5、奈落の悪夢と女神
女神が登場します。
「うっ」
呻き声を上げて僕は目を覚ます。
僕の周りには大量の血の跡が残っている。
「何で、生きてるんだ?痛っ~~!」
僕は腹に突き刺さったナイフを引き抜く。
すると、最初はズキズキ痛んだがすぐに痛みが無くなる。
不思議に思って見ると、ナイフの傷が綺麗に無くなっていた。
刺された剣の傷も無くなっている。
僕は原因を知りたくて、自分を鑑定する。
空風夜月 16歳 男 レベル14
職業:?
筋力:30
体力:25
耐性:25
敏捷:30
魔力:5600
魔耐:25
スキル
再生魔法・鑑定・剣術・盾術・高速魔力回復・自動再生・高速再生・不死身
高速魔力回復
魔力をすぐに回復する。
自動再生
再生魔法が自動で発動する。
高速再生
再生スピードをあげる。(魔力消費無し)
不死身
頭を破壊されようが、燃やされて灰になっても再生し死なない。
新しく4つのスキルが発現していて、これらのおかげで僕は助かったらしい。
僕は立ち上がると出口を探す。
しばらくさまよっていると、ちょっとした広場に出て、巨大な扉が現れる。
僕は出口という期待を抱きながら扉を開け中に入る。
中は完全に真っ暗で何も見えない。
戻ろうとしたとき、扉がバタンと閉まる。
ボッという音共に火の玉が現れ、中を明るく照らす。
部屋は広く円形状になっている。
「人?」
部屋の真ん中には巨大な石柱があり、そこに鎖で宙ずりにされている少女がいた。
年は14歳くらいだろう。黒い布を纏っていて、長い黒髪が垂れ下がっている。
容姿は整っていて、とても美しかった。
僕は少女に近づこうとしたとき、少女の前に魔法陣が出現し1体の魔物が現れる。
体長は3mはで馬の様な魔物で瞳は紅く輝き、たてがみや蹄は蒼い炎が纏っている。
魔物は僕の前に歩いてくると、紅い瞳から光が放たれる。
光が消えるとそこは城にある僕の部屋だった。
「戻って来れたんだ。
そうだ、エグリットさん達はどうしたんだろ」
僕は部屋を出て城の中を歩くが、城は静まり返っていて誰もいない。
「みんな何処に行ったんだ」
僕は訓練所の扉を開けると、そこに座り込む。
中は血と肉が散らばっていて、かろうじて息のある人は呻き声をあげながら、必死に助けを求めている。
「うああああああああぁぁぁ!」
僕が叫んだ瞬間、いつの間にかあの部屋に戻っていた。
それから僕は何千回何万回と悪夢を見た。
僕がもう見たくないと泣き叫んでも、魔物は見せ続ける。
地面に何度も頭を打ち付け、両眼を抉る。
剣で首を斬り心臓に突き刺すが、死ねないスキルが僕を死なせてくれない。
もう見たくない。
それは無理よ。
何で僕に見せるの。
あなたが無力だからよ。
僕が無力だから。
そう、あなたが無力なせいでみんな死んでいくの。
愛する人も守りたい人も無関係な人もみんな死んでいく。
力が欲しい。
力が欲しいの?
レインやエグリットさん、信頼出来る人達を守ることが出来る力が欲しい。
なら、契約を結びましょう。
契約?
私があなたに力をあげる。
その変わり、私を助けて。
助けてやるから、俺に力を。
「力をくれ」
「分かったわ」
その瞬間闇が消え、眼の前には魔物と鎖で宙ずりにされていたはずの少女が立っていた。
少女はニッコリ笑うと、キスをしてくる。
「これで契約は成立したわ。
よくこの子の悪夢を耐えたわね。
普通だったら2、3回で精神が壊れちゃうのに」
「お前は……」
「私は女神レスティアーナ。ティアと呼んでね」
女神レスティアーナ
初代勇者達に力を貸すが裏切り、勇者と女神ヨルティアに寄って奈落の底に封印されたという伝説の女神。
「ティア。お前はどうして封印されたんだ」
「私は勇者達が魔王を倒せるようにいろいろ力を貸していたんだけど、ヨルティアの方が私より強い力を持っていると知った勇者達が、用済みと言ってヨルティアの力を使って封印したの。
封印は勇者でないと解けないんだけど、500年待っても誰も来なかったから諦めかけてたの。
だから、あなたには凄い感謝してるの。
契約どおり、あなたには力をあげる」




