36、資格
目を開けると、世界は灰色に染まり動きを止めていた。
俺の足元には俺が横たわっている。
「俺はまた死んだのか」
『いや、まだ生きているぞ』
『これを解除すれば数秒で死にますけどね』
目の前から巨大な穴が出現し、巨大な白い龍と若草色のドレスを着た貴婦人が出てくる。
『初めまして、私は大地と豊穣の女神のアリスティアといいます』
『私は龍神ブランヴァイスだ』
「何で神様達がここに?」
『それはあなたが私達と契約するのに相応しい人間だからよ』
『お前が使っている剣があるだろう。あれは私達と契約する者を見つける為に、あの鍛冶屋の祖先で女神であるガシュターとその夫に作らせたものだ』
「モーガンさん達って、神様の子孫なんですか!?」
『そうだ。しかし、あの男は凄い。ガシュターでも創ることが出来ずにいたが、あの男は3日で完成させてしまった』
『本当に凄かったわよね』
そう言って、神様達は何度も頷く。
『話が逸れたけど、その剣は私達の力が宿っているの』
『そしてその剣を握ったときに認められなければ、その剣は持ち上げることすら出来ない唯の鉄くずでしか無い』
「何で俺なんですか?」
『それはあなたが優しい人だから』
『お前は守る為に戦える人だからだ』
そう言って、神様達は笑う。
『あなたは私達の力を正しく使ってくれる』
『だから私達はお前と契約をしに来たんだ』
神様達は手を俺に向けると、俺の体が輝き出す。
暖かくて物凄い力がどんどん湧いて来る。
『契約は成功した』
『さぁ、行って来るのよ』
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「ぐはぁっ!」
「どうしたんですか?ほら、避けないと死にますよ」
私は飛来する槍を避けるが、穂先が地面に触れた瞬間爆発が起こり私は吹き飛ばされる。
ウィルグラスが魔法で私を地面に拘束し、腕を踏み砕かれる。
「ああああああああああぁぁぁぁぁぁ!」
「ふふふふふふ、私はあなたが前から嫌いだったんですよ。
しかし、やっとこれであなたを殺すことが出来る」
ウィルグラスは槍を創り出し私に向かって振り下ろそうとした瞬間、死んだはずのあの男がウィルグラスに斬りかかる。
ウィルグラスはすぐに男に向かって槍を突き出すが、槍は男に刺さらず逆に砕け散る。
それを見たウィルグラスは慌てて後退し、魔物達を召喚して一斉に攻撃するが男は無傷で立っている。
「何故だ!?そもそもお前は槍で全身を刺されて死んだはず!それなのに何で生きていて、あれだけの攻撃をくらい無傷でいられる!お前は一体何なんだ!」
「俺はただの人間だ。それより、このまま帰ってくれないか?」
「随分、生意気なことを言うじゃないですか。ならもう一度殺してあげますよ!」
ウィルグラスは更に魔物達を召喚し、魔物達は男に向け一斉に駆け出す。
男はその場に立ったまま大剣を地面に刺す。
その瞬間、大地が動き出し魔物達を全て呑み込むと元に戻る。
ウィルグラスはその有り得ない光景を見て座り込む。
「有り得ない!有り得るわけがない!私が貴様のような下等種族に負けるなど有り得るわけが!」
「そんなことより後ろに気をつけた方がいいぞ」
ウィルグラスの背後で突然亀裂が出現する。
亀裂が大きくなり砕け散ると両眼を包帯で隠した少女が出てくる。
「やっと出られた。お腹空いたから食べていい?」
「この化け物どもが!」
ウィルグラスは魔法を使おうとするが、その両腕を少女にねじ切られる。
少女の胴体が横に裂け深紅の口が現れ、ねじ切った両腕を噛み砕き食べる。両腕を食べ終えると少女から鎖が放たれ、逃げようとするウィルグラスに絡み付き引き寄せられていく。
「私はこんな所で終わらない!終わるわけがないんだ!
ぎゃああああああああああああああぁぁぁ!」
ウィルグラスは少女の口の中へと消えていった。




