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落ちこぼれは伝説の女神と契約する  作者: 黒神レイ
四章 帝都壊滅
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40、霧に隠された死の薔薇

数時間をかけてエスペラント上空に来た。

帝国兵、魔族、魔物、勇者が入り混じった軍団が、まるで巨大な生き物様になり城に向かって進軍している。


「夜月、気付いている?」

「この距離でも分かるぞ」


俺は帝国兵達から神の気配を感じ取っていた。

ティアとマルデルが隣りに座る。


「遠くに大きな反応があるから本人はここにいない様だな」

「油断しちゃ駄目よ。その他にも反応が幾つかあるから、最低でも4人の神がいると思って」

「その時は、新しい力を使ってみるよ」


城に着くと逃げて来た大勢の人達が中に入って行き、近くの小高い丘に王国の兵士達が陣を敷いて鎧を見に纏った王様が将軍達と一緒に話をしている。


「王様!」

「夜月君、エグリットも戻って来たのか」

「国王様、何が起きているのですか?」

「帝国の皇子達が魔王軍と手を組み謀反を起こした。皇帝は捕まり地下牢に閉じ込められた。

他の勇者達はかなり前から帝国の使者と密会していた様で、ポドン海国に向かう道中で騎士達を殺害しライヤン副騎士団長に重症を負わせそのまま帝国に亡命した」


彼等は早い内に王国を出ていたのを聞いていたが、まさかそんなことをするとは思わず驚いた。


「それで、彼等をどうすればいいですか」


「国王様!」


振り返ると傷だらけの騎士が、隣りのクラスで委員長をしていた華方さんと一緒にやって来る。


「国王様、彼等は何も悪くありません。帝国の使者と会っていたこと、部下達が死んでしまったことなど全て私に責任があります!」

「お願いします。皆を殺さないで下さい」


ライヤン副騎士団長と華方さんが王様に殺さない様に必死に頼む。


「それは出来ない。華方さんと副騎士団長には悪いが、俺は彼等を殺す」

「夜月君!なんでそんなこと言うの!?」

「それは向こうが殺す気で来ているからな!」


一優達が一斉に防御魔法を発動し、飛来する矢や魔法を防ぐ。

上空を見ると奇襲が失敗して、慌てて逃走しようとしている勇者達がいる。


「逃がすか!」


重力魔法を発動し、彼等を地面に叩きつける。

肉と骨が潰れる音が響き、誰なのか分からない肉塊が出来上がる。


「これで分かっただろ。あいつらは敵なんだよ」


軍団がこの丘からでも見て分かる所まで迫っている。


「殺らなけば俺達が殺られるんだよ」


俺は剣と短剣を抜く。何本もの茨が絡みつく様に出来た刀身、鍔には真っ黒な薔薇が咲いている剣を地面に刺し、刀身から絶え間無く白い煙を出し続ける短剣を空高く投げる。


「《美しい死を》ブラックローズ

《隠せ》ネーベル」


真名を唱えた瞬間、茨が蠢き肉を突き破って腕の中に入る。茨が俺の血と魔力を吸っていく。

短剣は粉々に崩れると大量の霧を発生させ、遠くの軍団をあっという間に呑み込んで行った。



─────────────────────────────



「早く歩け!」

「こらっ!子供を虐めるな!」


兵士さんに殴られそうになる所をルカ将軍が来て止めてくれる。

他の兵士さん達は僕達奴隷に暴力を振るったりするが、ルカ将軍だけは僕達と対等に接してくれる。


「ありがとうございます」

「いいんだよ。それより、あなた達は大丈夫?」

「怖いですよ。何人か自殺しようとした人達がいました」

「そう。でも安心して。もうすぐそんな怖い思いをしなくてもいい様になるから」


そう言うとルカ将軍は目の前から消える。それと同時に濃い霧が発生してそのまま先頭にいた兵士さん達を呑み込む。

すると霧の中から兵士さん達の絶叫が聞こえてくる。


「何だ?あの中で何が起きているんだ!?」

「奴隷共、あの中を調べて来い!」


兵士さんが命令するが、僕達は動けなかった。

すると怒った兵士さんが近くにいた奴隷を剣で斬り殺した。


「こうなりたくなかったら早く行け!」


僕達は霧の中に入り、何も見えない中を進んで行く。

すると突然、霧が無くなり黒い薔薇の花畑が現れる。

花畑の中で兵士さん達を茨が襲っていた。目や口、耳などから茨が入って行き腹を突き破る。

動かなくなった兵士さんに茨が絡み付くと、幾つもの黒い薔薇を咲かせる。


「おい、何をやってるんだ!早く逃げ……」


茨が動き目の前の人の体を突き破る。そして茨が絡み付き、また黒い薔薇を咲かせる。

僕達はその残酷で美しい死から目を離せない。

茨が近付いて来るが、動かない。

すると茨が僕達を包み込み、解けると霧の外にいてエスペラント王国の城が見える。


「全員、動くなよ」


変な仮面を付けた人が来ると、小さい光の玉が飛んで来て奴隷の証の首輪に触れる。

僕達の首輪が一斉に砕け散る。


「お前達は今から奴隷では無くなった。これから帝国からの難民として、お前達をエスペラント王国に保護される」


僕達は何が起きているのか分からなかった。

何度も首を触るが、そこに首輪はもう無い。

僕達は奴隷から解放された。

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