄昏」
俺の足元に黄金の魔法陣が現れる。
人間、獣人、海人、翼人、竜人、エルフ、ドワーフ、妖精、精霊、天使、悪魔、魔物。
黄金の光に包まれた多種多様な種族が陣から出現すると、魔物達やその様子を見ている騎士団や冒険者、勇者達に向かって走る。
黄金に包まれた者達に触れた魔物が次々倒れていき、逆に怪我をしている騎士団や冒険者、勇者達の傷が癒える。
中には失った足や腕が元に戻ったりしている。
ハルスメルスは驚愕した。
その魔法はあの力が無ければ使えない。
ハルスメルスは男を鑑定する。
空風夜月 16歳 男 レベル.56
職業:英雄
筋力:598000
体力:769000
耐性:629000
敏捷:654000
魔力:3900000
魔耐:663000
スキル
再生魔法・重力魔法・七大魔法・複合魔法・殲滅魔法・完全属性耐性・完全属性適性・気配感知・魔力感知・気配遮断・魔力遮断・高速魔力回復・縮地・剛力・金剛力・天歩・鉄壁・不動・隠密・夜目・遠目・鑑定・威圧・投擲・双剣・剣術・大剣術・盾術・料理・舞踏・調合・無慈悲・限界突破・言語理解・自動再生・高速再生・不死身
「嘘だ……、ありえない。ありえるわけが無い!『英雄』が発現したなど、ありえない!」
「自分の眼で確認したんだ。本当だよ」
英雄。
この世界で最強の職業で、発現した者には神を殺せるほどの力を持つ。
最後に確認されたのは、500年前勇者達と一緒に魔王と闘った騎士が持っていた。
発現する方法は不明だが、発現した者には必ず女神が関わっている。
「お前は私が道連れにしてでも殺す」
「やってみろ」
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
ハルスメルスの体が巨大化し、その姿は黒い羊になる。
巨大な黒い羊となったハルスメルスが炎を纏いながら走って来る。
しかし、そこにはもうあの男の姿が無かった。
「何処だ!何処に行った!」
「ここだよ」
「ギャアアアアアアアアアアアア!」
その瞬間、ハルスメルスの両腕と両足が一瞬で斬り落とされる。
ハルスメルスは逃げようと火球を放つが、全て避けられ背中の翼を斬られ、地面に落ちる。
ハルスメルスは必死にもがく。
「セリス。食事だよ」
「夜月。この子、本当に私が食べてもいいの?」
「いいんだよ」
「ありがとう」
俺の隣に両眼を包帯で隠した美しい少女が現れる。
すると少女の胴体が横に裂け、真紅の口が姿を現す。
ハルスメルスは少女に火球を放つが、手を振り払っただけで掻き消える。
「いただきます」
「やめろ、やめてくれええええええぇぇぇぇ!
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!
たしゅけて、たしゅけてくれ!何でもする、何でもするからああああああああぁぁぁ!
ぐあああああああああああああああああああぁぁぁ!」
ハルスメルスは絶叫をあげながら、セリスに喰われる。
そして血の一滴も残さず、セリスは食べ終える。
「ごちそうさま」
「美味しかったか?」
「うん」
「なら良かった」
俺はセリスの頭を優しく撫でた。




