35、マーヤ
時間は少し戻る。
「夜月!」
駆け寄ろうとした瞬間、頭上に殺気を感じ素早く後ろに飛ぶ。
次の瞬間、大剣を持った少女が落下してきて大剣は地面に突き刺さる。
「彼女の攻撃を避けるとはやりますね」
少女の背後に羊頭の男が現れる。
「初めまして。私は魔王軍七将の1人、ウィルグラスと申します。そして彼女も七将の1人で、マーヤといいます」
「ウィルグラス、この男は私が相手する」
「分かりました。その方はあなたにお任せします」
ウィルグラスとセリスが何処かへと消えていく。
俺は大剣を構え駆け出す。
「くらえぇぇ!」
「はあぁぁぁぁぁぁぁ!」
剣がぶつかり合った衝撃が近くの聖騎士や悪魔を吹き飛ばす。
俺は剣を合わせ驚いた。
マーヤの体格は小柄で腕や足も細いが俺と同じくらい力がある。
するとマーヤは力ではなく、速さで攻撃をしてくる。
大剣が四方八方から繰り出され、俺も速度をあげ大剣を防ぐ。
「凄い!私と互角に打ち合わせられるなんて!」
マーヤは楽しそうに笑う。
それを見た俺も自然と笑ってしまう。
「お前、まだ本気じゃないだろ。全力でかかってこい!」
「言われなくてもそうする!」
その瞬間、マーヤの背後から半透明な巨大な腕が2本出現する。
虚空から武器を取り出し、巨大な腕は盾と槍を持ちマーヤは2本の大剣を構える。
俺もアイテムボックスからもう1本の大剣を取り出し構える。
「いくぞ!」
俺とマーヤは全力でぶつかり合う。
お互いの攻撃を受け、回避しまた攻撃する。
気がつくと俺とマーヤは笑っていた。
「ははははは、楽しいぞ!本気の私と互角に闘えるのはお前が初めてだ!」
「俺もだ。どんどんいくぞ!」
「来い!」
俺とマーヤは更に加速しぶつけ合う。
周囲の悪魔や聖騎士は戦闘を止めて、俺たちの戦いに見入っている。
俺とマーヤはお互いに距離をとる。
「凄い男だ。次の一撃で終わりにしよう」
「全力でいくぞ」
「『ソウルバースト』!」
「『ドラゴニックバースト』!」
俺とマーヤの力がみるみる大きくなり大剣に集まる。
危険と感じたのか、悪魔や聖騎士達は急いで離れていく。
力が溜まりきった瞬間、俺たちは駆け出す。
互いの剣が衝突し、眩い閃光と轟音が鳴り響く。
「うぉぉぉぉおおおおお!」
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
力は拮抗しあうが、徐々にマーヤを押し始める。
そして次の瞬間にはマーヤの手から大剣が弾き飛ばされ、俺は大剣をマーヤに突き付ける。
「俺の勝ちだ」
「負けた。だけど、不思議と悔しくは無いな」
「この戦いが終わるまで大人しくしとけよ」
「分かった。それより、また戦ってくれない?」
「いいぞ。何度でも戦ってやるよ」
「それはもう無理ですね」
その声が聞こえた瞬間、マーヤに向かって無数の槍が飛んでいく。
俺は駆け出してマーヤを突き飛ばすと、無数の槍は俺の体に突き刺さる。
「ぐはぁっ!」
急速に感覚が無くなっていき、視界は真っ暗になった。




